優生思想

【優生思想】 旧優生保護法下での強制不妊手術 兵庫裁判傍聴記

凪裕之(障問連事務局次長)

 

9月24日の優生保護法裁判、午後からの傍聴と報告集会に参加しました。

今回は第8回期日、小林夫妻(聴覚障害)、鈴木さん(脳性まひ)の原告尋問が行われ、これで5人の尋問がすべて終了しました。

次回は藤井さん(JD)、堀内医師(原告の診断をした医師)の証言予定(原告側請求)です。

次回日程は11月12日13時半~

(※詳細は未定ですが抽選の場合は11時半の可能性あり)です。

証言→反対尋問→最終尋問の順で、午前中は小林さんの夫の証言、次々回~最終書面のやり取りの後、結審になるのかと思います。

小林さんも鈴木さんもそれぞれ生い立ちから語られました。聴覚障害があるが故に強制不妊手術について、母や義母がどういうやり取りをしていたか全くわからなかったこと、鈴木さんは就学もできず色んな差別を受けてきた体験、手術前後の記憶や体験を詳細に証言していた。鈴木さんのところで、裁判官は原告代理人に復誦を求め、最初は言語障害の本人の直接の言葉を聞こうと努力する態度を感じられなかった。国の反対尋問は、結婚して妊娠した時期と籍を入れた時期、家族に手術の中身を本当に聞かなかったのかだけの尋問に終始しました。

報告集会で、原告らの証言は思いっきり言えた、裁判官にはどこまで届いたかはわからないが、今日までの準備の大変さもあったが、力強いメッセージだったと感想が述べられました。証言時間が短かったが、人生そのものが何重にも差別を受けた体験は伝わったのではないか。対する国は、一般的な事実経過の質問のみに終始し障害者の置かれている現実を全く無視したものだと感想が述べられました。

 

■20年間寝たきり「苦しかった」 強制不妊訴訟で原告側 神戸地裁

神戸新聞NEXT 2020/9/24 20:05

https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202009/0013726021.shtml

 

旧優生保護法(1948~96年)を巡り、不妊手術をさせられた兵庫県内の被害者ら5人が国に損害賠償を求めた訴訟の第8回口頭弁論が24日、神戸地裁(小池明善裁判長)であった。いずれも聴覚障害がある明石市の小林宝二さん(88)喜美子さん(88)夫婦と、脳性まひのある神戸市の鈴木由美さん(65)への本人尋問があり「(旧法は)人権無視だ」「(国に)謝罪してほしい」と訴えた。

喜美子さんは27歳ごろ、宝二さんと結婚後に妊娠したが、母に「赤ちゃんが腐っているから捨てる」と言われ、中絶と不妊の手術を受けさせられた。当時は分からず、2年前、全日本ろうあ連盟の調査で旧法を知った時「怒りが込み上げた」と振り返った。

鈴木さんは12歳の時、説明もなく手術をさせられた。退院後、手術の記憶がよみがえってけいれんを起こし、約20年間寝たきり生活に。不妊手術は徐々に理解したといい「長い間苦しかった」と真情を吐露した。

喜美子さんは「国の政策でこうなった。体を元通りにして」と手話で主張。宝二さんも「一人の人間として生きていることを理解してほしい」と伝えた。鈴木さんは「なぜ障害があると、子どもを産めない体にするのか。同じ人間じゃないですか」と声を上げた。

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