交通バリアフリー

【報告】 バリアフリー部会/「駅無人化は移動制限」と大分県で提訴

栗山和久

バリアフリー部会も新型コロナウィルスにより予定していた川西市への訪問も中止せざるを得ず、会議も中断していましたが、秋から会議を開催しています。

◆バリアフリー部会の報告

前年度から神戸市内の各区役所のバリアフリーチェックを分担して訪問調査し、その結果をどうまとめ、神戸市に提言していくのかを検討しています。神戸市は三宮駅周辺が移動の円滑化を目的とした三層構造化が図られようと今後大幅に変わっていきます。しかし障害当事者の意見が十分に聞かれているのか、神戸市のバリアフリー基本構想の課題についても部会で学習を重ねつつ検討しています。

そのような中、部会のメンバーの車いす当事者が神戸市営地下鉄利用の際、乗車駅で降車駅を伝え駅員の補助を依頼していたにもかかわらず、駅員が来ず目的駅で降りられず、とても怖い思いをされました。それについての事実確認と再発防止求め個別の協議も継続しています。人的なミスは必ず起きます、しかしミスした場合にどうするのか、再発防止にはその対応マニュアルが求められます。また背景として下記の「駅無人化」と同様、合理化による駅員等の人的な削減が背景にあるかと思います。

 

◆「駅無人化は移動制限」と車いす障害者3人がJR九州を提訴

報道によると、JR各社は合理化などを理由に、すでに山間部などの過疎地域では元々駅員不在の駅であったが、ここ数年、人口減などによる経営悪化を背景にさらなる合理化のため、現在、「遠隔操作システム」を導入し都市部や近郊の駅で無人化を進める中、JR九州は大分市内の駅17駅のうち10駅を無人化する計画を進め、うち5駅は既に無人化されている。

「遠隔操作システム」とは駅にカメラやインターホンを設置し主要駅に常駐するオペレーターが各駅構内を監視し対応するもの。しかし補助が必要な障害者には事前の乗車予約が必要とされており、今回提訴した大分市の障害者は「事前予約は健常者には課せられない条件で障害を理由とした差別的な扱いは障害者差別解消法などに違反し、移動権を侵害している」との理由で損害賠償を求め9月23日に提訴された。9月19日毎日新聞の報道では、当事者の意見を以下紹介している。

○日本身体障害者団体連合会土岐副会長・・・「効率化を理由に進められる無人化は、JR九州だけに限らず全国的な課題だ。緊急時に『予約がないから対応できない』では困る。無人化が障害者の日常をどれだけ脅かすか考えて欲しい」

○視覚障害者団体・・・「柵も駅員もいない駅は怖い。JRは遠隔で案内するとしているが、目の見えない我々には難しい」

JR各社はすでに遠隔システムを導入した無人化を進めているが、JR九州は九州の県庁所在地の近郊駅をも無人化する方針を表明した。JR北海道やJR四国は5年以上前に無人化の計画は終了し遠隔システムの導入の予定すらないという。JR西日本の状況は以下。

【 JR西日本・・・全駅数1174駅 / 無人駅673駅 / システム導入駅64駅 】

兵庫県内でもJRだけでなく神戸電鉄や山陽電車では多くの駅が無人化されています。

この問題を歴史的にさかのぼれば、日本最大の労働組合であった国労を解体し強行された1987年の「国鉄分割民営化」があるのだろうと私は思います。民営化しさらに分割し、生産性向上、効率優先は過疎部の多くの路線を廃線化し市民の足を奪い利潤追求優先利あり方が交通弱者を疎外していくのです。

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