精神障害者

【報告】 神出病院問題のその後~中央での取り組み~明らかになる事実~

障問連事務局

昨年発覚した神戸市西区の神出病院でのすさまじい精神障害者への虐待暴行事件について、根本的な法制度の改定も視野に国会議員への働きかけの一環として、以下の取組みが行われます。神奈川・埼玉・東京・大阪そして兵庫の精神医療人権センターやJIL、DPI日本会議などの団体が共催し、日弁連や一般社団法人日本精神科看護協会・公益社団法人全国精神保健福祉会連合会など多くの後援団体により開催されます。事件発覚後も神出病院の被害者へのひどい対応や何年にもわたる虐待、人権侵害と隠ぺい体質が新聞報道されています。

 

◆神出病院事件を繰り返さない-虐待事件の政策的解決に向けて-

日時 2021年5月11日(火) 11:30-13:00      場所 衆議院第一議員会館・多目的ホール

申込み/問い合わせ  神奈川精神医療人権センター

TEL: 045-353-5711   E-mail: kp.kanagawapeer@gmail.com

視聴のみとなりますが、オンラインでのご参加も可能です。その場合は、必ず事前にメールにてお申し込みください。

【開催趣旨】

2020年3月、医療法人財団兵庫錦秀会神出病院において、看護職員による患者への虐待事件が発覚しました。

看護職員らは、逆さにしたベッドにその柵を利用して患者を監禁する、患者を全裸にしてトイレでバケツやホースで水を浴びせかける、患者の頭にガムテープを何重にも巻き付けて車椅子に固定する、患者同士でキスをさせて動画撮影するなどの虐待行為を繰り返していました。

現行の障害者虐待防止法と指導監督制度、入院者の権利擁護について議論を深めていく必要があります。

虐待事件を繰り返さないため、政策的な解決方法を考える院内集会を開催します。

ぜひ議員のみなさまのご意見もいただきたいと思います。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。

(集会内容)

〇基調報告・・・長谷川利夫(杏林大学)/桐原尚之(全国「精神病」者集団)

〇特別発言

・吉田明彦(兵庫県精神医療人権センター)     ・小山聡子(日本女子大学)

・山本深雪(大阪精神医療人権センター)      ・窪田澄夫(一般社団法人日本精神科看護協会)

 

◆新聞報道で明らかにされる事実  「違法隔離10年以上か」

4月28日毎日新聞の報道によると神出病院の虐待事件について、神戸市は暴行罪などで有罪となった6人の元患者以外の医師や看護師ら全職員218人を対象にアンケート調査が実施され、122人から回答があり、4月22日開催の学識経験者らで構成される市民福祉調査委員会で結果が報告された。

・56人が虐待を見聞きした。このうち5人は「12年以前からあった」と回答。

・12人の職員が患者をあだ名で呼ぶなど「不適切な言葉遣いをした」と回答。

・6割以上の77人が違法隔離を「行ったことがある」「見聞きした」と回答。

・約70人が当時の院長と医師が「知っていた」「知っていたはず」と回答。

・10年以上勤務する職員が「当時からやっていた」と証言。

 

 

〇神出病院事件 「院内虐待 解けぬ1年」「弱い立場 家族は沈黙」「他の預け先ない」

3月28日毎日新聞で神出病院の問題が大きく報じられています。以下、要約して抜粋します。

・「精神科に入院する息子は職員から性的虐待を受けていました。でも、まだ病院から個別の説明や謝罪がありません」。2021年1月に取材に50代女性が答えた。事件が明らかになり1年が経過している。

・事件から8か月後の2020年11月、神出病院は家族らに直接説明する場を設けた。院長は冒頭、「多大な心配をかけた」と述べたが、「(虐待行為は)全く知らなかった」と弁解し「プライバシー」を理由に詳細な説明はしなかった。質疑もほとんど受け付けなかった。ある後見人が「事件の根本的な原因をどう考えているのか。再発防止策もきちんと説明してほしい」と訴えると、院長は「意見があるならサシでやりましょう」と述べ、「ここは病院が説明する場、あなたの見識を広める場ではない」と突っぱねた、1時間予定が30分で終了した。虐待防止委員会の結果報告は「広く報告する予定はない」とされた。女性は納得できなかったが、けんか腰に見えた院長の態度に口をつぐんだ。「被害者の家族だから個別の謝罪や説明があるはずという期待は裏切られた」。出席した家族にはA4版の紙一枚が入った封筒が配られた。退院または転院を「希望する」か「希望しない」かを選ぶ「意向確認表」。回答期限は1週間後。入院患者の思いは複雑だ。病院への不信は募るが、「弱い立場なので声を上げにくい」と複数の家族が話す。

・神出病院は市内最大規模の465床、うち240床が長期入院向けの療養型。

・関係者は「施設面やケア面では不人気だが、積極的に受け入れ、長く入院できる『最終施設』の位置づけだった」。

・「兵庫県精神福祉家族会連合会」の新銀輝子会長は言う、「頼る先が見つからず自宅でのケアに疲弊した末に入院させた家族にとって、病院は最後の砦。丁寧な聞き取りや転院先の受け皿を一緒に考える専門職による支援もなく、踏み絵のように入院継続か転院かを尋ねるのは乱暴です」。

・神戸市は3月に退いた大澤前院長について、強制入院や隔離措置の権限を持つ「精神保健指定医」の取り消しを求める報告書を同月下旬に国へ提出。病棟で勤務していた医師にも同様の措置を講じる。

・コロナ禍で遅れていたが、神戸市は4月以降に精神保健福祉士ら専門家団体の協力を得て、全ての入院患者に転院希望や困りごとを聞く方針だ。市から情報を得た兵庫県も3月26日に病院を運営する医療法人財団「兵庫錦秀会」に対し、一連の行為を見逃した管理体制を検証するための立ち入り調査をした。

 

◆「精神科病院の身体拘束 日本突出 オーストラリアの559倍、ニュージーランドの2000倍」

3月29日の毎日新聞で、「精神疾患の患者の体をベッドなどにくくりつける身体拘束の人口100万人当たりの実施数を国際研究チームが英国精神医学誌に発表。以下の4国を対象、2017年度データを分析。

・オーストラリア・・・0.165人      ・ニュージーランド・・・0.0305人

・米国・・・・・・・・0.371人      ・日本・・・・・・・・・98.8人

日本では都道府県により16人~244人とばらつきがある。経済協力機構(OECD)によると精神科病床数も加盟国の中で日本は突出している。加盟国の多くは「脱施設化」を進めているが、日本の遅れが指摘されている。

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