事務局より

【様々な動向】  社会保障/国・審議会の状況/ワクチン接種の課題

障問連事務局

拡大事務局会議では障害者問題および関連する社会問題や動向についても情報共有しています。また2021年度のオールラウンド要望について、遅れていますが、5月会議から本格的に検討を始めます。

 

〇生活保護

生活保護の減額を憲法違反とした全国29地裁での判決、2件目の大阪地裁では勝訴したが、3件目の札幌地裁判決は「減額は国の裁量の範囲内」とし訴えは退けられた。毎日新聞4月20日では同訴訟弁護団の小久保弁護士の意見が掲載され、2012年お笑いタレントへのバッシングから厳しくなり、2012年末に「生活保護基準1割カット」を公約に掲げ自民党が政権復帰し2013年1月に引き下げ方針という、引き下げの背景に自民党の公約があったこと、すなわち結論ありきの引き下げであることは札幌地裁でも認められたが、しかし札幌地裁判決では「1日2食でも『許容しがたい程度とは認めがたい』とわざわざ判決に書いている」と批判している。札幌地裁の人権感覚を疑う。今年は5月福岡地裁を皮切りに全国4,5地裁で判決が出る。大阪判決のよう実態重視の判決を期待したいと小久保弁護士は指摘している。

 

〇地域生活支援事業の地域間格差が課題に(社保審障害者部会)

4月26日『福祉新聞』によると、社保審議障害者部会(4/19開催)が総合支援法の見直し論議を始め、る。地域生活支援事業について地域間格差があることが指摘され、例えば「施設入所者の移動支援が使えない例がある」「手話通訳派遣の基準にも格差がある」等。45団体にヒアリングし、法改正に向け年内に報告書をまとめる。

 

〇障害福祉費膨張にクギ (財政審分科会)

4月15日、財政制度等審議会の分科会が開催され、障害福祉サービス費用を抑制するための議論が始められた。障害福祉サービス費用は2006年度には6000億円だったが2021年度は3兆3000億円に増加し、特に障害児向けサービス費の増加を問題視している。また人口当たりの利用者数に地域格差があり、18歳未満の利用者数が過去5年間で85%増。事業者の参入を安易に認める自治体もあるとし、就労継続支援A型の地域格差が大きいことが指摘された。厚労省は放課後デイサービスの見直しを論点に検討を始め年内に結論を出す予定。

 

〇新型コロナ関係

医療体制が逼迫し4月末時点で大阪府では1万4000人以上、神戸市でも「ほぼ限界」で1800人が自宅待機している。4/24報道ではワクチン接種について兵庫県では「医療従事者まだ3割」程度にとどまり、65歳以上の高齢者のワクチン接種も問い合わせが殺到し窓口が混乱し、また介護を要する高齢者がどうやって接種会場まで行くのかも課題になり、兵庫県加東市では送迎してくれる家族のいない高齢者に集団接種専用のタクシー利用券が交付されている。

このような状況下、兵庫県下の重症心身障害児者を支援する6施設が優先接種を求める署名活動が行われた。また大阪では「大阪障害者フォーラム(ODF)世話人会議」として、3月30日に「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種における障害者への合理的配慮についてのお願い」の要望書が提出されている。視覚障害者や聴覚障害者の相談やコールセンターでの情報保障、接種会場のバリアフリー、障害福祉サービス事業所でも接種できるような支援などが要望されている。障問連としても、どんな課題があり何を要望していくのか、今後検討していきたい。

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