オールラウンド交渉

【神戸市オールラウンド交渉】 2021年度  障害者問題に関する要望書

2021年10月22日

神戸市長

久元 喜造  様

神戸市教育委員会

長田 淳   様

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表   福永年久

 

2021年度  障害者問題に関する要望書

10月31日投開票の神戸市長選挙が行われます。あらゆる差別を解消し人権が保障される共生社会、真にユニバーサルな社会の実現を目指されることをあらためて願います。神戸市においては、何波にも及ぶ新型コロナウイルス感染拡大に対する対応に日々尽力されていることと存じますが、残念ながら市内の医療体制は逼迫し、入院できず待機のまま亡くなられる方もでる厳しい状況が発生しました。医療体制が逼迫すれば、「命の選別」が現実化し障害者は追い詰められ恐怖や大きな不安を感じます。地域で生きる重度障害者にとって、支援者との密な関わりは欠かせず、感染すればより多くのリスクや困難に直面します。また県内でも精神科病院でクラスターが発生し転院できず治療も十分に受けられない事例があり、精神科特例による不十分な医療体制や長期の隔離や閉鎖性の中、人権侵害がコロナ禍でより顕在化しています。

感染症拡大や様々な災害などの緊急事態に際してもあらゆる人が安心して生活していくためには、社会的リソースが必要です。私たちが求める共生社会の理念や、神戸市行政も強く推進するユニバーサル社会の実現には、その前提としてのセーフティネットの確保が必要です。理念だけにとどまらない具体的な施策の拡充に向けて取り組まれることを強く要望します。

障害者施策においては、障害者差別解消法改正案が通常国会で成立、施行に向けた神戸市としての新たな取り組みも求められます。新型コロナウイルス感染拡大により疲弊している障害者支援現場に対し人材確保など市によるバックアップ支援策も求められます。その一方、教育においては分離された環境での教育が進行し、大規模入所施設の建設、昨年度発覚した神出病院での暴行虐待事件に現れる精神科病院の根深い課題など、共生社会に逆行する状況もあります。

障害者基本法の理念をいかに神戸市において実態化していくのか。障害当事者が、障害のない者と同様に特定の生活様式を強制されず、誰とどこで生活するのかの意思決定が尊重され、自由に社会の様々な場に参加・参画できる、それが当たり前とされる真の共生社会の実現に向けて取り組まれることを求め、以下要望いたします。

なお神戸市関係部局との意見交換会につきましては、当事者の意見を聞く貴重な場であると昨年度、確認いただきました。昨年度は感染拡大防止のため開催できませんでしたが、でき得るかぎりの例年通りの開催実現を要望いたします。

【 1.教育】

私たちは、障害者基本法に定められる「障害のある児童と障害のない児童が可能な限り共に学ぶ」在り方は、個々の児童生徒に対し教材の工夫や人的支援などの合理的配慮が提供されることにより、同じ場所で共に学び生活する教育の実現であり、そのための環境整備が神戸市教委の責務だと考えます。それを踏まえ、以下、各項目ごとに要望いたしますので前向きな回答をお願いします。

(1) 学校におけるバリアフリーの推進について

バリアフリー法が改正され、公立小中学校には新築時や大規模改修時のバリアフリー整備が義務付けられました。しかしユニバーサルな視点から災害時の避難所指定されている既存の学校のバリアフリーの整備は急務です。また神戸市立学校において、移動に配慮が必要な障害児童の入学が予定される場合、先行してバリアフリー化を実施する柔軟な整備が必要です。例えば神戸市立高校に当該生徒が来春、入学した場合、エレベーターの設置は具体的にどのようなスケジュールで設置されるのか回答ください。

また設置されるまでの間、エレベーターに代わる代替措置として移動に必要な合理的配慮はどのように実施されるのか、併せて回答ください。

(2)学校における人的支援について

神戸市では市内公立学校等に特別支援教育支援員の配置が行われています。特別支援教育支援員がどのように配置されているのか、2020年度に小学校、中学校、高等学校それぞれごとの配置される学校数、延べ利用時間などの配置状況を回答して下さい。また神戸市立高校において、個人情報保護の範囲内で、どのような障害生徒にどのような支援が実施されているのかの事例も併せて回答ください。

(3)移動に支援が必要な児童生徒の通学について

西宮市議会で、障害があり支援が必要な児童生徒の通学における保護者等の付き添いの実態ならびに通学支援の必要性について取り上げられました。議会配布資料によれば、以下のような実態が明らかにされました。

(6月28日西宮市議会本会議での西宮市教委調査結果資料より抜粋)

西宮市 特別支援学級在籍児童数  793人 (小学校・中学校)

登校時に付き添っている人数   318人

下校時に付き添っている人数   262人

保護者体調不良等で子どもを休ませている人数  97人

 

通学の責務が保護者に課せられ障害のある児童生徒の教育を受ける権利が侵害されています。西宮市だけのことではないでしょうか。神戸市の状況及び神戸市教委の認識等について以下、質問、要望します。

①神戸市で、支援が必要な児童生徒の通学時の保護者付き添いの有無、保護者が体調不良時に子どもを休ませる事があるのかどうか、また保護者の就労が付き添いにより損なわれていないのか等の実態について、神戸市教委として把握されている実態について回答して下さい。

②把握されていないのであれば、神戸市教委として実態把握してください。

③実態把握される内容に関わらず、通学が保護者責任とされ子どもの教育権が侵害されていることが神戸市で仮に存在するなら、障害者差別解消法上の合理的配慮の提供義務が果たされていないと考えられるのか、神戸市としての認識を回答して下さい。合理的配慮の不提供、また児童生徒の教育権の侵害と認識されるなら、具体的にどのように改善されるのかも併せて回答ください。

(4)医療的ケア児童支援法の施行を受けた環境整備について

本年6月国会で医療的ケア児童支援法が成立し、9月18日予定で施行されます。同法の施行により神戸市の公立学校において訪問看護ステーション等を活用して実施される医療的ケアを必要とする児童への支援に係り、以下の要望ならびに質問に回答して下さい。

①直近の医療的ケア支援事業の実施学校数、対象児童数ならびに週何日程度か、1日の派遣時間、派遣の内容などの実施状況、および看護師資格を有する特別支援教育支援員による支援状況について幼稚園、小学校、中学校、高校それぞれに回答して下さい。

②週10時間の上限では、児童の状態像により保護者の負担は軽減されず、保護者の急用、急病等により児童の学習権が侵害されかねません。必要に応じた看護師配置を私たちは要望してきました。今回の医療的ケア児童支援法の施行を受け、週10時間上限の撤廃を強く要望します。同法施行により時間数も含め、神戸市教委としてどのように対応されるのか、文科省からどのように予算措置される予定であるのか、具体的に回答ください。

 

【 2.保育 】

(1)【医療的ケアへの対応】

医療的ケア児童支援法の施行に伴い、神戸の市営、民間含めた保育所、学童保育において、神戸市として看護師配置も含め、どのように取り組まれるのか、具体的に厚生労働省から神戸市にどのように予算措置され、2021年度および2022年度に向けて、神戸市内の保育所に看護師を何人配置される予定であるのかも含め、回答ください。

(2)【放課後児童クラブ(学童保育)を希望する児童全員の受入とリレー方式の解消】

学童保育の低学年・高学年それぞれの障害児童の受入状況及び近くの児童館等へのリレー方式をとっている学童保育の数を報告して下さい。

(3)  【障害児受入推進など】

学童保育への障害児受入加算における重度加算の創設など助成金の増額を行って下さい。

 

【 3.街づくり・交通・移動】

(1)【ホームドア等】

ホームドア又は可動式ホーム柵の整備に関する神戸市内の地下鉄及び民間事業者における進捗状況及び今後の設置計画について報告して下さい。

(2)【市営地下鉄各駅におけるホームとの隙間及び段差の解消】

車椅子障害者の単独乗降を実現するために、各駅における段差2cm隙間5cmを目指して改修を進めて下さい。また各駅の改修計画段階で地下鉄を利用している車椅子障害者の意見を聴取する機会を作って下さい。

(3)【鉄道における車椅子利用者乗車時の引継ぎ方法について】

駅員介助の駅アナウンスによって障害女性が痴漢・ストーカー等の被害にあっているという被害の実態が判明し、国土交通省から鉄道事業者に駅アナウンスによらない方法での情報伝達を検討するよう事務連絡がだされました。各鉄道事業者へ問題を周知するとともに神戸市内の各駅におけるホームアナウンスの中止状況を報告して下さい。また、アナウンスにかわる確実な引継ぎ方法の確立が必要です。地下鉄で三宮下車希望の単独車椅子利用者が引き継ぎの不備で谷上まで下車できなかったという事件も発生しています。アナウンスにたよらない確実な引継ぎ方法が整備されることを求めます。

(4)  【高速走行バスの車椅子乗車】

車椅子利用者の高速バス利用について、神戸市として高速バスのバリアフリー化の状況を報告していただくとともに、目標の設定及びバス事業者を支援する予算を確保して下さい。またバス事業者に対して車椅子利用者が高速バスを利用する際に乗車拒否することがないよう指導をして下さい。去年も求めましたが、国に対して高床の高速バスについての移動円滑化基準の適用除外運用をあらため、最低限、車椅子スペースや通路幅が確保されるよう要望して下さい。

 

.労働】

(1)【市職員の採用に係る課題】

①  市職員採用の任命権者ごとの、最新の障害者雇用率、障害者数及びダブルカウントできる重度障害者数について回答して下さい。

②  「障害のある教員が学校教育に携わることで、こども達の障害者への理解が深まるうえ、障害を持つこどもにとってはロールモデルになる」と文部科学省は障害者の教員を増やす目標を掲げています。神戸市立学校における教員にしめる障害者の割合、及び障害種別ごとの雇用状況を回答して下さい。

(2)【雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業について】

雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業が、伊丹市、福岡市、京都市などで開始されています。神戸市においても今年度中に開始を目指していると9月に新聞報道がありましたが、現在の状況を報告して下さい。

 

.自立生活支援

(1)【障害福祉サービスガイドラインについて】

2017年から検討が続いている居宅サービス支給量審査基準の見直しについて、2020年4月に「障害福祉サービスガイドラインとして居宅部分が公表されました。積み残し課題およびその他のサービスの見直し作業にむけて昨年夏に残りの部分も公表されましたが、そこから検討作業が止まっています。支給決定の現場では、ガイドラインの認知度も上がってきており、障害者が安心して地域で暮らしていく方法を指し示すものとしてしっかり仕上げていく必要があります。以下要望します。

①  【第2弾見直しに当事者参画を】

何度も要望していますが、ガイドライン見直し作業においては、障害者・行政・相談支援やサービス提供事業者が参画することが肝要です。検討会への出席、テーマ別の障害者・事業者の意見交換会の開催など、当事者が参画する検討の場を設けて下さい。

②【非定型ルールの周知及び非定型審査会について】

ガイドラインが公表されたことで、支給決定時に参照できるようになってきました。しかし、障害者が個別の状況に基づいて介護の必要性を訴えても、ガイドラインの標準支給量を理由に支給量の増量希望を認めない対応も増えてきています。標準支給量はあくまでも目安であり、個別の状況に基づいて支給は判断されるものであること、ガイドラインの数値で生活ができない場合は非定型ケースとして検討されることがガイドラインにも明記されています。希望が認められない場合は具体的に理由を説明する必要があることも含めて、あらためて区役所担当者に周知して下さい。

また、「非定型ケースがあって当たり前」の認識が必要です。昨年度および今年度の非定型審査会の開催状況を示してください。非定型審査会が障害者総合支援法の理念にかなった中立かつ公平な立場で審査をするためにも、重度障害者の地域生活について知識のある、介護の必要な障害者を委員に入れるべきです。障害当事者委員の選定を強く求めます。

③【標準支給量への深夜帯加算の実現】

今の神戸市では、深夜に介護が必要な重度障害者の一人暮らしを実現することが極めて難しい状況である認識をお持ちかどうかをお尋ねします。ガイドラインでは最重度でも深夜帯は4.5時間を目安にしており、増量はなかなか認められません。また深夜巡回事業者はほとんどない状況です。昨年度回答では、個別対応しているとの回答でしたが、あきらかに上手くいっていないからこそ標準支給量の深夜帯加算を提言しています。まずは現状に対する基本認識を明らかにして下さい。

④【夜勤における手まち時間の扱いについて】

厚生労働省は2021年3月31日、報酬改定に関わるQ&Aにおいて「問21」で「問40」を援用しつつ、重度訪問介護の夜勤の取扱いについて労働基準監督課との協議済みとして「労働時間として取り扱わなければならない手待ち時間についてもサービス提供時間として取り扱われるべきものであることから、当該時間が報酬の対象とならないということがないように留意すること」と示されました。厚生労働省が「留意すべき」とするこの内容に対する神戸市の考え方を示して下さい。神戸市が従来より説明してきた「単なる見守り」と今回の「手待ち時間」の概念の説明を求めます。

また、各区役所で、夜勤の事業所が労働基準監督署で断続的労働の許可を受ければ検討するとの回答をしています。断続的労働とは、労働密度の薄い宿直業務などに限り、事業所に休憩や時間外割増などを免除するものだと認識しています。重度訪問介護の夜勤は、利用者ごとに業務内容が異なり、身体介護等の通常業務が混在しています。ほとんどが断続的労働の許可がおりないのが実態です。問21が労働者保護の観点で通達されているのであれば、労働密度の濃い深夜介護の手待ち時間は労働として認めず、薄ければ認めるという神戸市の見解は理解に苦しみます。説明を求めます。

(2)【重度訪問介護について】

①【重度訪問介護の対象拡大】

神戸市において知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用にいたった人数を報告して下さい。重度の知的障害者・精神障害者にとって重度訪問介護という見守りも含めた長時間の個別支援による地域での一人暮らしに欠かせないサービスであるにも関わらず、対象者拡大以降ずっと利用者がいない状況は深刻です。兵庫県下では西宮市や伊丹市では利用が進んでおり、人口や社会資源の量とは違う背景があると考えられます。制度利用が進まない理由を神戸市としてはどうお考えですか。

②【重度訪問介護の入院時使用及び入院時コミュニケーション支援事業について】

重度訪問介護の入院時利用について、「区分4以上、重訪対象者」に拡大するよう国に要望して下さい。また入院時コミュニケーション支援の昨年度の利用人数・利用時間についてご回答下さい。

③【重度訪問介護・同行支援について】

重度訪問介護の熟練ヘルパーによる同行支援について、昨年度の利用人数・利用時間をご回答ください。また、新規採用ヘルパーに限定せず、介護の習熟に時間の要する障害者の介護に初めて関わるヘルパーまで拡大を国に要望してください。

(3)【移動支援Q&Aについて】

移動支援のQ&Aについて一昨年は作成中、昨年は検討中との回答でした。現在の進捗状況についてご報告ください。また移動支援制度運用には長年の経緯をおさえることが肝要です。作成にあたっては必ず障害者団体への意見聴取を行って下さい。

(4)【介護保険との併給について】

介護保険の併給に際して、従来のサービス水準を引き下げないことが肝要です。生活介護に週3日通所していた方が、介護保険適用でデイサービスが週2日になり、生活介護の併給が認められなかったと相談がありました。介護保険デイサービスと生活介護の併給について神戸市の見解を明らかにして下さい。

また、障害福祉サービスのグループホーム入居者が、脳梗塞を発症し、介護保険申請を求められたが住みなれたグループホーム利用を継続したいとの相談がありました。グループホームを利用しながら介護保険の訪問介護を個別利用し、不足があれば障害福祉サービスの居宅介護の個別利用を申請が可能と認識していますが、神戸市の見解をお尋ねします。

(5)【グループホームについて】

①【グループホーム数及び地域偏在、公営住宅での開設について】

グループホーム数の増加にむけて取り組みが進んでいると認識していますが、都市部でなかなか物件確保が進まないのが現状です。2021年3月末時点で定員961人と市内全体としては目標値850人を超えましたが、グループホーム定員の区ごとの内訳および増加数を明らかにして下さい。また地域偏在の解消に向けて人口集中地区での開設時の補助率を上げるなど取組がなされていることはわかりますが、解消の道筋がみえない状況が続いています。計画において区ごとの目標数値を設定し、取組み、検証する道筋を示すことが肝要です。年間定員50名増の計画の区ごとの内訳目標をご回答下さい。

また物件確保が難しい地域ほど公営住宅での開設が効果的です。今後の公営住宅を利用した開設の進捗状況と今後の計画、特に人口集中地区での公営住宅を利用した定員増の目標値を住宅担当部局・福祉担当部局双方から回答を求めます。

②【グループホーム再編について】

国において「(仮称)自立生活移行支援型グループホーム」と「(仮称)一般型グループホーム」といったグループホーム再編の動きが乱暴に進んでいます。グループホーム利用者や希望者を障害の程度で振り分けること、施設的な効率重視の処遇や大規模化につながることなど、障害者の地域生活支援の根幹に関わる問題だと危惧しています。国における再編の動きがどのような形になろうとも、グループホーム本来のあり方を守り抜くことが必要です。大規模化・効率化に傾くことなく、小規模で家庭的なグループホームを増やしていくために、国が中軽度者を移行支援型に切り離そうとするなら、他都市とも連携して断固反対し、あくまでも本人の希望に基づき、グループホームも含め住みたいところで安心して暮らし続けられるよう保障し続けることを求めます。またサテライト型の年限撤廃や個別ヘルパー利用の恒久化を強く国に訴えて下さい。

 

【6.地域移行の状況及び入所者の移動支援利用】

施設入所者数については、国から削減を求められているが、数値目標は設定せず、地域移行者の目標値年41人のみがあげられています。サービス見込み量としては地域移行を進めることから減少の数字をみこむと神戸市障がい者プランにあります。来年中央区と東灘区に入所施設が開設されますが、施設入所者数についての今後の方針をあきらかにしてください。私たちはこれ以上、新しい施設は作るべきではないと考えます。

また、昨年度の回答で入所待機者は把握していないとのこと。そして地域移行支援事業実績は年10人。施設入所を希望せざるを得ない人の問題とむきあい、施設を出たい人の希望と向き合わなければ地域移行は促進されないと考えます。施設待機者の情報の早急な把握と課題検討に取り組んでください。そして施設を出たいと思うようになるには、施設入所者の移動支援利用が不可欠です。昨年の回答では、入所施設の報酬が全く算定されない日のみ移動支援が可能とのこと。であるならば、入所施設者で希望する人には移動支援の利用者証を発行し、相談支援を通じて外出予定日における施設との報酬請求の調整を行うなど具体的な方策を推進してください。

 

【7.生活介護、就労系等日中活動 】

(1)【神戸市東部地域における生活介護について】

来春以降の青陽東養護学校等の卒業生の受け入れ先が足りません。長年にわたって指摘してきたことですが、神戸市東部には生活介護事業所が決定的に少ないという状況には大きな改善がありません。東部地域の事業所はやむを得ず定員をオーバーして受け入れているところすら少なくないのが実状です。送迎体制が整ってない事業所もあり、事業所を選択する余地もなく地域の要求に対応できていません。このままでは、卒業生の多くが在宅を強いられる可能性が高く、生まれ育った地域で生きていくという神戸市も謳っている理念が可能と成る社会資源が整備できていないのです。喫緊の課題と認識し、事業所を増やす施策を早急にとってください。

 

(2)【事業所一覧について】

事業所一覧をもとに問い合わせると、高齢者対応のみで障害者受入を実質行っていないと回答する生活介護事業所がいくつもあります。ただでさえ少ない生活介護事業所が、実質受入を行っていないという不誠実な状況が発生しています。この状況を改めるとともに、一覧データの更新をもっと早く行い、現状把握できるようにしてください。

 

【8.優生思想に関わる課題】

【NIPT 等の出生前検査の課題】

厚生労働省は、「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書」(以下、報告書)を確定し、6   月16日に各自治体に対し説明会を行っています。

厚労省が1999年に出した「母体血清マーカー検査に関する見解」においでは、「医師が妊婦に対して、本検査の情報を積極的に知らせる必要はない」としていましたが、今回は「妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として、妊婦及びそのパートナーが正しい情報の提供を受け、 適切な支援を得ながら意思決定を行っていくことができるよう、妊娠の初期段階において妊婦等へ誘導とならない形で、出生前検査に関する情報提供を行っていくことが適当である」としています。その理由として、ネット上に誤った情報があふれていること、遺伝カウンセリングなどの相談体制が十分でない医療機関等へアクセスすることが増加してきた背景があること、一方、2006年の国連障害者権利条約の成立や1994年カイロ国際人口・開発会議で、 リプロダクティブヘルス・ライツの概念が提唱された国際的な潮流があったこと、福祉サービスの向上、妊娠から育児まで切れ目のない支援体制等、これらが充実したものであることをもって、出生前検査の情報提供を行うことしています。

しかし、現在のような障害に対するネガティブな情報があふれる中で、この検査に対する情報提供   が行われることに、私たちは大きな危惧を抱いています。よって、以下について質問と要望をします。

(1) 同報告書では、「都道府県、指定都市、中核市の母子保健部局において、出生前検査に関する悩みや不安をもつ妊婦や家族をサポートする体制を構築する必要がある。具体的には、関係行政機関と産婦人科・小児科等の医療機関、福祉関係機関、ピアサポート機関の連携を図るためのネットワークを地域レベルで設けることも考えられる」とあります。この地域レベルでのネットワーク構築について、現段階での神戸市としてのお考えを示してください。

(2)「出生前検査に係る妊婦や家族への説明・相談支援の質の向上や理解の促進を図るため、手引きの作成、研修の実施等」が求められています。関係者に対する理解の促進として、神戸市としてどのようなことを実施する予定であるのか、実施時期や内容も含め設計して下さい。について示してください。また手引き作成や研修を行う際には、障害者権利条約やリプロダクティブヘルス・ライツの視点をもつ障害当事者を講師として選定し、またピアサポーターとして参画できるよう要望します。

 

以上

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