オールラウンド交渉

2011年度 兵庫県への要望書

2011年8月25日

兵庫県知事

井戸 敏三様

兵庫県教育委員会

大西  孝様

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

2011年度  障害者問題に関する要望書

 

貴職におかれましては、障害者の権利実現を基本とし、自立と社会参加の推進など障害者福祉の向上のため日々尽力しておられることと存じます。

さて、国会では障害者基本法が抜本的に改正され、いよいよ総合福祉法(仮称)への制定へと動き出そうとしています。何よりその基調として国連・障害者権利条約の理念、すなわち障害のある人もない人も平等な権利が保障される社会の実現が求められ、どんな障害を持つ人でも地域で生活する事、同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育の実現、その他情報保障、就労保障等、全般にわたって、その権利が保障されなければなりません。

一方、今年3月11日に発生した東北・関東大震災による甚大な被害に対し、兵庫県行政としても最大限の支援をされていることと思います。私たち障問連も阪神大震災における障害者救援に尽力し、また全国的な支援を受けた経緯からも、加盟団体による支援活動が継続して行われています。未曽有の災害ではありますが、残念ながら障害故にその生命が断たれた人がいます。改めて災害時においても障害者がその生命・生活が保障されるためにも、地域社会でその人の存在がしっかり認識され、安心して暮らせる十分な支援基盤が必要である事が、今回の震災からも明らかになっています。また、震災復旧に伴う国の財政難による地方交付税減額があった場合でも、兵庫県における障害福祉施策の後退はあってはなりません。

国における制度のあり様が、どのように変わろうとも、兵庫県において、どんな重い障害を有していても、権利主体として、その人の意思や希望が尊重され、地域でその人らしい地域生活や、地域で共に学び共に働くことを実現していくこと、そのためのシステムを社会に構築していくことはますます求められます。すでに平成24年度からの第三期障害者計画策定のため、第二期計画の現状分析、そして県として市町村に基本的な考え方を示し、数値目標・サービス見込み量について市町村との調整が行われている事と思います。しかし、地域移行は本当に進んでいるのでしょうか。地域移行にあたり、地域で生活できる社会基盤・社会資源は十分にあるのでしょうか。昨年度のオールラウンド交渉における貴局の回答には、本気で地域移行を推進させる積極的な施策を実行する意欲があるのか、疑わざるを得ない回答もありました。人生にもう一度はありません。その人が地域生活する権利、選択できる権利が当たり前に保障されなければなりません。

また、一方インクルーシブ教教育の推進が求められているにもかかわらず、昨年度に続き来年度も阪神間に特別支援学校が開校します。私たち障問連や多くの県民の声を聞き入れず定時制高校を募集停止し、さらに多部制高校と同じ敷地内に特別支援学校を設置、共同学習することを欺瞞的に「ノーマライゼーション」として推し進める事に強く抗議するとともに、小さい頃から障害児と健常児が同じ教室で共に学び共に生活する重要性は明らかであり、改めて兵庫県における共生教育の理念、実現へのビジョンを県教委が示すことを強く求めるものです。

このような障害者施策を兵庫県全域で推進していくためには、兵庫県障害福祉行政が果たすべき役割は大変大きく、私たちの今回の要望内容を盛り込んだ第三期障害者計画を策定して頂くよう強くお願いするものです。今回、精神障害者問題について、県障害福祉課精神医療係が関わる課題に限定して別紙のように要望させていただきます。精神障害当事者にとっては約半日の話し合いは激務になり、今年度よりまとめて時間を取っていただくよう要望します。以下、具体的な施策について要望させていただきます。

 

【はじめに ~障害者計画】

①7月29日、参議院において改正障害者基本法が可決されました。障害者基本法に定められる「障害者計画」も都道府県において、改正基本法の趣旨に則った改正が求められますが、県として「すこやか兵庫障害者福祉プラン」の改定について、どのように検討されるのか、回答されたい。国における今回の基本法改正は、根本的な改正であり、兵庫県としても、十分その趣旨に則った改訂が求められます。

②また、同プランの改定に当たっては、国における障害当事者等が参画する「障害者政策委員会」と同様に、兵庫県においても改正障害者基本法第36条に示される「審議会その他の合議制の機関」に、障問連が推薦する障害当事者または関係者を委員とするよう求めます。

 

【 1.教育 】

①   改正障害者基本法第16条には、「年齢・能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるよう、障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ・・・」とある。6月16日国会衆議院での質疑に対して文科省副大臣は「可能な限り同じ教室で共に学ぶ事を目指すもの」と答弁している。兵庫県教育委員会として、「共に生きる教育指針」(仮称)を策定して下さい。または、特別支援教育推進計画の中に、ノーマライゼーションの実現を図るべく、「同じ教室で共に学ぶ教育」の実現を目指すための条件整備等も含め、長期計画を根本的に見直されたい。

 

②   また、改正障害者基本法第16条の2項には、1項の目的を達成するために、障害児童及び保護者に十分な情報提供を行う事とされている。兵庫県教育委員会として、来春就学する障害児童及び保護者に、地域の普通学校に就学する事が基本である旨の情報提供を各市町教育委員会と協力し実施すること。

 

③   障害児の通学・就学に関して、地域の普通校への通学にも必要な施策を講じること。また、学校内は当然のことですが、遠足・修学旅行等の学校外の活動にも保護者に介助させたり責任を押し付けないことを各市町教委に文書で持って改めて通知されたい。学校長と保護者・本人との協議が不調な場合、迅速に県教委が責任を持って対応すること。

 

④   普通学校における医療的ケアを必要とする障害児が保護者の負担なく安心して学校生活が行われるよう、医療行為有資格者の確保及び医療機関との連携など、県教委として責任を持って必要な施策を講じること。普通学校を希望したら医療的ケアが十分に保障されない事態は、本人・保護者の学校選択権を侵害するものであり早急に是正されたい。また、特別支援学校での医療的ケアが必要な児童のスクールバス乗車に関し、親の希望を聞き入れず乗車拒否している事例を聞くが、改善するよう県教委として指導すると共に、このような事態が起きないよう県教委として何らかの指針を示されたい。なお、8/8障問連が特別支援教育課に提出した淡路特別支援学校の土井翔真君の事例について総括的な報告をされたい。

 

⑤   障害児・者の行き場としてあった定時制高校である川西高校、宝塚良元校の募集停止を即座に撤回されたい。また、3年に限定して設けられる川西分教室、宝塚良元分教室については、年限を設けず継続するよう要望する。

 

⑥   平成24年度開校予定の阪神昆陽特別支援学校(仮称)は県立阪神昆陽高等学校と同じ敷地内にあり従来以上の共同学習を行う事により「ノーマライゼーションの礎になる学校」と位置付けられている。

・「ノーマライゼーション」とは何か具体的に述べられたい。

・「礎」とされるなら、今後どう発展していく方針であるのか。

・同じ敷地になく共同学習のない特別支援学校は「ノーマライゼーション」ではなく、早急に改善すべきだと認識されているのか。

 

【 2.街づくり・交通・移動について 】

①   公共交通機関の駅舎・ターミナルのバリアフリー化について、具体的に民間事業者の駅舎等の改築に際して、障害者・車椅子ユーザーの意見を踏まえた改築等が図られるよう、県として何らかの手立てを講じること。

 

②   平成23年3月31日、国土交通省等より示された「移動円滑化の促進に関する基本方針」には、一日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅において、平成32年度までにエレベーター・スロープ等の整備が原則、すべて整備されることとされている。兵庫県内の駅舎において、該当する駅舎等はどこであり、今後約10年間、どのような計画で進められるのか回答されたい。

 

③   民間バス会社について。今後ともノンステップバスの導入をより積極的に県として指導して下さい。とりわけ淡路島と本島とをむすぶ、いずれの民間バスも車いすのままでの乗車は認められず、極めて深刻な状態が放置されている。6月10日淡路島民の障害者が淡路市長に要望書を提出し、市長も前向きな姿勢を示している。しかし、これは淡路島内だけの問題でなく広域的な課題として県の役割が求められます。6月10日に障問連として県知事宛に提出した要望書に真摯に回答されたい。

 

④  視覚障害者にとって、駅や公共施設の出入り口に音声ガイドの設置、音声信号機は必要であり、地域住民などに視覚障害者への理解も促進しつつ、その普及を徹底すること。特に、神戸市営地下鉄では、音ガイドがついているものの、「音だけ」であるため、その音が何を意味するのか(トイレである、とか切符売り場である、など)知らないと全く意味をなさないガイドになっている。音だけのガイドではなく、何があるのかを言葉でアナウンスする音声ガイドにしてください。

 

⑤  平成23年3月31日付で国土交通省から「移動等円滑化の促進に関する基本方針」が示されています。その中でも、ホームドア又は可動式ホーム柵の整備を進めていくことは重要であると明記されています。ホームドア又は可動式ホーム柵は、視覚障害者にとってだけ重要なのではなく、お年寄りや子供、体調不良の人など多くに人の転落防止にも重要であるという認識を持って整備を早急に進めてください。

 

⑥   精神障害者が、公共交通機関・タクシーを利用する際の運賃割引の現状に関して、兵庫県としての見解を明らかにすると共に国ならびにJR・私鉄各社に対して働きかけること。

 

⑦   公共施設以外の民間店舗等においても、障害者が自由に利用する環境整備は必要である。それを促進するため県としての啓発を行う事、ならびに店舗等がバリアフリー化を行う場合、改修費の補助などの援助施策を、県・市町の共同事業として検討されたい。また、新店舗等の完了検査、また中途段階の際に、バリアフリー化されているかどうかチェックできるよう建築指導できる施策を講じること。

 

【 3.労働について 】

①   「庁舎外で自由な行動はできない」「介助者がいれば守秘義務は図られない」ため、「自力勤務」できないとの理由により、介護を要する身体障害者の採用を拒む回答を昨年度もされたが、私たちは重度障害者の労働権を侵害する差別発言であり、改めて、この回答の撤回を求め、「自力勤務」条件の見直しを改めて求めるものである。交渉当日までに兵庫県の見解を文書で回答され、それを踏まえ当日話しあいたい。また、毎年要望しているよう、採用試験について、点字試験や音声パソコンによる試験など、障害に配慮した試験方法等、行政が率先して実施すること。

 

②   兵庫県第二期障害福祉計画における就労支援について、どのように現状分析されているのか、また何が就労支援を阻んでいると認識されているの、またそれを踏まえ第三期計画の策定に際しては、どのような施策を講じられるのか回答されたい。また、企業等の雇用者側に対して職場での障害者への理解促進や障害者が働ける環境整備を促進するために、労働組合・雇用主・経営者団体に働き掛け「障害者と共に働く研修会」の開催、またとりわけ精神障害者が安心して働ける環境として、フレックス制や集団就労など、先進的な取り組みを実施する企業への援助など、県としての有効な施策を示されたい。

 

③   精神障害者の就労支援、特に就労した後の支援について現状と今後の見通しを示すこと。とりわけ社会適応訓練事業について、一般就労への定着率を明らかにするとともに、事業終了後の支援について県の見解を示すこと。

 

【 4.自立生活支援に関して 】

1.住宅に関連して

① 民間住宅の障害者への入居拒否がなくならない現状があり、またグループホーム(ケアホーム含 以下同)の設置にも民間賃貸物件や自力での新設には多くの限界があり、入所施設・病院からの地域移行の促進、在宅で生活する障害者の自立生活実現のためにも、公営住宅の活用は重要だと考える。

ア、近隣の大阪府においては1300戸のグループホームがあり、そのうち約400戸は府営宅住宅が活用されている。兵庫県においてはどのような状況にあるのか、昨年度からの進捗状況を示されたい。

イ、各市町で実施される公営住宅募集は空き家募集のみで倍率は高い。今後とも障害福祉計画実現のためにも、障害部局と住宅局との協議により、従来施策以上の何らかの施策を、今後の障害者計画策定において具体的に示されたい。

エ、身体障害者の入居の場合、それぞれの障害特性に応じた改修が必要となる。車いす用住宅といっても、入居する障害者により再度改修が必要となる。公営住宅の新設・改築において、ハーフメイド方式の導入について検討されたい。

 

2.介助に関連して

① 県内の地域格差等について

私たちは県内における介護支給時間に関し大きな地域格差があると認識している。以下、各項目に回答されたい。

ア、      すべての県内各市町村の訪問系サービス(介護)の支給決定に関わるガイドライン(基準)を県として集約し、オールラウンド交渉当日までに、資料またはデータとして私たちに示されたい。内容は①ガイドラインの有無 ②各サービス(身体介護・家事援助・重度訪問介護等)の支給基準 ③その他(ガイドラインの運用方法・・・基準を上限として運用しているのか等、障害当事者・家族への周知方法等)

イ、      上記、集約した各市町村の実施状況について、県としての見解を示されたい。

ウ、      支給決定に関わるガイドラインは基準であるにも関らず上限とし、当事者の要望や

生活実態を踏まえた支給決定を行っていない市町村、また重度訪問介護について、見守りも含めたサービスを当事者が希望していても認めない市町村等、国の通達を逸脱する市町村名を公表し、県として指導すること。

エ、      改正障害者基本法には、可能な限り地域生活することを目指すと示している。県として、法に則り実現するよう、県としてガイドラインの見直しも含めた指導を市町村に行う事。

オ、      自立支援法の見直しにより、来年4月から指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案作成の対象者が大幅に拡大され、市町村はこの計画案を勘案して支給決定されるという、支給決定プロセスの見直しについて、どのような課題があると県は認識しているのか。相談支援事業者が、利用者の希望を聞き入れず、あらかじめ当該市町の支給決定のガイドラインを上限とした支給時間範囲内に利用計画が作成されることを私たちは危惧する。そのような事がないよう、またその計画案に代わりセルフケアプラン案等も認められることなど、県として改めて各指定事業者に周知徹底されたい。

 

② 移動支援ならびに入院時の介護保障

ア、      移動支援事業は地域生活支援事業において実施されているが、障害者の社会参加促進の観点からも重要な施策であり、財政を理由とした抑制はあってはならない。県内すべての市町村の移動支援の支給決定基準について、上記項目アと同様に、私たちに資料として示されたい。

 

イ、      (同行援護について)

1.地域格差のでないように、各市町村のガイドラインが上限ではないことを周知徹底し、

指導すること。また、現行の視覚障害者の移動支援では、市町村によってはその月の余った時間数は翌月に回せるようになっている。同行援助においても同様の対応が出来るように国に働きかけていくこと。

2,同行援助の運用において、こどもの登園・通学時利用や病院内での介助など、重度訪

問介護と同様に柔軟な対応が出来るように国に働きかけていくこと。特に、病院内での中抜きはしないように指導してほしい。大病院では番号での呼び出し(画面での掲示)、受付や支払などのタッチパネル化等、視覚障害者にとって、動きにくい環境となっていること、またずっと看護士などが付いてくれているわけではないので、誘導された座席から移動してトイレにいくこともできない点などを考慮すること。

3,現行の視覚障害者の移動支援制度では、利用者が在住する都道府県だけでなく、他府

県でガイドヘルパーが必要になった場合には、その移動先の他府県の事業所と契約し、利用することが認められてはいた。同行援助になっても制度の後退をせず、同様の運用がなされるように国に働きかけていくこと。また、他府県の事業所を利用する場合には、その他府県の事業所が利用者在住の市町村への事業所登録が必要などの事務処理の煩雑さがあり、それを理由に事業所が受けたがらない状況があった。これを解消するため、同行援護では受給者証があればどの都道府県でもすぐに利用できるなど、利用しやすい環境にするように国に働きかけていくこと。

 

ウ、施設入所障害者の移動支援利用について

・県として地域移行のためにも施設入所者の移動支援は必要だと考えるのか。

・西宮市では、まだ試行的ではあるが施設入所障害者に移動支援が制度化された。県内他市町村の実施状況、今後の実施意向について調査され報告されたい。

・入所者本人が地域移行したいと思うためには、地域社会で様々に経験することが必要であり、兵庫県として地域移行をより一層促進していくためには、必須の課題であるとの見解を、県から各市町に改めて伝えること。

・移動支援について各自治体でこれ以上の利用増が財政負担になるとの見解を示している市町もあり、県として本当に地域移行を当事者の立場で推進するためにも、対象者の拡大にあたって県からの財政的補助を検討されたい。

 

エ、現在、神戸市・尼崎市・西宮市・宝塚市・明石市において入院時の介護保障施策が実施されている。さらに県下各市町においても実施されるよう県として働きかけたい。しかし、地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業という形態で実施されているため、どんなに重度で家族支援が不可能な当事者においても、「コミュニケーション 可」と認定されれば、この施策の対象とはならない。せっかくできた制度であり、県が指導して、当事者の実態とニーズに合うよう、対象者を柔軟に適用するなど、要綱等の改善を行われるよう指導されたい。

 

グループホーム・ケアホームについて

日中活動の場がない休日等において、グループホーム等の利用者の支援は大きな課題です。「住まい」とされながらも、本人の意思ではなく事業所都合により土日は実家に帰省させられる場合も聞くが、本来あってはならないと考える。

・そのような事がないように、ヘルパー利用も十分できるよう移動支援量を確保できるようにして下さい。例えば、神戸市ではどんな知的障害者でも上限32時間と決められているなど、土日等に帰省できない障害者の支援は大変困難である。

・また、限られた社会資源の中で、グループホーム等の果す役割は大きいと考えます。

本人の生活の幅を広げていくために外泊の旅行やイベント等への社会参加は欠かせま

せん。地域生活を充実させていくためにも、休日等のホームを離れての生活も必要不可

欠であり、その際のグループホーム等の支援の必要性を認め、何らかの財政的補助を検

討されたい。

・また、家賃補助について、10月から国による家賃の半額かつ上限1万円の助成が始まりますが、これまで県は家賃の半額かつ上限2万円でした。3月の事業者説明会では、「今の自治体助成を下回らない」、「現在、調整中」と聞きました。利用する当事者や事業者に、負担を強いる事がないよう、これまでの助成額を下回らないよう努めていただきたい。

 

【5.地域移行に関する課題】

① 地域移行の県の基本的な考え方

ア、      本人の意思に反して入所施設での生活が継続している事は人権侵害であると県として認識しているのか。兵庫県の地域移行に関する基本的な考え方を示されたい。

イ、      改正障害者基本法を踏まえ、「地域生活」できる権利が保障されなければならないとの方向性を踏まえ、従来施策の見直しも含めた、第三期計画でのより積極的な地域移行の推進のための具体的施策を示されたい。

ウ、      施設入所待機者が多いと聞くが、それは地域で生活できる社会基盤や条件整備が不足しているからだと言う認識を県は持たれているのかどうか、その認識について回答されたい。

エ、      本来、地域移行とは、既に入所している者を地域移行させるだけではなく、現在地域で暮らしている障害者が施設入所することなく地域生活を継続させることが重要である。新規の施設入所者を、基本ゼロを目標とするよう、各市町ならびに各市町自立支援協議会に指導されたい。

オ、      入所施設が地域移行をより一層推進させるインセンティブを与えるような兵庫県独自の施策を検討されたい。

カ、      地域移行と称し、入所施設の近隣にグループホーム等を設置するなど、そのような本来の趣旨から逸脱したあり方になっていないのか、実態を報告されたい。

 

② 相談支援事業について

ア、      自立支援法の見直しにより、地域移行支援ならびに地域定着支援を「指定一般相談支援事業者」が実施するとされ、その事業者を都道府県知事が指定するとされている。どのような基準で、県内何ヶ所の事業者を指定されるのか。

イ、      平成22年4月現在の全国各都道府県の相談支援事業者数を見れば、兵庫県は事業者数87と人口規模として極めて少なく、相談支援専門員一人当たりのサービス利用者数は146名と極めて多く、全般的に相談支援体制が整備されていないと考えられる。その上に、新たに地域移行支援等の業務が加われば、十分な事業が実施できないと考えられるが、県としてどのように考えるのか。

ウ、      国の方針としても、相談支援事業者の量的拡大が必要とされ、相談支援従事者養成研修の実施主体の拡大とされているが、県としてどうされるのか。また、民間団体の相談支援従事者の活用、それにあたり相談実績に関する実務経験として認める事について、県としての方針説明をされたい。

エ、      地域移行には住宅確保も重要な要素である。地域生活支援事業の必須事業として「住宅入居等支援」があるが、その進ちょく状況、具体的にどのように活用されているのか、どのような実態なのか示されたい。また、平成24年度から相談支援事業の見直しに際して、この「住宅入居等支援」の何がどう変わっていくのか、また第三期計画においてどのように位置付け施策を実施していくのか、説明されたい。

 

今後の入所施設について

・自立支援法においては、平成24年3月までに旧体系施設は新体系に移行しなければ

ならないとされている。兵庫県の移行状況を報告されたい。

・新体系においては、24時間同じ施設でなく、日中の活動支援と居住支援を組み合わせ

る昼夜分離を進め、障害者が希望に応じて複数サービスの利用を可能とし、地域生活へ

移行する事を目指すとされている。それに基づき平成24年4月から兵庫県においてど

う施策を展開していくのか回答されたい。また入所施設にいながらの作業所も含む通所

施設利用や重度訪問介護や移動支援利用は可能となるのか回答されたい。

 

【 6.生きる場・作業所について 】

兵庫県は、小規模作業所のこれまで果してきた役割の重要性を述べながらも、県補助の縮小、その一方で財政難と言いながらも新体系移行促進のため新たな公費を投入して施策を行っている。私たちは、地域でより多くの障害者が安心して暮らせる社会の実現、そのための多様な日中活動の場=生きる場の必要性は、まさにこれからも必要であり、そのためにも小規模作業所制度の存続を求めるものである。しかし、昨年11月には、第二次行財政改革プランとして、小規模作業所施策において、「市町に対する地方交付税措置と市町の実費負担額との乖離を踏まえ、県の支援のあり方を見直す」とし、平成23~24年度の対応、平成25年以降の対応が示されている。以下、各項目に回答されたい。

①   第二次行革プランでの小規模作業所県補助の改変について説明されたい。

②   平成23~24年度の対応により、どこの市町が県補助が廃止されるのか報告されたい。また平成25年度以降の対応においてどうなのか同様に報告されたい。

③   平成25年度以降の対応として、その後の年限は設けられていない。県として小規模作業所補助事業を今後とも継続する意思として理解していいのか。

④   平成23年度4月時点で小規模作業所の新体系移行状況を交渉までに資料でもって事前に回答されたい。

⑤   神戸市東部では、重度障害者の進路先としてある生活介護の来年度の受け入れはゼロと聞く。さらに今後とも卒業する障害児の進路先、地域移行した者の日中活動の場を考えるなら、障害者の地域生活を支える社会資源が十分あるとは思わない。私たちは、障害当事者や支援者から作業所新設の申請があれば、障害者の日中活動の基盤をさらに拡充するという観点から真摯に対応し、地域の身近な場所に小規模でも存在する作業所こそが必要であるとの観点に立ち、第三期計画の策定に臨むよう要望する。

 

【7.情報保障】

① 行政サービス利用について必要となる書類・冊子などについて拡大文字版やデータ版の提供を徹底すること。また、その存在を積極的に情報提供すること。

② 情報を取得するための機器は多様化している。日常生活用具においては、機器を限定することなく、各人が使いやすいものを利用できるようにし、最新の機器にも対応できるようにすること。

③手話通訳、要約筆記の費用を、個人や主催者負担にせず、目的に関わらず全額公費負担することで、盲ろう者や聴覚障害者の社会参加を積極的にすすめること。

④   災害時の情報保障について、具体的な施策を回答されたい。

 

【8.その他】

①   地域生活定着支援センター「ウイズ」が開所され2年目を迎え、その活動内容について報告されたい。本来必要とする利用者全てを対象にコーディネートすべきであるが、恣意的に利用者を選別した運用になっていないか、その実態について報告されたい。また、他府県の当事者が兵庫県での支援を求めた場合、生活保護取得等、「ウィズ」として支援は可能であるのか。

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