差別禁止条例

3/23(土)はりま福祉ネットワーク「障害差別事例学習会」

一緒に考えてみませんか・・・・・・障害のこと、差別のこと

障害差別事例学習会

主催:はりま福祉ネットワーク

障問連事務局

 

3月23日(土)はりま福祉ネットワークの主催により「一緒に考えてみませんか・・・・・・障害のこと、差別のこと 障害差別事例学習会」が姫路市自治福祉会館で開かれ、45名の参加者が集いました。①姫路地区手をつなぐ育成会代表者、② 姫路市精神障がい者家族連合会代表者、③ はりま福祉ネットワーク代表者から差別事例が報告され、石飛 猛 氏(美作大学生活科学部社会福祉学科准教授)がコーディネーターとして議論を深めました。

 

姫路地区手をつなぐ育成会からは田尻理事長が発言し、知的障害者が学校、病院、地域、就労の場で遭遇する問題について具体的に述べられました。特に地域で施設をつくろうとすると住民に反対され、その理由として「気持ちわるいから」などと言われることまであります。好奇心旺盛な子どもは他人の家に入ることもあり、警察に通報されることもありますが、これについては警察と粘り強く交渉し、理解を求めていきたいとのことです。また、雇用については法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられますが、依然としてハードルは高い状況です。実態としては、たとえば医薬品店に勤める知的障害者が解雇されました。理由はよくわからないままですが、おそらくコスト削減のためではないかと思われます。食品を扱う企業に勤める知的障害者も期限切れということになりましたが、実際は労務遂行能力が問題にされていたのかもしれません。いずれにしても、障害を理由に不採用となることがないようにしなければなりません。知的障害者には働く意欲のある人が多く、時間をきっちり守る、まじめすぎるくらいまじめ、手を抜かない、持続性があって辛抱強い、といったいいところがたくさんあるので世間にもっと知ってもらいたいと強調されていました。

 

姫路市精神障がい者家族連合会(ひめかれん)からはNPO法人はりま福祉会しらさぎ作業所の小林さん、尾上さん、そして当事者の神路さんから発言がありました。しらさぎ作業所に通所している統合失調症の男性Yさんが就職活動をつづけており、数社受けましたが不採用となっており、理由を公表してほしいと言っています。男性Mさんは28歳で統合失調症を発症し、パニック障害もあります。44歳にして働こうと決意し、一般公募で社長に気に入られ、理解もしてもらって働き始めました。ところが、従業員の方に理解がなく、現場でトラブルが起き、退職せざるを得なくなりました。管理者のみならずすべての従業員に障害者についての教育をしてもらいたいと訴えています。

 

はりま福祉ネットワークからは3月に代表になったばかりの広内さんから発言されました。身体障害者の差別事例は非常に多いとのことで、広内さんご自身が遭遇した事例をたくさん報告されています。まず銀行ATMは障害者に対応したものがあまりにも少な過ぎます。ATMを利用しようとすると、手が不自由で操作できないので、銀行の方に代わりに操作してもらうことになります。必ず職員2人がついて互いに確認し合いながら入出金します。このサービスを利用するには初めに文書を確認し、捺印しておかなかなければなりません。窓口についても問題があります。某信用金庫に口座を開設しに行くと、住所・氏名を自分で書くように言われますが、どうしたって書けませんと答えました。「家族の方を連れてきてください」と言われましたが、家内も障害者で手が不自由なので書けません。結局はやはりヘルパーさんに代筆してもらうことになるのですが、今度は「ヘルパーさんの身分証明書はありますか?」と聞かれました。その時ちょうどヘルパーさんは免許証などを持っていませんでした。そこで「ヘルパーさんの口座はありますか?」と聞かれたので「主人のならあります」と答えると、「確かにございました」ということでやっと口座開設ができました。

一人暮らしをしたいと思って物件を探しに不動産屋へ行きます。しかし、「危険だから」などと言って大家に断られます。また、兵庫県は障害者施設をつくらないと言っています。ところが、車イス用の住宅に、障害者が一人で住むことができません。

障害者は就労することができず、障害基礎年金だけでは生活できないので、生活保護を受給する人が多いです。ところが、生活保護が減額されようとしています。働きたくても働けない障害者の社会保障はどうなるのでしょうか?一部の報道、一部の人の影響だけで決められるのを非常に危惧しています。

公共交通機関の問題もあります。ある日のこと、バス停でバスを待っていたら、バスを4台も見送ることになりました。1台目にやってきたノンステップバスは運転手がすまなさそうに「満員なので」というので、「けっこうです」と遠慮しました。2台目はノンステップではありませんでした。3台目も。4台目は待ちに待ったノンステップバスでしたが、なんと通り過ぎてしまったのです。姫路市は、あまり障害者にやさしい街ではありません、と述べて話が締めくくられました。

 

事例報告が終わり、コーディネーターの石飛猛さん(美作大学生活科学部社会福祉学科 准教授)により話が進められました。障害者の親の立場からは、ある時期から子離れを準備していく必要がある、自分がかまい過ぎたために子どもの社会参加が遅れたといった声が聞かれました。姫路市という地域については、中途半端に都会なので、かえって世間が冷たいという意見も出てきました。

バス問題については、たまたまその時facebookで読んだ記事が紹介されました。ある病気を患う10歳の息子さんを連れて通院のためバスに乗った時のお話。

いつも通り車イス用の席を運転手が声かけして空けてもらったところ、どうやら立たされた人がムカついたらしく、ひどい言葉の暴力をくらった。「ぶくぶく醜い」「何で税金泥棒のために立たされなきゃならないの」「補助金で贅沢してるくせに」「役に立たないのになんで生かしておくかなあ?」。それもこちらに言ってくるのではなく、雑談のように数人でこそこそ。それがまだ小さい子連れの母親のグループだった。息子が気付いて「お母さん降りようか?」と言ってくれたんだが、実は耳が聞こえにくいため、声が大きく発音が不明瞭な息子に今度は普通の声で「きも!」と言われた。あまりのことに切れて「何か息子の件でご迷惑でも?」と言ったら、笑いながら「何か?だってwwうけるwww」と嘲笑された。さらに「うち子は娘だから、あんなのに目付けられたくない」「アタマがないからレ●プされても泣き寝入りだもんね~」とも言われた。さすがにもう降りようとしたら、運転手さんがバス停に止まって「えー、奥さん、ここで降りてください」と言われる始末。『あーもーいいや、苦情だけ入れて二度とこの路線使うもんか』と思いながら車いすを外そうとしたら「あ、お母さんじゃなくて」と私を見て運転手さんが続けた。「後ろの奥さん方、あなた方が乗ってること自体が他のお客さんに迷惑ですので、こちらで降りてください」私ポカーン、息子もポカーン、指図された子連れママたちもポカーン。そしたら後部から「さっさと降りろ!うざいんだよ!」「食べこぼしは片付けて行きなさいよ!」「ほらさっさと行きなさい!」との声が聞こえてきた。さらに降りるときに運転手さんに「クレーム入れてやる!おぼえとけ!」と言ったら「はいどうぞ。乗車賃いりませんからさっさと降りてください」と言われてた。その人たちが降りてからお礼を言ったら「迷惑行為排除は私たちの仕事ですから気にしないでください」と言われてしまい、もう私涙目。冷たい視線ばかりと思ってたのに、世の中捨てたもんじゃないと思った。

同じバスの運転手にも配慮のない人もいれば、このように配慮のゆきとどいたサービスをしている人もいる、ということがよくわかる事例です。

この障害差別事例学習会は、障害者差別禁止条例を各自治体でつくっていくための最初の段階における取り組みです。はりま福祉ネットワークが用意した資料には、国連障害者権利条約、日本国憲法、障害者基本法について簡単な解説が載っています。日本国憲法がつくられた1945年頃は、障害者を保護の対象とみるのが世界的にも一般的で、どの国の憲法にも差別については記載がありませんでした。障害者基本法には差別を禁止するといったことは書いてありますが、どういうことを差別というのかについては書かれていません。そのため、訴訟を起こしても、障害者基本法は根拠として使えません。

そこで、障害者差別禁止法をつくることになります。これは国連障害者権利条約に基づいて検討されています。差別には3つのパターンがあると考えられているので、簡単に解説しておきましょう。

直接差別 障害を理由に他の人と違う取扱いをするもの
関節差別 一見中立的な基準に見えるが、結果的に不利な結果をもたらすもの
合理的配慮の欠如 実質的な平等を確保するには一定の配慮を必要とするが、この配慮をしないことも差別だという考え方

 

今回、姫路地区手をつなぐ育成会、姫路市精神障害者家族会連合会、はりま福祉ネットワークの代表者が事例報告をしたことは、条例づくりの端緒となる画期的な取り組みだといえます。ただし、主催者である、はりま福祉ネットワークとしては、条例づくりに限らず、これからも連携してさまざまな課題に取り組んでいきたいと意欲をみせています。

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