【巻頭】 相模原事件から5年/旧優生保護法裁判~神戸地裁不当判決に抗議する
凪裕之(障問連事務局次長)
猛暑の日々が続いていますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
新型コロナウィルス感染が今まで以上に拡大しているというのに、オリンピックが強行されています。政府は病床逼迫しないように自宅療養の方針を出し、入院すれば生きられるはずなのに、命を落とす危惧が増します。感染対策やワクチンの効果も見えず、新しいデルタ株の感染力の強さから、身近でもこれまで以上に増して感染対策、注意が必要です。重症化リスクだけでなく施設や病院の中で生きている多くの障害者が、これ以上亡くなることがないよう強く望みます。くれぐれも皆さん、気をつけてください。
7月26日で相模原事件から5年が過ぎました。神奈川を中心に全国各地で様々なアクション、集会が行われてました。私は姫路のひびき福祉会のオンライン集会に参加しましたが、障害当事者の皆さんの活発な意見が多く出ました。障害者が地域で多くの仲間と生きていくことができず、施設や病院で管理だらけの空間の中で長い人生のほとんどを送ることが続いています。先日やまゆり園が再建されましたが、それを共生社会だというのは間違っています。病院や施設は地域から隔離され、管理され、その上コロナのクラスターが起こってもほったらかし状態、そして、障害者は殺されても仕方ない存在でいいのでしょうか。改めてこの事件を風化させてはならず何で起こったのかずっと問い続けていかなければならないと思います。
8月3日、旧優生保護法の被害に対する国賠訴訟で、神戸地裁は被害者の請求を棄却する不当判決を下しました。裁判は主文のみを読み上げほんの数秒で裁判官は法廷から去りました。原告や傍聴していた障害者に大きな怒りとショックだけが残りました。司法までもが優生思想と向き合おうとしない判決内容でした。相模原事件もこの裁判も優生思想の根強さは何も変わっていません。私たちは、そのことを許してはならないと、まだまだ言い続けなければならないと強く感じました。
8月、兵庫県知事が代わり、また秋には神戸市長選を迎えます。さらに厳しい情勢を迎える中、障問連はオールラウンド要望をはじめ、様々な要望を続けていきます。引続き皆さんのご協力をお願いします。
8月 7, 2021