2013年1月10日「全関西集会」決議文
「障害者総合福祉法骨格提言」の完全実現と
「障害者差別禁止法」の制定を求める
全関西集会決議
障害者権利条約批准のための国内法整備については、2010年はじめに立ち上げられた「障がい者制度改革推進会議」の第一次意見書(2010年6月)において、3つの法的な横断的課題が提起されました。
1つは、障害者施策の基本となる障害者基本法の改正、2つめは自立支援法に代わる「障害者総合福祉法」(仮称)の制定、3つめは、障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定です。
「障がい者制度改革推進会議」の第二次意見書に基づいて、2011年8月に障害者基本法の改正が行われました。これは、「可能な限り」という制限的な文言が入るなどの問題を含みながらも、障害の捉え方や障害の範囲、地域社会における共生を目指す等、大きな前進がありました。
そして、2010年4月には障害者自立支援法に代わる新たな法律について検討を行うべく「総合福祉部会」が設置され、権利条約と「自立支援法違憲訴訟団と厚生労働省との和解合意」を導きの糸として55人もの委員による精力的な論議を経て、2011年8月「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下、骨格提言)がまとめられました。
しかし、昨年2012年6月に国会を通過した法律は、「障害者総合支援法」と名前が代わり、総則に当たる目的や基本理念については、一定の前進が図られましたが、各論の具体的施策については、骨格提言のほんの一部しか盛り込まれず、骨格提言で提起された多くの課題については、残念ながら2016年をメドに今後検討するという形になりました。
骨格提言の完全実現を求める「日本障害フォーラム」(JDF)をはじめとする多くの障害者団体にとって、このままでは到底納得しがたいものと言わざるをえません。地域社会での生活のための基盤はまだまだ不足しており、早急に骨格提言の完全実現を図るべきです。
そして、障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備の重要な一環として位置付けられている障害者差別禁止法については、「障がい者制度改革推進会議」、そしてそれを継承する「障害者政策委員会」の下に位置付けられた「障害者差別禁止部会」から、2012年9月に「障害を理由とする差別の禁止に関する法制についての差別禁止部会の意見」(以下、差別禁止部会意見)が出されました。
しかし、この差別禁止に関する法制化に関しては、新たな政権の下で、差別禁止部会意見を正しく反映するのかどうか、関連省庁との合意をどこまで獲得できるのか、そして、国会審議での成立が可能かどうかさえ危惧されています。
障害者差別は厳然と存在しています。共生社会を実現していくためには、差別をなくすための法律と差別を解消していくための仕組みと実践が不可欠です。
本日の集会に結集した障害者・家族及び支援者は、障害者総合支援法に対する骨格提言の完全実施、及び障害者差別禁止法の法制化を日本政府に強く求めると共に、国内の早急な法整備とあわせた障害者権利条約の批准、そして地域生活のための障害者施策の充実を強く求めます。
2013年1月10日
全関西集会参加者一同
2月 3, 2013