事務局より 教育 精神障害者

【様々な動向】  障問連の活動/身体拘束の新たな動き/県教委が新たな計画検討

障問連事務局

◆障問連の組織的な活動
○第一回代表者会議
     7月14日(金)午後6時~   神戸市障害者福祉センター
 毎年この時期に開催する代表者会議ではオールラウンド要望書を検討し大枠の内容と方向性を確認します。今年度は兵庫県、神戸市と別々に検討するのでなく、この間、事務局、拡大事務局会議、課題別の会議などで検討を重ねてきました。コロナ禍の3年間、人数制限、時間制限、他部局が不参加など限られた交渉になっていましたが、感染拡大が決して無くなってはいませんが、コロナが5類相当に移行し社会経済活動等に制限が無い状況を迎え、私たちとしてはコロナ前の状態に戻したいと考えていますが、兵庫県、神戸市は消極的です。事前折衝も行い取り組んでいきたいと思います。
○新企画:「勉強会+打合せ」
 障問連として日常的な活動や連携が不十分な面があり、この10年間新たな事務局体制、課題ごとの各部会の活動などを行ってきました。定例会議だけでは掘り下げた議論検討ができないため、会場を確保し対面とZOOMによる「勉強会+打合せ」を毎月第三木曜日の午後に行います。特に権利条約に基づく日本政府への国連勧告が出され、兵庫県下で国連勧告を実態化させていくのかが長期的な大きな課題で、それを軸に障害種別ごとの課題、個別課題についても以下のよう開催します。場所はいつもの神戸市障害者福祉センターです。

◆精神科病院の新たな身体拘束に向けた動きに対し、日弁連有志が意見書を発表
今年3月、「精神科医療における行動制限最小化に関する調査研究報告書」が公表された。それに対し6月3日、日本弁護士連合会の30人の弁護士「有志一同」が報告書を強く批判し見直しを求める意見書が発表された。
この報告書は、精神保健福祉法に基づいて入院中の精神障害者に対して実施される行動制限に関する「隔離・身体的拘束の3要件」(告示130号)を見直し、今後、この報告書をもとに「3要件」が改定される可能性が高いが、「しかし、これは法的に見ても、また入院中の精神障害者の行動制限に実務的に関与している法律家からみても、大きな問題を孕んでいる」と指摘している。
要約すると、現行の行動制限・身体拘束の3要件である「切迫性・非代替性・一時性」について、生命の危険の「おそれ」など、医師や病院の裁量により拡大解釈が可能となり、現行の規定をさらに緩和するものであり、身体合併症の場合という新たな例も盛り込まれ、身体拘束の拡大となる内容も入っている。
さらに2021年10月から13回の検討会が開かれたが、厚労省から選任された構成員らによるものであり、構成員以外は参加することはかなわず、とても公開の議論とは言えず、「身体的拘束という、最高度に人身の自由を侵害する行為のルール変更に関し、なぜ民意が反映されないかの理由を考えると、そもそもそのような重大な人権侵害的ルールが告示という非民主的な手続きによって、行政権の意向次第でどのようにでもなる仕組みが原因である・・・ほとんど秘密のうちに事を運ぶことが可能である理由は、精神科病院における処遇が法律事項ではないからである。そして、法律事項ではない以上、国民には言論・公論で対抗する手段はないし、また仮に精神科病院での処遇が国民に不利益を及ぼしても、だれも政治的責任を負わないということにもなりうる」と、手続き的な面からも厳しく批判している。
さらに「そもそも身体的拘束の減少自体は、本告示を変更しなくとも厚労省及び医療側が本腰を入れて現行本告示を真剣に解釈し直し、その順守を監督することで相当程度可能である。しかし、そのような動きはほとんどない」とし、最後に「そもそも、必要なことは、身体的拘束をゼロにするという考えのもと、場面ごとに厳格な適用を行うことである」と強く指摘している。
身体拘束は知的障害者に対しても、特に入所施設で22時間、ほとんど一日中部屋に施錠され行動制限された事例もあり、私たちのオールラウンド交渉での大きな課題です。国連勧告以前の人権侵害につながる課題です。

◆県教委が新たな特別支援教育推進計画・検討員会を6/19に開催
 来年度から始まる「兵庫県特別支援教育第4次推進計画」策定に向けた第一回検討委員会が6月19日、県学校厚生会館において行われ、石橋、凪が傍聴した。
 2019年作成の現行の第三次計画では、「共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の更なる充実」を目標に、「兵庫県がめざす特別支援教育」として「すべての子どもが認め合い安心して学べる環境」「幼児児童生徒に応じた合理的配慮の提供」「切れ目のない一貫した支援」を示し、「取組の方向性」として、兵庫県独自の「縦・横の連携」・・・
① 「縦の連携」(=連続性のある多様な学びの場における教育の充実。全ての学校園で取り組みつなぐ)
② 「横の連携」(=(福祉医療との)連携による切れ目のない一貫した相談・支援体制の充実。早期~卒業後へ支えつながる)
第1回の検討会では上記①「縦の連携」の取組状況報告と評価検証が行われた。
・第2回7月25日・・・「横の連携」の報告と評価検証。
・9月~10月・・・第3回(第四次計画の骨子案)、4回(第四次計画の素案)の検討。
・11月・・・パブリックコメントが実施。
・来年2月・・・計画の策定、公表。

 6月1日に障問連として県教委に要望書を提出し、7月内には話し合う予定ですが、検討委員会での配布資料を見て改めて驚き、将来にわたり障害のある子どもが分離された教育が続いていく、まさに国連勧告とは真反対な方向に進んでいく事を何とかストップしなければならないとの思いを強くしました。
多くの課題はありますが、新たに示された資料から強く危惧する点について報告します。
【特別支援学級在籍者数(小中)】  6529人(2013年)→ 12610人(2022年)・・・1.9倍
【特別支援学校在籍者数(幼小中高)】5129人(2013年)→ 6008人(2022年)・・・1.2倍
特別支援学級在籍者が、9年前に比べ2倍以上に増加、グラフの推移をみると年を追うごとに増加し続けています。障害の早期発見から切れ目のない専門家主導の支援は決して「共に」とはならず、当然かのごとく分離に至る。「通常学級に行けるんですか??」と就学相談の度に聞く保護者の声。これが現状です。
しかし強く危惧するのは、新たに示された資料では、5年後の2028年(令和10年)まで示される特別支援学校の在籍者数が、これまで以上に増加し続けることを見込んでいます。
来年度には阪神間で2校が新設、再来年度には東播磨で増築、3年後には加古川市で新設と、特別支援学校という分離される障害児がドンドン増加し続けるのです。
少子化とされ公立高校の統廃合が進められる中、障害のある児童生徒を分離する場所だけが増加し続けていく、なぜ地域の学校に必要な支援を受け障害のある子もない子も共に学ぶ教育へ、そのための人的支援等の拡充という方向にならないのか、状況は厳しいですが、要望し続けていきます。

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