2011年度 精神障害者問題に関する兵庫県への要望書
2011年8月25日
兵庫県知事
井戸 敏三様
兵庫県教育委員会
大西 孝様
障害者問題を考える兵庫県連絡会議
代表 福永年久
2011年度 精神障害者問題に関する要望書
【基本姿勢】
① 国において、平成16年から概ね10年間、精神保健医療福祉の更なる改革に向けて、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が示されている。その基本理念は、「入院医療中心から地域生活中心へ」とされている。そのための医療体制の拡充・再編、医療の質の向上、地域生活支援の体制整備、精神障害への正しい理解の啓発などが求められるが、兵庫県としての基本姿勢(ビジョン)を明らかにされたい。
② そのような兵庫県のビジョンを、各市町の保健所等の行政機関、各精神科病院、「県民だより」等を活用した一般県民向けの広報などを活用した啓発を積極的に行い、具体的な施策を推進して下さい。
【地域移行~退院促進】
① 兵庫県として、「社会的入院は人権侵害である」という認識を明らかにして下さい。
② 改正自立支援法の施行により、退院促進支援事業が「地域生活移行・定着支援事業」として平成24年から実施されます。兵庫県として指定一般相談支援事業者を指定すると思いますが、具体的にどうされるのか回答されたい。
③ 地域移行しても定着できずに再入院するような事があってはなりません。地域で生活できる支援基盤を拡充するような具体的施策を県として講じて下さい。
④ 精神病院から退院後の地域生活の受け皿については「地域移行型ホーム」「精神障害者退院支援施設」などの敷地内設置や病棟転用は、県として認められない事は既に確認しているが、現在、県内に敷地内設置や病棟転用の同ホームまたは同支援施設は何ヶ所あるのか、回答されたい。また何故、設置を認めたのかについても併せて回答されたい。
⑤ 地域移行・退院促進の現状をどのように総括されているのか回答されたい。入院中の在院日数の多い患者の平均年齢は高い。地域に帰ることなく病院で一生を終える事はあってはならない事態である。グループホームなどの地域基盤の拡充により地域移行を目指すこと。精神障害者はどのように地域社会へ復帰していくのか、県内の実態を示されるとともに、具体的な展望を示すこと。
【精神障害者の介護保障】
① 精神障害者のホームヘルプの数値目標についての現状と課題を明らかにする事。どのような地域格差があるのか、その実態について資料により交渉当日までに回答されたい。制度自体の周知徹底と共に、効果的な利用促進策を検討すること。
② 精神障害者のガイドヘルプについて、「自立と社会参加の促進」を目的とし、他の障害と比較して格差がないのか各市町の実態について報告されたい。格差があるなら解消するよう各市町村に指導されたい。
【保健・医療・衛生について】
① 精神科病院で、面接・面会を拒まないように指導すること。とりわけ、知人・友人・当事者会の面会に対し、きちんと対応しない事例がまだまだある。また看護士への啓発も含めた研修を当事者も参加して実施できるよう検討されたい。
② 障問連の共闘団体である兵庫県精神医療人権センターとして、県内病院の情報開示を求めているが応じてもらえない。速やかに開示するよう要望するとともに、情報を分析され、ゆゆしき実態があるなら改善するよう指導されたい。
③ 医療費の減免を中軽度の障害者にも適用するよう、医療費助成を精神障害2級まで拡大するよう、県として各市町に指導されたい。
④ 精神疾患治療のための入院費を助成して下さい。
⑤ 平成24年4月1日施行予定の精神保健福祉法の一部改正により、都道府県の救急医療体制の整備の努力義務が規定されている。兵庫県としてどのように実行されるのか回答されたい。
⑥ また、精神科救急は、都市部でもそうだが、特に山間部で「輪番制」のため、思わぬ悪質病院に搬入されてしまう現実がある。精神科の救急医療を充実させるため、主要な県立病院に精神科救急のためのベッドを設置すること。
⑦ 国における精神保健医療福祉改革のビジョンにおいても、「地域で生活する」ことを前提とした支援体系として、アウトリーチ支援が検討されている。兵庫県においても具体的にどのように進展していくのか、回答されたい。
⑧ また入院中心から地域生活支援中心に至るよう、精神科病院が職員体制等を転換する観点から、アウトリーチ支援の実施が、医療機関の病床削減に取り組むインセンティブとなるよう、県として強く働きかける事。
8月 25, 2011