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12/9 障問連2012年度第32回総会/シンポジウム、開催される

【活動報告】

12/9 障問連2012年度第32回総会/シンポジウム、開催される

障問連事務局

 

12/9、ラッセホール5Fにて障問連の第32回総会と差別禁止法と人権救済法についてのシンポジウムが開催されました。

 

★第32回総会報告

総会は野橋順子さん(NPO法人生活支援研究会)司会、凪裕之さん(NPO法人ぶったぁ福祉会)議長により議案書に基づき進められました。加盟団体37団体、14団体の出席、10団体の委任状により過半数を越えて総会は成立し、各担当者からの活動報告、会計報告、2013年度役員は全員留任、そしい情勢報告ならびに2013年度の活動方針、いずれも異議なく承認されました。以下、会計報告ならびに「私たちを取り巻く情勢」~「2013年度活動方針」を議案書から抜粋し紹介します。

 

議案書からの抜粋

(1)私たちを取り巻く情勢

昨年9月に提出された障害者制度改革推進会議/総合福祉部会の「骨格提言」は、色んな意見や立場の異なる障害者団体が苦労の末に合意して作られました。しかし、今年2月に厚生労働省から示された総合支援法案の中味は「骨格提言」の約60項目のうち数項目しか盛り込まれず、重要な課題についても3,年の経過規定を設けた極めて不十分なものでした。JDFやDPI日本会議の呼びかけにより全国の仲間が政権与党を中心に各政党の国会議員に対してロビー活動を行った事により、ごく一部ではあるが、骨格提言のいくつかの課題が盛り込まれ、また国会上程後も法案成立の過程で附帯決議が衆参両院でつけさせることができました。骨格提言の中味については今後とも全国の仲間と共に国に要望して行かなければなりません。

そして政権交代後、制度改革の中核であった内閣府に設置される推進会議も改正障害者基本法に則り、各省庁に対して意見を述べる権限を有する「障害者政策委員会」が発足、来年度からの障害者基本計画の策定と同時に、推進会議から引き続き差別禁止部法の制定に向けた差別禁止部会での議論が行われ、今年9月に意見書がまとめられました。現在各省庁との調整し内閣法制局により法案が作成されている最中ですが、11月16日に国会が解散され、今後の政権の行方によってはどうなるかは未知数という状況です。今総会の一週間後には総選挙が行われます。まさに現在、全国の仲間と共に兵庫県でも立候補者、参議院議員へのロビー活動が行われている真最中です。

また民主党政権は本来「安心社会」のための様々なセイフティーネットの構築を大きな公約として発足したにもかかわらず、政権基盤の脆弱性により逆風が吹き荒れています。その一つが今後の障害者の自立生活をも脅かしかねない生活保護における扶養義務の強化であり、国家財政の危機が強調され医療費削減を背景とし「誰もが等しくある存在の価値」を脅かす尊厳死法案の上程の動き、そして先端医療技術も伴った出生前診断の既成事実化、発達障害者が起こした事件での保安処分的な予防拘禁を堂々と述べる大阪地裁判決、てんかん患者の交通事故を理由とした偏見に基づくマスコミ報道等、一挙に優生思想に基づく動きが、不安定な社会状況の中、活性化しています。

さらに東日本大震災の傷跡は癒えず、とりわけ福島原発放射能漏れ被害の現実はまともな報道もされない中で、経済効率を優先した原発容認の動き、また現地での優生思想も水面下で進行していると報告されています。そして近隣諸国との領土問題を契機とした憲法「改正」の動きや、第三極とされる政治勢力の自衛隊の「国防軍」への転換といった右傾化の流れは、反差別と共に反戦/平和をスローガンとして発足した私たち障問連にとっても見過ごせない情勢です。

しかし、その一方でALS高齢者への介護保障裁判の勝訴判決、被後見人の知的障害者の選挙権裁判、入店拒否された精神障害者の裁判勝訴等、個別の権利擁護の闘いは推し進められ、また関西でも滋賀県が差別禁止条例制定へと動き出しています。政治状況に翻弄されることなく、「私たちを抜きに私たちの事を決めるな」と高らかに謳い進められてきた障害者制度改革の後退を許さず、当事者の要求、地域での取り組みが「共生社会」への礎であり、今後とも粘り強く取り組まなければなりません。

 

(2)2012年度総括ならびに運動を進める基本的な立場

《組織活動》

2012年度事務局の立て直し/強化として新たに事務局会議の毎月開催により組織としての活動が確立され、また空席になっていた事務局アルバイトが補充された事により、ホームページの開設など機能的に活動する事ができました。目標としていた組織拡大については、加盟団体の拡大という具体的な成果は得られませんでしたが、積極的な活動により様々な人とのネットワークが図れました。しかし強化されたとはいえ様々な課題に対応するには現在の事務局では力量を越えるものがあり、加盟団体との緊密な連携やニュースやホームページ以外の機能的な情報共有が求められます。

《個別課題》

・オールラウンド交渉の持ち方を変更し、兵庫県とは8月に第一次交渉、11月に第二交渉を実現し、県民にまともな情報公開もされず形骸化した「兵庫県障害者福祉対策審議会」の在り方を追求し、来年度から新たに「当事者部会」を設立させる成果がありました。

・しかし、グループホーム等の敷地内設置を認める県独自の基準条例が成立されるなど、郡部等における入所施設への依存傾向が続く限り、地域で共に生きる社会は実現されません。

・全国的に進められる差別禁止条例制定の取り組みも、垣根を越えた団体間の連携がうまく進まず、また県行政も消極的であり、進展は見られませんが、神戸市においては事務局長が施策推進協議会の委員として参加し、条例制定に向けた要望を継続しています。

・「教育」についても阪神間の定時制高校の募集停止が強行され、また特別支援学校の増設等、障害児教育の施策もますます分離が強まっていますが、十分な取り組みはできませんでした。

・神戸市においては、主に介護保障を巡る個別課題に積極的に加盟団体と連携して取り組みましたが、壁が厚く進展は見られませんでしたが、東部問題では加盟団体「飛行船」と連携/支援しながら、特別支援学校保護者の要求を「出前トーク」として行政にぶつけ、マスコミに取り上げられ、またグループホーム問題においても加盟団体以外の要望をえんぴつの家に寄せられ、障問連が窓口となり行政交渉を共に行うなど、新たな大衆的な要求闘争へと結び付けられました。

以上のように状況は厳しく課題は山積していますが、一方で丹波/篠山地域での取り組みは来年度に持ち越しになりましたが、姫路地区での映画「精神」上映会、神戸市西部地区でのシンポジウムの開催等、方針に掲げた取り組みを実現する事ができました。様々な人とつながりつつ、要求を粘り強く継続する事を通じ、県下全域に障問連とつながる当事者・家族・支援者のネットワークを創り出す事が、「共に生きる社会」に至って行くと、困難ではあるが一歩一歩取組んでいかなければならないと実感した1年でした。

 

(3)2012年度の活動方針・具体的な取り組み

■事務局の役割

前年度、事務局が新たに確立され、事務局会議の毎月開催、機関誌の発行、ホームページの開設等、充実する事ができました。今年度の目標は、広い兵庫県下の各地に障問連運動に共感する障害当事者や家族、支援者、関係者とのネットワーク化を図る事を目標とし、その中核として事務局から様々な情報発信できるように努めたいと思います。以下、具体的な取り組みを列記します。

・事務局会議を毎月一回開催し、今年度活動方針の具体化に向けた取り組みを検討します。

・事務局、各担当者ならびに各地の主要なメンバーとの連携を密にするためメーリングリストの開設。

・機関誌の毎月発行、ホームページを随時更新し内容充実に努めます。

・障問連を広報でき、団体加盟、個人会員を募れるようなるリーフレットを作成します。

・上記の情報発信と加盟団体との連携を密にし、拡大事務局会議の参加や事務局次長を担う人材を送ってもらえるよう積極的に働きかけます。

 

■組織拡大の取り組み

前年度、組織拡大を目標とし、様々な活動を通じてつながりは形成できましたが、具体的な加盟団体の拡大には至りませんでした。2013年度も主要な地域を定め、各地域の加盟団体、関係団体との交流を深め、共同の取り組みを実現していきます。また障害当事者の育成のため、工夫した取り組みも行います。

・拡大事務局会議を半年に一度、主要な地域に出向き開催します。2013年度は姫路~加古川地域、尼崎地域での開催を目標に地元団体と相談し、有意義な会の開催に努めます。

・篠山~丹波地域の実情を聴き取り、交流を促進し、上映会または重度障害者の自立生活に関する講演会など、地元団体との共同の取り組みを実現します。

・県北部、但馬、北/西播磨地域など、グル―プホームがない、移動支援が実施されていないなど、地域で生きるための福祉サービスが極めて不十分な状況です。障問連として実態把握に努め、今後の各地域団体や個人と共同した長期取り組みを検討していきます。

 

■オールラウンド交渉

2013年度においては、以下のように取り組んでいきます。とりわけ兵庫県教育委員会との別途交渉を実現します。

兵庫県とのオールラウンド交渉

・1月     2012年度交渉の積み残し課題を整理し要望書の作成

・2~3月   障害福祉部局を中心に積み残し課題に関する交渉の実現

・2~3月   県教委との別途交渉

・4~6月   2013年度対兵庫県要望書を拡大事務局会議で検討

・6月     代表者会議を開催して対県要望書を作成し県に提出する

・7~8月   障害福祉部局と第一次対兵庫県交渉

・11月    兵庫県オールラウンド交渉

神戸市とのオールラウンド交渉

・1月     2012年度交渉の積み残し課題を整理

・2~3月   個別課題の事務折衝

・4~6月   2013年度対神戸市要望書を拡大事務局会議で検討

・6月     代表者会議を開催して対神戸市要望書を作成し神戸市に提出する

・11月    神戸市オールラウンド交渉

 

■各課題への取り組み

○兵庫県に対する重点取り組み

・国の差別禁止法制定の状況を踏まえ、兵庫県での条例制定の要求に取り組みます

・「兵庫県障害者福祉対策審議会」の「当事者部会」の新設に向けて兵庫県と折衝を行い、部会に参画し積極的に審議会に働きかけていきます。

・グループホーム等の入所施設等の敷地内設置を容認する基準条例の撤回を求めます。

 

○神戸市での重点取り組み

①神戸市西部地区での取り組み

2012年10月開催のシンポジウムを踏まえ、西部地域での自立生活運動、介護保障要求に積極的に取り組み、ガイドライン(支給基準)の改定を長期目標として取り組みます。

②差別禁止条例/DPI日本会議総会

2013年6月にDPI日本会議の総会が神戸で開催されます。障問連として実行委員会の一員として積極的に関わって行きます。その取り組みと併せて、神戸市・障害者施策推進会議の中で検討が進められる差別禁止条例制定に向け、各区の地域フォーラムへの参加、市議会議員への働きかけ等、取り組みを強化します。

③その他/個別課題

・神戸市東部問題・・・加盟団体「飛行船」の取り組みを支援し、神戸市会議員への働きかけ、行政との協議に取り組みます。

・入院時コミュニケーション支援事業・・・・制度の柔軟運用/利用促進を働きかけます。

・介護保険適用問題・・・従前のサービスが損なわれないよう働きかけます。

・知的障害者移動支援の上限撤廃に向けた取り組みについて、個別課題も含めて取り組んでいきます。

 

○教育

兵庫県における「インクルーシブ教育/共に生きる教育」実現に向け県教委との交渉を意義あるものにするため、オールラウンド交渉でなく、個別交渉として実現できるよう取り組みます。

・平成24年度からの「特別支援教育推進計画」策定について、障害当事者/障害者団体の意見を聞き入れない姿勢を糾弾し、最低限関係団体からのヒアリングを実施するよう申し入れます。

・2月に例年通り教育集会を開催します。

・映画「養護学校はあかんねん」が復刻され、上映会を大衆的に開催します。

・教員、保育士等自治体労働者との連携を模索します。

・親のネットワークや各地域の親の会、教師と連携して個別就学問題に取り組みます。

 

○精神障害者の権利実現に向けた取り組み

・県、神戸市のオールラウンド交渉での精神障害者問題の要求項目を精査し取組みます。

・精神障害者の地域移行、退院促進を推し進めていくよう積極的に取り組みます。

・加盟団体が3月に開催する川西市での映画「精神」上映会を支援します。

 

○障害者春闘

2013年度障害者春闘を下記のように開催します。12/16総選挙による新しい政権の下での通常国会で、差別禁止法の行方は不明ですが、兵庫県から差別禁止法制定要求の声を高らかに上げていくためにも、春闘を成功させます。

日時:3/30(土)午後 場所:未定 テーマ:「差別禁止法と各地域での条例制定の取り組み」

○差別禁止条例制定に向けて

・2013年度、国における差別禁止法制定に向け、地元国会議員への要望活動を行います。総選挙後に新たな政権が成立し、通常国会における審議に注目し、2月には京都で全関西集会が開催され、3月障害者春闘と兵庫から法制定の声を高めていきたいと思います。

・HIL(兵庫自立生活センター協議会)と連携し、兵庫県・神戸市での条例制定に向け取組みます。

 

○震災支援

障問連の加盟団体により様々な支援活動が実施されており、情報提供していきたいと思います。

 

○広報/その他

・『障問連ニュース』を引き続き毎月発行し、ホームページを充実させ、積極的に広報を図り、各地に購読者の拡大を図っていきます。

 

2012年度会計報告

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