生きる場/作業所

【報告】 第一回事業所交流会の報告  多数の団体が集まりました!!

【報告】 第一回事業所交流会の報告  多数の団体が集まりました!!

星屋和彦(NPO法人Beすけっと)

6月15日、「障害者の地域生活を支援する事業所連絡会」と障問連の共催で『第1回 事業所交流会』が開催されました。その報告をさせていただきます。

もともと、障問連では「事業所交流会」の取り組みを2013年度総会で活動方針としてあげました。それは、以下のような問題意識があったためです。

障問連に加入する団体の多くは、2003年の支援費以前には小規模作業所を運営しており、1980年代後半から障問連として「生きる場・作業所交流会」を開催するなど団体同士の横のつながり・交流を図ってきた経緯があります。しかし、支援費から自立支援法、総合支援法という制度変換があり、障問連加盟団体の小規模作業所等は、メンバーや志は引き継ぎながらも、様々な障害福祉サービスの「事業体」へと変わっていきました。そのような状況の中、いつの間にか各団体がそれぞれの福祉サービス事業の膨大な事務処理など日々の運営に追われ、疲弊し、団体同士の横のつながりも薄れてしまっているのではないか。また、運動体として始まったそれぞれの団体が、運動体と事業体のはざまにおかれ、事業に追われ自分達の方向性を見失っているのではないか。そもそも運動体としての自分達の団体の成り立ちや歴史を、若い職員達にどこまで伝えきれているのか。そういった問題意識から、加盟団体がそれぞれの事業の実情や課題を持ち寄り、交流しながらあらたに横のつながりを強めていこう。連携や協力を強めていくことにより、とにかくお互いが元気になり、当事者が地域で自分らしく生活していく支援をしていこうよ、というものでした。

そのような中、たまたま「NPO法人拓人こうべ」でも事業所交流会を計画していることがわかりました。「拓人」は被災地障害者センターとして、阪神淡路大震災で被災した障害者の拠点となり、様々な活動を通じ兵庫県下にネットワークを作り上げた実績があります。ぜひ一緒にやっていきましょう、となり、共に準備を進めて来ました。2月23日に第1回の運営会議を行ったのち、今回、第1回事業所交流会となった次第です。

当日参加団体は、尼崎から「サニーサイド」「みんなの労働文化センター」、伊丹から「作業所じゃがいも」、西宮から「遊び雲」「きんとーん作業所」、川西から「共働作業所あかね」、宝塚から「キントーン宝塚作業所」、神戸から「生活支援研究会」「飛行船」「えんぴつの家デイケアセンター」「共働作業所シティライト」「ウィズアス」「たくと」「Beすけっと」、明石から「ほのぼの」、加古川から「らいふ・すけっと」、姫路から「ひびき福祉会」、淡路から「ぶったぁ福祉会」と県下様々な場所から17団体・30人近い人が集まり、事業所交流会に寄せられる期待の高さを感じさせました。

今回の第1回交流会は、まず、設立総会的な意味合いで会の方向性・主旨の確認を行い、代表には、えんぴつの家理事長の松村先生に就任していただくこととなりました。そして会の大きな目的として、①事業所の交流と情報交換、②拓人こうべが主体となって行う障害福祉サービス実施状況調査への協力、という大きな2つの柱を置くことも確認しました。②の調査については、その調査結果を評価し、市や県への提言につなげていく予定です。

交流会で次に行ったのは、参加団体の自己紹介。今回参加の団体が行う事業としては、「就労継続B型」「生活介護」「地域活動支援センター」「グループホーム」「居宅介護・重度訪問介護」「相談支援事業所」など様々。それぞれが抱えている課題についても、ほんのさわりだけを報告しあいましたが、様々な状況を垣間見ることが出来ました。多くの団体が参加してくださったことによりそれぞれの持ち時間は短く、本当に垣間見るだけでしたが…。今後の交流会でお互いへの理解をさらに深めていくこととなると思います。

第二部として、フリートークの時間も取りました。2月の運営会議では、交流会が単なる仕事になり「さらに仕事が増えるだけ」という状況には絶対にしたくない。若い人も親しみや興味を持って参加でき、積極的に意見を言えるような場、例えば「休みとれてる?」「待遇はどう?」といったことから、「事業経営は?」「職員研修は?」「ご近所や地域との関係性は?」などなどざっくばらんに話せる場を目指そう、と言っていました。

今回のフリートークで実際に出たのは「就労Bってみんな儲かってますか?」「人手不足や職員のメンタル面へのフォローはどう対応してますか?」「自社ビルってどうやったら建てられるの?」などで、初回から、そこそこぶっちゃけトークになりました。

就労Bについては、小規模作業所から法内移行するにあたり自分達に合った就労Bを選んだが支援計画とかなんとか書類が多くなって大変、そもそも儲からないのは単価が低いのが問題、異業種の参入も増え人の取り合いなっている、就労Bは通ってきた日数分お金が入ってくるのでメンバーさんの顔がお金に見えてくる、などシビアな話も多かったです。赤字運営や、働く人達にしわ寄せがいくような事業収入では運営が続いていかないという危機感があります。

また、人手不足については、質問をしたのがヘルパー派遣の事業所だったので、ヘルパー専従の職員という就労形態を作っていってはどうかという具体的なアドバイスや、精神論ややりがいだけでこの仕事を続けていくのは難しい、給与保障・生活保障も大事、という今後の大きなテーマになりそうな意見も出ました。

今回は、今後の交流会でどんなことをテーマにしていくかという内容を絞るための話でしたが、まずは「運営・経営」的なこと、そして「若手への世代交代・想いや歴史の伝達」などのテーマが見えてきました。ただ、各団体の事業形態が様々なのは、他の事業・活動について知っていくために良いことだしそれはそれで大事なことですが、事業特有の課題の話を深めていくためには、部会形式でいったんテーマごとにグループに別れて話すのもひとつの方法かも、という意見も出ました。とにかく、今回出た話をもとに、次回はもっとテーマを掘り下げていくような交流会にしていくことを確認して交流会を終えました。僕自身、今まで他団体の人に相談にのってもらって状況を乗り切ったりすることも多々あり、こういう交流会にすごく期待している面があります。参加された皆さんも、立場・年齢・経験様々でしたが、交流会の必要性を感じ期待を寄せていることが感じられました。

多くの横のつながりが出来て、情報交換や相談も出来て、人も団体も「元気になる」ことを目指して、事業者交流会が動き始めました。今回、参加出来なかった方や、若手(?)の参加もどしどしお願いしたいです。また今後の動き(8月に学習会を予定など)についても随時報告させていただければと思います。

« »