国/県の制度

【報告】  DPI日本会議 総会と全国集会

凪裕之(障問連事務局次長)

障問連が加盟しているDPI日本会議の総会が5月27日にありオンラインで参加しました。前年度の事業報告と決算の承認後、今年度の活動方針が出されました。障害者権利条約の完全実施に向け、国内法整備、「DPIビジョン2030」や「DPI行動計画」を柱に、様々な分野の取り組み方針が詳しく説明されました。

◆全国集会での3つの分科会
 全国集会では①滝山病院事件から見えた日本における精神医療の現在地点、②社会モデル/人権モデルから考える支給決定の在り方、③障害者雇用と合理的配慮の確保~労働組合運動と訴訟を通して働く障害者の権利と合理的配慮を考える~の3つの分科会がありました。
 特に②の支給決定の分科会では、西宮市の支給決定と問題点、愛媛のALS当事者が当初、重度訪問介護200時間にも満たない支給決定から、制度をしっかり伝え、全国の団体に問い合わせや弁護士に立ち会いながらも、自らしっかりと交渉をして900時間以上を獲得した話、自立を目指し準備を始めたが、支給量の地域格差で引越しせざるを得なかった話が出されました。支給量は依然ローカルルールの壁があったり、窓口担当者によっても変わる、それでいいのか、もっと人権モデルで広げていくことを考える分科会になりました。また、DPIは相談支援以前の自立に関するあらゆることを支援するような地域移行コーディネーターのしくみの確立を目指していますが、支給量の地域格差の解消を各地で取り組んでいく必要を改めて感じました。

◆全国集会全体会、東俊裕さん(弁護士・元内閣府障害者制度改革推進会議担当室長)の講演
東さんは、1990年代、弁護士活動をされながら、自立生活運動やDPI運動、アメリカの当事者運動やピープルファースト世界大会に参加、カルチャーショックを受けながらも共感、大きく影響され、差別禁止法を作るべきとの考えに至った。権利条約への各国障害者の発言力の高まり、条約ができる瞬間を直接目にされ、2000年頃から国内で障害者の差別禁止法を作る盛り上がり、社会モデルと人権モデルの違い、他の人権モデルとの比較は、自由権と社会権だが色んな議論を経て、二つの権利が包摂された新たな人権規範が障害者の人権モデルと考える。障害者の人権が一番の発展型でないか。日本が条約批准の時、当事者団体が慎重、国内で制度改革してからだと。その後、制度改革推進会議の担当室長で、色んな立場の意見違う障害者団体をどうまとめていくかに大きな力を注ぐ。情報保障の議論に特に力を注いだ。障害に特化した情報保障は全体にも有意義。対立する部分に議論の時間を注ぐ。宿題を出して、議論、コンセンサスを取るのが大変だったが。水準が下がることもやむなしだが、最低限は守る覚悟だった。不十分ながらも差別解消法は前進、最初の一歩。総括所見に日本がついていくか正直不安だが、どう結びつけるか、団結が大事だと指摘されました。
熊本地震が人生で一番きつかった。支援はありがたかったが、現場はしんどい。災害支援で、日常見えてないものが見えてくる。共通するのは災害時の障害者の孤立。日頃から福祉でなく地域から孤立、家族も来ない、福祉サービスが充実しても、地域との関係がものすごく弱い現実、障害福祉の中だけの共生・・・。対行政だけでなく社会に対しての障害者運動が必要ではないか。優生思想とどう立ち向かうかが大事と指摘されました。
講演後には、東さんを囲んだ対談が行われ、その中でも東さんから「先進的なことを学ぶ努力、進んでいるところと遅れているところを広い視野で見て、障害者自身が発言すること」「社会に向けてきちんと発信していく力」、「制度改革時に障害者団体ごとに意見の相違があったが最終的に合意しまとめたことが力になったこと」など、今後の障害者運動を担う私たちに経験を踏まえたメッセージを語られていました。兵庫の障害者運動の一端を担う私たちにとっても非常に意義ある話でした。

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