国/県の制度

9/28、厚労省が生活保護制度の見直し素案を公表

9/28、厚労省が生活保護制度の見直し素案を公表

セーフティーネットの機能が後退しかねない危険な施策

障問連事務局

 

■生活支援戦略(厚労省案 要点)

Ⅰ 新たな生活支援困窮者支援体系

・生活困窮者を早期に把握する「相談支援センター」を設置

・「貧困の連鎖」防止策として、生活困窮家庭の子どもの学習支援

Ⅱ 生活保護制度の見直し

《就労支援の強化》

・積極的に就職活動を行う人に保護費を加算

・収入額があっても一定額は保護費が減額されない制度を拡充

・働いて得た収入の一定額を保護脱却時に支給する「就労収入積立制度」を創設

《健康・生活面の改善支援》

・住宅扶助費を現金支給せず、自治体による家賃の「代理納付」を推進

《医療扶助の適正化》

・医療扶助の長期受給者には他の医療機関での検診を求める

・指定医療機関の指定・取り消し要件を法律上、明記し、有効期間を設ける

《不正・不適正受給対策を厳格化》

・働く意思がなく保護を2回打ち切られた場合、3回目の審査を厳格化

・資産と収入のみの調査権限に、就労状況や保護費の支出状況などを追加

・不正受給に対する罰則引き上げ

 

■「アメとムチ」~安全網後退の懸念も~

9/29毎日新聞報道によると、「アメ・・・就労意欲を促すための加算金」「ムチ・・・審査の厳格化」の両面で踏み込んだと報じられているが、「働く意欲」と言うが、働ける職場はこの改善されない不況の下であるのか、また何を持って意欲を評価するのか、そしてこれら施策の実効性に疑問が残ると同紙でも指摘されている。そもそも民主党政権が掲げる社会のセーフティーネットの機能強化という本来の趣旨が、一部自民党議員が意図する生活保護受給者へのバッシングとそれに誘導されたマスコミ・世論に迎合する事により、今回の素案も極めていびつな内容になっている。さらに今後総選挙の結果によれば、自民党政権の誕生も予想される中、今回の素案がより強化されかねない危険な状況と言わざるを得ない。

最も恐れる事態は「審査の厳格化」。同紙にも自治体担当者のコメントとして「国が『厳格化』にお墨付きを与えた意味は大きい。餓死者が出ても自治体が矢面に立たず、国の責任にできる」と紹介されている。かつての水際作戦が全国的に展開され、本来生活保護を必要とする人に支給されない、保護申請も自ら断念しかねない事が予想される。障害者の自立生活にとっても影響は大きい。障問連としても今後とも注視し取り組むべき課題を検討していきたい。

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