【事務局より】 コロナ感染拡大「入院を原則、重症者に限定」?? / 総合支援法見直し
障問連事務局
■新型コロナウィルス更なる感染拡大
障問連として新型コロナウィルスに係り、「ワクチン接種に関する障害に応じた合理的配慮、重症化リスクが高く常時支援が必要な障害者が感染した場合の入院確保、重度障害者が入院した場合の介護者が病院で支援ができる課題」、この三つの課題について、7月末に兵庫県と神戸市に要望書を提出した。
しかし、その後かつてない感染が全国的に拡大し続け(8/5時点)ている。兵庫県では8/5には過去最大の459人が新規感染し、東京都では自宅療養者が7月初めには1000人程度であったのが、7/31には1万人を突破、8/3には1万4000人を越えている。
このような状況下で菅総理が記者発表した「入院を原則、重症患者に限定する」との政府方針には多くの批判が出、同じ与党内からも撤回も含めた見直しを求めたが、8月3日付で厚労省は入院制限方針を正式に都道府県に通知し、「地域の感染状況を踏まえ適用するかどうか」検討するよう既に要請している。しかし8/5速報では都道府県通知は「内容に変更はない」としながらも「中等症は原則入院」と事実上の軌道修正したと報じられている。
■障害者総合支援法の見直し
現在の障害者総合支援法が改正された2018年に、法律の附則として「3年後の見直し」が決められたため、2021年度に見直すことになり、今年3月開催の社会保障審議会障害者部会で検討が続けられています。「3年後の見直しに係る今後のスケジュール」は以下のように示されました。
4月~5月 関係団体ヒアリング(5回程度)
6月~11月 個別論点について議論(月2回程度)
11月~12月目途 とりまとめ(予定)
6/21の部会では「見直しの論点」について、厚労省から「障害者総合支援法の前回改正の施行3年後の見直しに関して以下の検討事項について、議論を進めていくこととしてはどうか」と提案されました。
<検討事項>
Ⅰ 地域における障害者支援について
Ⅱ 障害児支援について
Ⅲ 障害者の就労支援について
Ⅳ 精神障害者に対する支援について
Ⅴ その他
取りまとめられた内容は、課題によりますが、来年度から、または3年後の報酬改定に反映される見込みなので、加盟団体の事業運営にも影響しますし、オールラウンド要望にも関わっていきますので、どのように見直されようとしているのか、まてた他障害者団体等がヒアリングでどのような要望をしているのか、今ニュースで順次紹介していきます。〈検討事項Ⅰ「地域における障害者支援」〉からですが、ここは非常にボリュームあるので、今号ではグループホームに関して紹介します。
◆グループホーム制度の見直し
厚労省の資料の「地域における障害者支援」では、「地域での自立生活の実現・継続を支えるサービスの在り方をどう考えるか」と「障害の重度化・障害者の高齢化を踏まえた地域での生活の支援について」の視点から、グループホームの論点として・・・「グループホームの在り方(障害者が希望する地域生活の実現、重度障害者の受入体制の整備等の観点を踏まえた検討)」を見直すとされています。関連して『福祉新聞7/5』では、「グループホーム 再編は不可避」と報道されています。紙面を要約すると・・・
・厚労省は6/28の社保審障害者部会に「グループホームの利用者の4割以上が支援区分4以上の重度者」と発表し。制度創設時に想定した利用者像とのギャップが広がり法的な位置づけや利用者増に応じた再編を求める意見が出た。
・グループホーム利用者は14万人を超えた(2021年2月)。年間費用は2400億円になりあり方を議論。重度者が4割だけでなく7人に一人が65歳以上の高齢化。
・元々、制度創設時には昼夜を問わず支援を受けて暮らすことは想定されていなかった。
・「重度化・高齢化」への対応として厚労省は、①「職員配置を厚くする方向」と②「GH本体は軽装備にして外部の訪問サービスの活用」の2つの方向を示し、厚労省は主に①の立場で報酬改定してきた。しかし委員からは②の方向を取るべきとの意見が続出。またGHでなく1人暮らしできる地域の支援体制を求める意見もあった。
・現在、GHは総合支援法の「訓練等給付」だが、利用者像を整理した上で「介護給付」に位置付ける案も上がった。14万人を超えるGH利用者を全員、「訓練」という括りでとらえることに限界がありすみ分けが不可避との認識が浸透してきた。
【関係団体からの意見】
○地域生活の選択肢を増やすため、グループホームの居宅介護個別利用を恒久化するとともにサテライト型の利用期限を撤廃し、あわせて自立生活援助と地域定着支援相談を統合すべき。これに伴い、特定相談と一般相談の再編も必要と考える。なお、地域生活支援事業については明らかに個別給付的なサービスが混在している。少なくとも移動支援と日中一時支援は個別給付化するか、事業全体を補助金から交付金へ転換すべき。(全国手をつなぐ育成会連合会)
○グループホームにおいてはより重度の人たちを対象とすべき。共同生活援助の対象者の見直し、具体的には区分での利用制限を検討してはどうか。あわせて、軽度の人たちが地域で自立した生活ができるように自立生活援助の充実をすべき。(全国地域生活支援ネットワーク)
※以下4点、(障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会)
○現在の障害福祉サービスの特に居住系(施設入所支援、グループホーム等)の在り方を国連の障害者権利条約第19 条を参考に見なおすべきでないか。
○日中サービス支援型共同生活援助は、共同生活援助とは別の制度にすべきである。法では、グループホームは主として夜間に対応するということになっているが、日中サービス支援型共同生活援助は24 時間型で、目的や役割が異なっている。
○深夜の手待ち時間の取り扱いについては、あいまいなままにしてきたが、今回の報酬改定で、一方的に労基法を満たすべく、夜間対応のあり方を変えてしまうような制度改定をおこなっている。このことにより、本来のグループ ホームのあり方ではやっていけない状況となり、グループホームそのものが変わってしまうことになりかねない。報酬改定で、本来のグループホームのあり方自体を変えるような改定をおこなうことは問題である。
○夜間支援の手待ち時間への対応は新たな方法も含めての対応の仕方が検討されるべきである。高齢者も含めて、住まい(グループホーム、重度訪問介護等)における見守りを必要としている人は急増している。このような社会状況の変化に労働法制は対応していない。労基法自体が新しい社会状況の変化に対応したものに変化することが必要である。深夜の巡回ということについては、グループホーム間の距離、同性介助、深夜の巡回、多様な入居者に対応するむずかしさ等、多くの困難な課題が山積している。
○グループホームについては、玄関を複数に分けることにより独立性が確保されれば最大で20名定員の大規模なグループホーム設置が可能だが、これは、グループホームがミニ施設化の一途を辿り、地域移行とは真逆の流れになる。この方式を普及させないため「中規模施設」といった名称にするなどグループホームとの差別化を図るべき。(全国自立生活センター協議会)
○GHでのヘルパー利用の恒久化するとともに、通過型、サテライト型を促進する。住宅確保のための支援策も講じる必要がある。(DPI日本会議)
8月 7, 2021