国/県の制度 新聞記事から

【新聞報道~様々な動向】

■国の制度動向

◎通常国会に提出する障害者関係法案

2月19~20日、厚労省は全国厚労関係部局長会議を開催し、2012年度補正予算案、2013年度予算案の説明と今通常国会に提出する法案にも言及した。提出を検討中の法案として、福祉事務所の調査権限拡大や医療扶助の適正化等を盛り込み2014年1月施行を目指す「生活保護法の改正」が上げられたが、障害者関連では・・・

★《障害者雇用促進法改正法案》

「雇用分野における障害者差別を禁止する障害者権利条約批准に向け、2016年4月1日施行を目指す」また「法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える、2018年4月1日施行を目指す」とされる。

★《精神保健福祉法改正法案》

「精神障害者に治療を受けさせる義務を保護者(主に家族)に課す現行の規定を削除する。医療保護入院における保護者の同意要件も外す。2014年4月1日の施行を目指す」

 

◎差別禁止法の動向

2/4中日新聞によると「自民党内には企業に負担を求める内容について異論があり自民党の選挙公約には法案への記述はなかった。石破幹事長は『(自立支援法などの)現行法で対応する』と明言。法案は棚上げ状態になった」と報じられた。それ以外、何ら情報は伝わってこない。人権法案に極めて冷たい安部首相の下で、極めて厳しい情勢にある。そして上記の雇用促進法改正について運動サイドからの情報はあまり伝わってこないが、各分野の各法に差別禁止を盛り込めば、差別禁止法の必要性はないと、一気に権利条約批准へと向いかねないのではないかと推測される。また、具体的な障害者施策に大きな影響を与える、2013年4月からの新障害者基本計画は3月内に閣議決定されるが、政策委員会の意見がどこまで取り入れられるかは不明。

■選挙権裁判

今ニュースでも取り上げてきた、「成年被後見人の選挙権を認めない」問題について、3月14日に東京地裁で全国初の判決が出る予定。是非、ご注目ください。

■発達障害者を巡る裁判

大阪で姉を殺害した広汎性発達障害のアスベルガー症候群である被告が、対応できる受け皿が無く「再犯の恐れがあり社会秩序のため」と求刑を上回る判決を下した裁判の控訴審で、大阪高裁は、1審を批判し、「適切な支援が無いまま約30年間も引きこもり、姉の言動を嫌がらせと受け止めて殺害を決意した経緯や動機には、被告のみを責められないアスベルガー症候群が影響している」と述べ、1審を「不当に重い」とし、懲役20年から14年に減じた。

■生活保護問題

生活保護費引き下げ問題について、2月19日衆議院議員会館で「STOP!! 生活保護引き下げアクション」主催により緊急集会が230人の参加の下開催された。今集会について作家で「反貧困ネットワーク」副代表の雨宮処凛さんは毎日新聞で、以下述べている。

「・・・生活保護を基準に定められている制度のひとつに就学援助がある。経済的な理由から給食費や学用品代などが工面できない家庭に対する制度で、11年度にはこの制度を利用した子どもは過去最多の156万人。小中学生の6人に1人は就学援助を受けているのだ。この数字を見ただけでも『子どもの貧困』の深刻さが分かるが、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助の基準も下がり、対象から外れる子どもが一定数、生み出されてしまう。このことによって修学旅行に参加できなくなったり、学用品がそろえられなくなったりするなど、『教育を受ける権利』そのものが侵害されてしまうのだ。影響を受ける制度はそれだけでない。2/19の同集会で、民主党の長妻昭議員は、今回の引き下げによって低所得者層が影響を受ける可能性のある制度が38もある事を指摘した。住民税が非課税の世帯への課税をはじめとして、保育料や国民年金の減免制度、障害福祉サービスの利用など、影響は幅広い分野に及ぶ。ドサクサに紛れるようにして切り下げられる制度はまだある。それは、中国残留孤児やハンセン病患者らへの給付金。これも生活保護を基準としているのだ」。

また、兵庫県下では小野市行政が市議会に「福祉給付制度適正化条例」なるものを2月27日に提案した。条例案は、不正受給の疑いやパチンコ、競輪、賭博などへの浪費で生活に常習的に支障が生じている受給者について通報する事を「市民の責務」と規定している。新聞の識者コメントとしても「誰が受給者なのか判別できず通報の有効性は疑わしい。一方、多数の監視を促しているので困窮者の受給自粛も予想され、命に関わる重大な結果につながりかねない」としている。ここにまで至る生活保護へのバッシングに恐ろしさを感じる。

 

■2/25厚労省障害保健福祉主管課長会議

表記の会議に関し、全国自立生活センター協議会のMLを以下、抜粋して紹介します。

自薦ヘルパー推進協会の池田です。お世話になっています。

昨日、厚生労働省で課長会議が開催されました。資料は下記に掲載されています。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/

 

1. 訪問系サービスの市町村財政支援策

地域生活支援事業実施要綱の改正により、「その他の事業」が「任意事業」へ、「実施事業」が「事業内容の例」へと簡素化されたことによって、「重度障害者に係る市町村特別支援」も都道府県地域生活支援事業の「任意事業」の「事業内容の例」へと格下げされています(企画課自立支援振興室のp3、p75)。

それにもかかわらず、補助金事業の「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」よりも、「重度障害者に係る市町村特別支援」が優先適用という取扱いには変更がないようです(障害福祉課/地域移行・障害児支援室のp106)。

 

2. 訪問系サービスの支給決定などについて

例年どおり、訪問系サービスの支給決定などの通知や事務連絡について資料に掲載されています

(障害福祉課/地域移行・障害児支援室のp104~p105)。

 

3. 通院に限定した同行援護

通院に限定した同行援護の利用が可能であることが明示されました。

(障害福祉課/地域移行・障害児支援室のp104)。

 

4. 医療的ケアの第3号研修の実地研修講師

医療的ケアの第3号研修(特定の者)の実地研修講師について、当該利用者が契約している訪問看護事業所の活用を図ることが望ましいと明記されています(障害福祉課/地域移行・障害児支援室のp6)。

 

5. 障害程度区分の見直しについて

障害程度区分の見直しの考え方やスケジュールが掲載されています

(精神・障害保健課のp10~21)。

 

6. 日常生活用具におけるパルスオキシメーター

難病130疾患への対象拡大により、難病患者等日常生活用具給付等事業の給付種目である「動脈血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)」については、国から示している参考例には明記されていないが、障害者総合支援法に基づく日常生活用具給付等事業における「在宅療養等支援用具」に該当するため、対象種目として取り扱っていただくよう配慮していただきたい。とされています(企画課自立支援振興室のp10)。

この文章だと、厚労省の意向として、難病患者に対してパルスオキシメーターを給付してほしいということはわかるのですが、従来の身体障害者(たとえば人工呼吸器を利用している場合)にもパルスオキシメーターを給付して良いのか、よくわかりません。厚労省自立支援振興室によると、平成18年開催の課長会議で公表した日常生活用具の「参考例」は、障害者自立支援法の施行に際して、補装具と日常生活用具の振り分けの考え方を示したものであって、それ以降も、今後も、「参考例」を改正する予定はないそうです。このため、難病患者に該当しない身体障害者もパルスオキシメーターの給付が受けられるようにそれぞれの市町村で交渉する必要があるようです。

 

7. コミュニケーション支援事業から意思疎通支援事業へ

地域生活支援事業実施要綱の改正により、従来から市町村地域生活支援事業に位置づけられていたコニュニケーション支援事業が、意思疎通支援事業へと名称変更になりました(企画課自立支援振興室のp6)。当日の説明によると、「コミュニケーション」の呼称手話通訳や要約筆記などの「双方向性」に限定するような語感があるので、たとえば代読や代筆などの「一方向的な情報保障」も包含するような「意思疎通」の呼称へと変更したそうです。これは、権利条約や差別禁止法における合理的配慮の議論を念頭に置いた改正だそうです。なお、個別給付の訪問系サービスで代読や代筆が認められている現行制度には変更ないそうです(by訪問サービス係)。

 

計画相談支援のQ&Aが厚労省から出ました。以下は一部抜粋したものです。

 

【補助の業務】

問4  サービス等利用計画の作成については、厚生労働省令において「管理者は、相談支援専門員に基本相談支援に関する業務及びサービス等利用計画の作成 に関する業務を担当させるものとする。」と定められているが、相談支援専門員の資格を有していない補助職員が計画を作成し、相談支援専門員が管理監督した 計画を利用者に交付することは可能か。可能であれば、計画作成担当者は、補助職員となるのか、相談支援専門員となるのか。

(答)

○  サービス等利用計画を作成するのは、相談支援専門員である。補助職員は相談支援専門員の指示の下に補助的業務を行うものである。

 

【対象者】

問 27  介護保険制度のケアプラン作成対象者の場合であって、障害福祉サービス固有の 重度訪問介護による外出支援等、障害福祉の観点からその必要性や支 給量について判断する必要がある場合については、サービス等利用計画の作成 対象者として良いか。

(答)

○  市町村が支給決定に当たってサービス等利用計画案の作成が必要と認める場合には、作成対象者として差し支えない。

○  「市町村が必要と認める場合」とは、基本的には、介護保険のケアマネジャーが障害福祉サービスも含めたプランを作成するべきであるが、ケアマネジャーだけでプランを作成するのが困難な場合等を想定している。(H24.3.6  相談支援関係Q&A  3支給決定通知・事務処理要領‐19 一 部修正)

 

【セルフプラン】

問 42  指定特定・障害児相談支援事業者以外の者が計画を作成する場合の作成主体は、誰を想定しているのか。

(答)

○  「指定特定・障害児相談支援事業者以外の者」については、基本的には制限はなく、本人や家族、支援者等が作成したものを想定している。なお、サービス等利用計画案等は、市町村が支給決定に当たって勘案するものであるため、市町村の支給決定を行う担当職員が作成することは想定していない。

(H24.3.6  相談支援関係Q&A  3支給決定通知・事務処理要領‐8)

 

問 43  利用者本人が作成するサービス等利用計画(セルフプラン)の場合も、 指定特定相談支援事業者が提出するものと同じ様式で提出しなければならないの か。また、当事者の意向や目標達成時期等、すべての項目を記入しなければならないのか。支給決定を行う市町村の裁量で、項目を減らす等はできないのか。

答)

○  サービス等利用計画の様式は、国で示している様式例を参考に市町村で定めることになっており、セルフプランについても市町村の判断でセルフプラン用の 様式を定めることも可能であるが、当事者の意向や生活全般の解決すべき課題、目標達成時期、サービスの種類・内容・量等省令で示している項目については省 略することはできない。

【介護保険の対象者の場合】

問 48  介護保険の対象者の場合、同じ者(ケアマネジャーと相談支援専門員を 同一人物が行う)がプランを作成すると減算されることが報酬告示で示されている。介護保険のケアプランを作っている者と障害者自立支援法のサービス等利用計画を作っている者が別々である場合、報酬を両方が100%請求できるのか。

(答)

○  請求できる。なお、利用者の立場に立った支援を行うためには、両者で調整しながらプランを作成する必要がある。

 

また、3月2(土)に障害者差別禁止法に関連するニュースが入ってきました。

自民、公明は、政策責任者会議で、障害者の差別禁止に関する立法措置を検討す
るワーキングチームの設置を決定。

2月28日付の公明党関係の機関紙に掲載されていたようです。

 

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