オールラウンド交渉 市・町の制度

12/7対神戸市オールラウンド交渉報告

【報告】

~12/7対神戸市オールラウンド交渉報告~

星屋和彦(NPO法人Beすけっと)

2012年12月7日に神戸センタープラザ6Fにて行われた神戸市とのオールラウンド交渉について報告させていただきます。

 

【教育】

○「インクルーシブ教育」:国が大きな方向性として「インクルーシブ教育」を打ち出していることについて言及するが、「神戸市としてはインクルーシブ教育について、指針はまだ明確にできていない。今後の国の動向に注目しながら」という消極的なものだった。

○「学校から学童保育への移動」:移動に付き添いの必要な普通校に通う障害児が、放課後に学校から学童保育に向かう際、たった15分の距離なのに学校側からも学童側からも支援が受けられず、送迎をしてくれる事業所を探すも毎日15分の対応をしてくれるところもなく困っているという問題。市のこども家庭局は「基本は学童は自力で通えて身辺整理もできる児童のみ。障害児に対しては柔軟対応で『自分でボランティアを見つけて』送迎してもらって」という回答。障問連として、「ボランティアと簡単に言うが、そんな簡単には見つからない」と抗議すると共に、ボランティアを区のボランティアセンターに親が自分で探しにいけとか、丸投げになっている状況はおかしい、教育委員会も「学外のことは知らない」と言うし、誰も責任を取ろうとしていない現状についてどう思うのか、と追求。どこに相談に行っていいのかわからず困り果てている当事者のために、こども家庭局でも相談窓口を設置することを検討するように要望した。また特別支援教育課からも消極的な回答しかなかったため、各課の縦割りの対応でなく、各課の連携の必要性を訴え、こういう問題が出ていることを持ち帰り整理するよう求めた。

○「学校行事に親の付き添い問題」:障害児が普通校に通う際に、修学旅行などを含めて学外行事に学校側が親の付き添いを求めるケースがあとを絶たない問題について、特別支援教育課は「管理職研修などにおいて、安易に付き添いを求めないよう指導している。9月には文書通知もした」と回答。その割には問題があとを絶たないことを懸念した障問連としては、個別に困ったケースがあった場合や、情報をしらない障害児の親のためにネットワークを使って周知を手伝いたいので、その文書通知について情報提供を求めた。

 

【交通/バリアフリー関係】

○「ホームドア・可動式ホーム柵」:平成23年に出た「移動等円滑化に関する基本方針」にあるように、一日平均乗降客数が3000人以上の駅について、優先的にバリアフリー化を進めることは必要であると認めたものの、障問連の求めるホームドア・可動式ホーム柵については「現状では義務化ではなくお金もかかるため難しい。神戸市では内方線で対応」と回答があった。神戸市で10万人以上の駅舎である三宮・神戸についてはホームドア・可動式ホーム柵を最優先で設置するよう訴え、また大阪ではすでに設置された駅舎もあることを訴えたが、前向きな回答は得られず今後の課題となった。引き続き要望していきたい。

また、実際にJR住吉駅で車椅子の転落事故があったが、そのことをバリアフリーの街づくりを呼びかける神戸市の担当部署が把握していない現状もわかり、それはおかしいのではないかという問題提起をしたところ、市にはそういう民間交通事業者から事故の報告を受けるシステムがあるのかどうかからまず把握に務めると回答があった。

○「バス研修」:バスの運転手に向けた障害者ユーザーによる研修をするように障問連として長年訴えてきた問題については、昨年回答で「神戸市としては十分に対応できていて問題と考えていない。もし何か運転手の不適切な対応があれば報告をあげてくれたら、その営業所との話をする場を考える」とあった。今回、実際に不適切な対応があった事例を交渉の場でも何件か障問連から上げられ、昨年の約束通り問題のあった営業所との話し合いの場を設定するよう要望し、回答待ちとなっている。

○「神戸市のバリアフリー基本構想」:今年の3月に基本構想ができ、市内9地区が重点地区として指定されたが、このこと自体、一般の市民・障害者にその情報が行き渡っていない現状がある。神戸市が意見を聞くのは決められた大きな障害者団体のみになっている。進捗状況を確認したりするのに、もっとその9地区に住む障害者が参加できるようなシステムを作るように要望した。バリアフリー推進会議で基本構想の進捗状況のチェックをするので、まずはその会議の中で「このメンバーだけでいいのか。パブリックコメントだけでなく、会議そのものにもっと広く障害者に関わってもらってはどうか」ということを議題にあげる、ということで神戸市の同意を得た。

 

【労働】

まずは、今回も忙しい時期という理由で人事課の参加がなかったため、別途話し合いの場を求め、調整を要望した。

○「知的・精神障害者の神戸市採用について」:人事課がいなので話も限られたものになったが、今回の交渉の場では知的・精神障害者の神戸市職員採用において、身体のように採用枠がなくトライアルに留まっていることについて少し突っ込んだ話を障問連からした。実際に雇用後に精神障害を発症する神戸市職員もいる中で、その職員は精神障害を持ったあとも配慮を受けながらそのまま働いている現状がある。それならば精神障害者の神戸市職員雇用については何ら問題がないはずでは?ということで、民間会社に障害者の雇用促進を訴えている市としては、率先して精神障害者雇用の枠を作り実践していくよう強く要望した。

 

【精神障害者問題】

○「グループホーム等の設置基準条例」:精神分野だけの問題ではないが、グループホーム等の設置基準条例ができたことについてここで議論された。地域移行という名目で、入所施設/病院の敷地内でのグループホームの設置を、今回、神戸市として一定の条件の下で認める条例を決定したということに障問連として抗議。では、神戸市の一定の条件や方向性はどんなものなのかという質問については、「建物として別になっていること、地域との交流ができることが前提で、入口が病院とは別になっていること、敷地から道路に直接出ることができるようになっていること、周辺住民が容易に訪問できるようになっていること、自治会活動など地域活動に積極的に参加する意向があること」が条件で、「敷地内設置も選択肢の一つに過ぎない」という回答があった。しかし、そもそも入所施設などは市の北区西区の山間部等に多く存在しており、敷地内は地域から隔絶されることが多いため、敷地外で住宅街や街中にこそグループホームが設置されることが本当の地域移行ではないか、という問題提起を行うとともに、「選択肢の一つ」と言うがそれでは他の選択肢として、グループホームがたくさん敷地外や地域に出来ているかというと、【グループホーム関連】でも議論されたように新設のグループホームがほとんど増えていない現状あるので、敷地内設置「以外」の選択肢を充実して初めて敷地内設置が選択肢の一つになるのではということを訴えた。

 

【介護保障・支給決定】

○「ガイドライン」:市の自立支援課の回答としては、「ガイドラインや支給決定については各区に対して研修で周知徹底しているので問題はないと認識」というものだったが、当日、参加した当事者から「兵庫区で一人暮らしを目指しているが、区からは1ヶ月に239時間しか出してもらえず、夜中も『巡回を使え』といわれるし、とうてい時間数が足らなくて困っている」という発言があった。「区役所は『あなたの希望しているこの時間数では市の自立支援課を説得できない。この介護がないと命に関わるとはいえないから』と言ってくる。自立支援課の対応に問題があるのでは?」と突っ込んだ質問をすると、自立支援課は、「夜中に一晩中介護がいるかどうかは、『介護がないと命にかかわる』なら文句なしにつく。かかわらない人は個別に判断だが夜中に必要な介護がトイレと寝返りだけなら巡回で十分と認識」「例えば『寝返りをしないと骨折する』などがあれば夜中でも介護がつく」などの神戸市の見識を疑う発言が相次ぎ、会場は紛糾。会場からは、「本人が望まないのに、夜中はオムツをつければ十分というのは、人間らしい生活を保障しているとはいえない」「障害者は介助を付けたくて付けているのではない。最低限人間らしい生活をするのに必要だから付けているだけで、介助時間を『贅沢をしている』ように言うのはおかしい」などの意見が相次いだ。

今回の質疑で、「命にかかわる」という前自立支援係長の認識が現在の自立支援係長にも引き継がれ、かつその言葉が独り歩きし各区での支給決定に多大な影響を与えている現状がはっきりとわかった。また、当日会場にいた自立支援課長にも「『命にかかわるか否か』ということが神戸市の支給決定の要件なのか」と問い質すと、課長は「そうではない」と回答。障問連として、「命にかかわる」という係長の見解を撤回するように強く求めるとともに、自立支援課内でも課長・係長できっちり話をするように要望した。

今後も上記兵庫区のケースなどを支援しながら引き続きガイドラインについて要望していきたい。

○「介護保険問題」:65歳になった障害者が、神戸市基準によりそれまで使っていた障害福祉サービスから介護保険サービスに移行を迫られ、生活の大きな変更や後退を余儀なくされるケースが出ている件については、市は「個々のニーズをしっかり聞き取り機械的な適用はしない」と回答。障問連として、各区の現場では神戸市の適用基準が絶対で、ニーズの把握などのきっちりとしたケースワークがされていないケースが頻出していると訴え、柔軟な対応を指導するよう要望。それに対し神戸市は実態調査に務めることを約束した。

○「移動支援の支給時間」:移動支援において社会生活上必要不可欠な外出については、32時間を越えて支給量の決定ができることとなっているが、きっちり運用されているか確認した。実態としては、この1年間で実際に32時間以上の支給決定を受けた障害者は8名(身体7名・知的1名)とのこと。障問連加盟団体のケースでは、知的障害者の移動支援で32時間以上の支給決定を求めたがグループホームの業務との関連で認められなかったことがあり当日会場からも質問が出たが、必要不可欠外出は病院や銀行だけでなく日常生活上必要なものの買い物も含むという市からの回答があったものの、質疑にあまり時間が取れず残念ながら突っ込んだ話ができなかった。

 

【グループホーム関連】

「建築基準によるグループホーム新設却下問題」:グループホームの新設を申請すると、建築基準を「寄宿舎扱いにする」という理由で却下されるケースが相次いだ件について、先日行われた兵庫県交渉でも質疑をした結果、県からは「寄宿舎扱いというのは原則だが柔軟運用をしている市町村がほとんど。厳格なのは神戸市だけ」という回答を得た。そのまま今回の市交渉で県の回答を伝えると、市は「知らなかった。県の担当から直接話をきいて調査する」とのこと。その後の経過の後追いが必要。

 

【神戸市東部問題】

神戸市東部では、生活介護事業所がきわめて少なく、重度障害者の進路先の確保は緊急課題になっている件について。市も「地域移行」と言っているが、出てきた対応としてはHAT神戸に41人以上の生活介護を作るというもの。それでは施設と変わらないのでないかという懸念を伝えると、市は「24時間をそこで過ごすことは想定していない。入所施設ではないと事業者への説明会でも伝える」と回答。障問連として、もっと小規模な地域に根ざした生活介護を作らないと地域移行とは言えない、そのための施策を予算取りも含めて早急に対応して欲しいと要望。それに対しても市から「小規模も忘れていない、そのための補助制度のために来年度予算獲得のため動いている」という回答があったので、今後の動きに要注目。

 

以上、取り急ぎの報告でした。積み残し課題や返答待ちについてなどを早急にとりまとめ、2~3月にまずは障害福祉部局との事務折衝を実現していく予定です。また報告させていただきます。

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