市・町の制度 交通バリアフリー 生きる場/作業所

平成24年度第1回神戸市障害者施策推進協議会の報告

平成24年度第1回神戸市障害者施策推進協議会の報告

障問連事務局

神戸市障害者施策推進協議会では障問連の石橋宏昭が委員を務めています。9月27日(木)15:00~17:00 神戸市役所1号館14階 大会議室にて開催された内容について簡単に報告させていただきます。

 

議題・報告

(1)神戸市福祉乗車制度のあり方検討会の報告について
(2)障害福祉サービス事業等の運営基準等の条例化に伴う市民意見募集について
(3)障害者虐待防止法の施行について
(4)その他

 

(1)神戸市福祉乗車制度のあり方検討会の報告について

昭和43年から始まるこの制度は、社会参加の促進と移動支援を目的としており、現在、身体障害者(1種または1級~4級)、知的障害者、精神障害者、原爆被爆者、戦傷病者、中国残留邦人等高齢者、被保護高齢者、母子世帯、中国残留邦人等世帯、被保護世帯が対象になっています。

適用される交通機関は、市バス、市営地下鉄、民間バス(神姫バス、山陽バス、神鉄バス、阪神バス、阪急バス)、ポートライナー・六甲ライナーであり、福祉乗車証は区役所等での窓口で交付されています。平成23年度実績で90,330枚交付され、市の負担金は19億3300万円です。

主な問題点として挙げられたのは以下の3点です。①路線の拡大と対象者の増大により、市の財政負担が大きくなっていること。②現行の磁気カードでは正確な利用実績が把握できない上に、不正使用のおそれもあるためICカード化する。③被保護世帯は生活保護の「移送費」などと重複している。

 

知的障害者、精神障害者、身体障害者については、福祉乗車証の他に、①重度心身障害者タクシー利用券、②障害者手帳の提示による割引があります。いずれも年々増加傾向にあるため個人負担の案も出されましたが、障害者の社会参加という基本法の理念に則り、障害福祉の範疇に入ることを確認しました。そして、この福祉乗車証制度のあり方については、当事者を交えた分科会を設けて検討を続けることになりました。

 

(2)障害福祉サービス事業等の運営基準等の条例化に伴う市民意見募集について

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(地域主権改革一括法)が、平成24年4月1日より施行(1年間の経過措置あり)され、これまで厚生労働省令等によって定められていた障害福祉サービス事業等の人員・設備等に関する基準について、条例で定めるよう規定されました。神戸市では、平成25年4月1日施行を目途に条例の制定を予定しており、条例制定にあたって、市民意見を募集するということで、神戸市ホームページでパブリックコメントが約1か月間募集されていますが、本協議会でも意見が述べられました。

 

看過できない案は、グループホーム・ケアホーム関連に1件みられます。現行では、「共同生活住居は、住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所により日中及び夜間を通してサービスを提供する施設又は病院の敷地外にあるようにしなければならない。」との規定があります。ところが、この神戸市独自基準案においては「入所施設等と独立した建物で、住宅地と同程度に地域住民との交流機会が確保できる場合に限り、入所施設等と同一敷地内の設置禁止規定を緩和する。」とされています。

ある委員からは、土地が余っているにもかかわらず設備の更新が進まないという現状が述べられましたが、障問連としては、障害者が施設に収容されることなく、地域で普通の暮らしをする共生社会を目指しているため、反対するとはっきり述べました。他の委員からも、精神病院を退院し、同じ敷地内にある施設で過ごしているものの、同じ病院食を食べているため、退院しているという自覚がないなどというケースが紹介されました。また、施設内敷地にあっては本来のグループホームやケアホームにならない。それでは囲い込みになってしまうという意見も述べられました。

 

(3)障害者虐待防止法の施行について

「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」いわゆる障害者虐待防止法が平成24年10月に施行されます。

この法律は、障害者の尊厳を害する虐待を防止することとともに障害者を養護している養護者への支援が規定されています。これは、虐待の原因が、養護者の介護疲れや障害への知識不足などにあることが多いことから、虐待をなくすためには、養護者に対しても、支援を行っていく必要があるからです。

同法で定義される障害者は、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」としており、障害者手帳を取得していない場合も含まれます。

障害者虐待防止法では、障害者虐待を、ア)障害者を養護している養護者による障害者虐待、イ)障害者が入所・利用している福祉施設従事者あるいは障害福祉サービス事業者等による障害者虐待及びウ)障害者が就労している職場の使用者による障害者虐待の3つに分けています。

この法律では、障害者虐待防止センターの設置が規定されており、神戸市においては、公募を行い、社会福祉法人ヨハネ会が神戸市障害者虐待防止センター委託事業者として、決定しました。

障害者虐待防止センターは、電話あるいはFAXで24時間365日相談できる虐待対応の窓口として、障害者虐待を未然に防止し、障害者及び養護者への支援を一層充実したものにすることを目的としています。障害者虐待防止センターの業務内容としては、障害者の虐待通報等の受付を行うとともに、養護者や障害者等からの相談にも対応し、助言や指導を行っていきます。

 

以上のような内容ですが、施行日の平成24年10月はもう3日後であり、もうすでに決まっていることが報告されただけでした。神戸市自身も「障害者が安心して社会で暮らせるよう、障害者とその家族全体を、地域ぐるみで支援することが大切です。」と述べているにもかかわらず、今回の虐待防止法への対応はセンター事業者を決めただけに止まっています。障害者が地域で生きていくことを支援していくのですから、虐待防止の施策も地域に根差したものにされていくのが適切でしょう。

 

(4)その他 ~傍聴の定員について~

最後に、本協議会は、傍聴の定員が10名とされていますが、20名に変更するという案に異議はありませんでした。介護者はカウントされません。なお、受付終了後、定員を超えた場合は抽選により傍聴人を決定すること、傍聴人は写真等の撮影及び会議の録音はできないことはこれまで通りです。

« »