オールラウンド交渉 国/県の制度 差別禁止条例

【報告】 兵庫県/障害福祉課との第一次交渉を行いました

【報告 兵庫県/障害福祉課との第一次交渉を行いました

障問連事務局

 

8月22日(金)15時~17時、兵庫県民会館にて、障問連と兵庫県障害福祉課との第一次交渉を行いました。本交渉においては、県の差別禁止条例ならびに県障害福祉審議会、この2点に絞った質疑応答がなされました。

 

・県の回答

○差別禁止条例に関して

秋以降、国の指針が出る。既存の制度で対応できるか検討している。

条例化は、障害福祉課ではなく、知事の権限に属する。

差別解消法による条例化は、差別をなくすための手段であり目的ではない。

差別を定義し差別禁止を条例化すると、憲法21条の言論の自由に抵触する恐れがある。

第3次行財政改革もあり、新たな機関の設置は難しい。庁内横断のプロジェクトで対応したい。

セミナーや研修会を開催し広く県民に啓発する。

○県障害福祉審議会に関して

審議会は開催している。2月にパブリックコメントを募集する。

回数を増やすのは困難である。

審議会の定義として「民主性、専門性の担保」があり、人選は恣意的に決められない。

現在の審議会は、障害関係者が46.7%、そのうち当事者が21.2%であり、全国的に見ても多い。

企業関係者、人権擁護委員、女性を増やしたい。

 

・質疑応答

――障問連側の基本的な認識としては、差別禁止条例は必要であり、具体的にどうしていくのか、また当事者参画が不可欠であるという立場である。全部局の問題として、県独自の差別禁止条例を作っていただきたい。人権擁護委員制度は実効性が高いというが、どこに相談すればよいのか、アンケートの実施で補えるものなのか、障害者や女性の比率は? 紛争解決できるのか?

(県側の回答)

障害者110番に相談委員がいる。

審議会に関しては、定員が30人であり、実りのある議論を展開していただくために、必要な最適者は誰かを考え、適切な人員を選んでいる。

条例化に関しては、県としては中立の立場である。

 

――なぜ他府県では条例化が進んでいるとお考えか。権利条約や差別解消法は、包括的な枠組みを提示した。1年間の周知期間でどこまで啓発ができるのか。国が遅れているとはお考えにはならないのか。県の表現方法として差別解消法に基づく条例化があってよいのではないか。

(県側の回答)

何が差別で何が差別ではないのかを規定するのが難しい。差別を定義してしまうと、差別の禁止が言論の自由を奪うことにつながり、憲法21条に抵触する恐れがある。

差別禁止の理念より、差別をより実効的に解消していく方向を模索したい。

 

――条例を作ることでより具体化するのでは? 知事権限というが、部局からの提案は不可能なのか?

(県側の回答)

知事の判断の材料にはなるかもしれない。条例化の意義である実効性を担保する。障害の認識は社会モデルでとらえている。

 

――差別の定義が難しいのはよくわかっている。難しいなりに考えていくのが仕事ではないのか。

(県側の回答)

法律の趣旨を広く伝えている。何もしていないと言われるのは心外である。

 

――紛争解決の手段として県が期待を寄せている人権擁護委員とは何者か?

(県側の回答)

全国で14000人いる。法務局の職員OBであったり、学校の教師であったりする。

 

――障問連も委嘱されているが、審議会の特別委員は1年で終了か?

(県側の回答)

委員全体を来年改選する。

 

・分析と感想

全体として、「なぜ差別禁止条例が必要なのか」、「なぜ障害福祉審議会を開いており、そこに当事者参画が必要なのか」ということが県側にまったく伝わっていない印象を受けました。「社会モデル」と言いながら、こうした態度はまったく不可解であると言わざるを得ません。

「喫茶店や美容院に車イスで入ろうとしたら断られた」、このようなことは障害があるがゆえに当該者に社会的不利益をもたらし、かつ精神的にふみにじった例であり、差別以外のなにものでもありません。私たちは、そのような「当たり前に扱われないことに対する怒り」を表明しているだけなのです。

また、「差別禁止は言論の自由に抵触する」などの言い回しは、国連が日本に対して「ヘイトスピーチを野放しにしている」と勧告したときの日本の言い訳とまったく同じです。「言葉狩り」などではなく、そもそも差別構造を問題にしないからこそ、私たちは差別そのものの禁止を求めるのです。

たしかに、この社会においては、差別の中でもとりわけ障害者差別を定義することは難しいように思います。しかし、県もそういう認識でいるという社会モデル的な見方をすれば、まさに「障害者差別を定義することが難しい社会とはどのような社会であるか」に関する議論が必要なのだと考えます。そのような分析と考察がない限り、実効的な差別解消はあり得ないでしょう。

最後に、県は「施設は前近代的だからということで障問連は施設推進の意見を排除している」と言いましたが、そのような近代的/前近代的という枠で考える県のほうこそ、対立的な図式でしか物事を考えることができないことを指摘しておきます。

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