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『NPO法人チャレンジひがしなだ』のご紹介

 

 

『NPO法人チャレンジひがしなだ』のご紹介

障問連事務局

 

神戸市東灘区の『NPO法人チャレンジひがしなだ』の現理事長である武田さんと前理事長の高島さんにインタビューしてきました。

<チャレンジひがしなだ>は知的障がい者である本人たちとその親御さん、支援者のみなさまで構成されている団体で2003年4月に結成されました。当時、知的障がい者の親の会『社団法人神戸市手をつなぐ育成会』の東灘支部長であった高島さんは、「このままでは親亡き後の子どもたちが地域で暮らしていけなくなる」と危機感をつのらせる親の発言をきっかけとして、『財団法人こうべ市民福祉振興協会』の助成金を受け、『みどり福祉学級』という勉強会を呼びかけました。その時集まったメンバーのなかで任意グループとして『障がいのある人の自立と社会参加を進める地域活動グループチャレンジひがしなだ』を設立しました。

 

一方、勉強会をしながら知的障がい者本人たちの活動を立ち上げようと計画していた時に、神戸大学大学院人間発達環境学研究科に就任して間もない津田英二教授(障害共生支援論等で知られる、当時は准教授)と知り合い、これからグループを結成するという立ち上げ時期からか関われるチャンスは滅多にないので、ぜひお手伝いさせていただきたいと自ら申し出られました。そして津田教授の支援により、本人たちが話し合ってフレンド』というグループが立ち上がりました

この『フレンド』の活動は、<チャレンジひがしなだ>結成後今も神戸女子大学植戸貴子教授の支援で続いています。ある日、ある親が活動を振り返り、フレンドはもう「4年になる」と言うと、子どもは「2年だよ」と言ったそうです。その話を聞いた親たちは、親主導でスタートして4年になると思いましたが、本人にすれば自分たちが決めて活動するようになってからの年月を本当のフレンドの活動と思っているということに気づき、親自身の身勝手さを改めて思い知った、とうかがいました。

 

勉強会を続けて4年目、いつまでも机上の空論では前に進めないと具体的な動きを始める決心をしました。<チャレンジひがしなだ>は、2003年4月にまず無認可グループとして結成し、東灘区ボランティアセンターに登録しました。初めは支援者団体ではないということでボランティアグループとして登録を認められませんでしたが、知的障がい者自身が地域活動を通じて共生の地域作りに貢献できるという趣旨を話すと理解してくださり、登録を認められました。そして、このことからボランティアセンターを通じて甲南大学の学生から大学の教室を借りて本人たちにパソコンを教えてもらう機会や、活動ボランティアの紹介を受ける機会を得ました。

<チャレンジひがしなだ>は無認可の地域活動グループとして発足したときから、家賃月12万円を会員22名で出し合い、活動拠点『わっはの家』を設置していました。日頃からこの『わっはの家』で活動を行うことで、緊急時に慣れた場所で、知的障がい者・児を預かり、生活のリズムが乱れることなく落ち着いて過ごすことができます。その緊急時の利用が最初に必要となったのは、初代の高島理事長ご自身でした。ご主人が脳梗塞で倒れて入院となり、高島理事長は子どもを『わっはの家』に預けて病院に通う日々となったのです。

しかし、拠点があっても預けられる知的障がい者を見守る人がいなければなりません。そこでメンバーのサポートを『YOU遊』と名づけて、会員が交代で見守る仕組みをつくりました。この『YOU遊』は各会員が月2回当番となります。ある日『わっはの家』の壁に貼ってある当番表を見た知的障がい者本人が、自分も当番に入ろうと名前を書き加えたそうです。それを見て胸が熱くなり、その当番表は宝物として今も大事に保管していると高島さんは話しました。

<チャレンジひがしなだ>は2009年にNPO法人となりましたが、活動拠点『わっはの家』には、現在も常駐する人がいません。『独立行政法人福祉医療機構』などいくつかの助成金を取得していますが、すべて一回きりのもので、その都度申請書を丁寧に書いておられます。助成金は参加されたボランティアへの謝礼などに充てられています。

 

地域活動・交流は年中行事の軌道に乗せられ、活発に展開されています。

基本は毎月1回、地道に継続している地域清掃です。空き缶、紙くず、ポイ捨てタバコなど拾い集め、近隣の皆様から喜ばれることが励みになっています。

魚崎南町5丁目自治会の夏フェスティバルは、初代理事長の高島さんが住民ということで綿菓子とポップコーンの出店を呼びかけてくださるそうです。地区ごとの出店が並ぶ中、自治会のご厚意により<チャレンジひがしなだ>のみ団体出店させてもらっています。他には深江北部民生委員会からお誘いを受けて、東灘小学校校庭で行われる深江夏祭りにも参加するそうです。

毎年11月に住吉公園で催される『ふれあいフェスタ』にも、グループ結成以来毎年出店しています。『ふれあいフェスタ』は区の健康福祉企画で、団体紹介がされますが、知的障がい者本人たちがステージに立って、会場の人たちにご挨拶しています。

魚崎川西自治会が運営する『ふれあい喫茶』の訪問もします。『ふれあい喫茶』は毎月第2月曜日の午後、地域の方々がコーヒー、紅茶をいただきながら歓談する憩いの場です。<チャレンジひがしなだ>のメンバーが訪れた際には、すぐ隣のグループホームの高齢者も来られ、にぎやかな交流になりました。

東灘区老人会連合会福祉部の皆様とは<おひなまつり交流会><グランドゴルフ交流会>が行われました。魚崎婦人会の皆様とは魚崎地域福祉センターで行う料理教室に参加させていただき、料理作りで交流しています。

武庫川女子大学音楽学部の方とは、一緒に「なごやかコンサート」を催し、オカリナ、ハンドベル、トーンチャイムの演奏を親子いっしょに習って成果を発表しました。

 

勉強会も子どもたちが親元を離れて暮らせるようになることを目標に行われています。『尼崎市知的障害者育成会』が進めている『生活訓練ホーム事業』を見学した際には、これはまさに次のステップとして目指したい!と思われました。グループホームで支援つきの自立生活を果たすために今の宿泊訓練をもう少しステップアップさせたいという思いがあるのです。『わっはの家』での合宿スタイルではなく、自分のプライベートスペースを確保できて、支援者がきちんと配置される体制を東灘でも実現したい、とのことです。

時には本人たちの話し合いの場も設けます。話を進めて下さる方を招いて親たちはあえてグ~ンと後ろに引いて、手も口も出さないようにします。ある日の話し合いの中で、「親は死なない、ずっと元気でいると思ってる人?」とメンバーに向けて質問された時、ほとんどのメンバーが「はい!」と手を上げて答えました。親御さんたちとしては、うれしいような、悲しいような、複雑な心境でいるご様子です。

 

最後に知的障がい者であるグループメンバーを紹介しておきます。鉄道に超詳しい鉄道マニアのテッチャンは、乗り物マニアが高じて思いがけず就職でき、シティーループの清掃に日々汗を流しています。高等部を卒業後、北区で畑仕事をし、野菜の名前を全部覚えて収穫後の袋詰めもしている野菜の達人もいれば、「野球のことならまかしとき!」という野球マニア、障害者シンクロのチームで華麗な泳ぎを魅せる人魚姫までいます。子どもたちのこうした多彩な才能を花開かせている背景には、親御さんたちが子どもたちの将来を想い、小さい頃から子どもにいろいろなことをさせてきた姿勢、信念があります。この子にとって何が必要か?どんな人間になるか?どこで誰と生きていきたいと思うか?本人を主体とした思いを、親御さんたちも心を尽くして想像し、何度もやり直してきました。その苦悩と真心が底知れぬ深さで思い知らされます。

 

さらに詳しい情報、ブログはこちらへ

NPO法人チャレンジひがしなだ

http://www.wahha.org/

 

<お知らせ>

今年の『なごやかコンサート』は

10月28日()1時半(1時開場)~
魚崎小学校せせらぎホールで行います。

 


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