教育 新聞記事から

【報道】 教育をめぐる状況

障問連事務局兵庫県内の川西市で特別支援学校が新しく建設されるとのことです。建設はもう止められないのでしょうが、今後の県の動きは注目していく必要があります。「児童生徒数が年々増えて19年度は323人に達し」とありますが、兵庫県の学校基本調査(県教委のホームページで数値を見れます)を見ても、小中高の児童生徒数はこのところ年々減少し、特別支援学校の児童生徒数だけが増え続けています。就学段階での障害の「早期発見」が、その大きな要因のひとつだと思われます。障害の有無による就学先の決定について、改めて問うていく必要を感じます。

 

■児童生徒増加で特別支援学校新設へ 川西市、24年度の開校計画

神戸新聞NEXT 2020/1/27 18:50

https://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/202001/0013067469.shtml

 

兵庫県教育委員会は27日、知的障害者を対象とした新たな特別支援学校を2024年度、同県川西市に開設する計画を発表した。小学部、中学部、高等部を設け、定員は120人を想定。こやの里特別支援学校(伊丹市)の児童生徒数が増加し校舎が手狭になったため、過密化解消を図る。こやの里の通学区域のうち、川西市と猪名川町を新設校に振り分ける。県教委は28日に開かれる「総合事業等審査会」に計画を諮る。

こやの里は1978年に定員約200人で開学。児童生徒数が年々増えて19年度は323人に達し、運動場に校舎を増築するなどして教室を確保してきた。(以下略)

 

 

新型コロナウイルスにより開催は未定のままですが、今年度の障害者春闘では、以下の川崎市の就学裁判について大谷恭子弁護士が講演される予定です。

 

■「共生の機会奪ってる」 障害児就学訴訟が結審、3月判決

神奈川新聞  2020年01月09日 23:32

https://www.kanaloco.jp/article/entry-239175.html

 

重度障害を理由に希望する地元の川崎市立小学校への通学を認めず、県立特別支援学校を就学先に指定したのは差別に当たり違法だとして、人工呼吸器を付けて暮らす小学2年生の光菅和希君(8)と両親が市と県に小学校への就学を認めるよう求めた訴訟は9日、横浜地裁(河村浩裁判長)で結審した。判決は3月18日に言い渡される。

9日の口頭弁論で母の悦子さんは意見陳述に臨み、「障害があってもなくても小さなころから同じ学びの場に一緒にいることが、当たり前の世の中になること。それこそが差別をなくすことにつながるのではないか」と述べた。

原告代理人の大谷恭子弁護士は「分離別学の強制は地域の学校、同年代の集団、地域社会からの排除であり差別。共生する機会も奪っている」と強調。8日に開かれた津久井やまゆり園事件の初公判にも触れ「障害者を社会から排除する差別意識から起きた痛ましい事件を二度と起こさないためには、障害の有無にかかわらず共に学び共に育つ教育を当たり前のものとして実現していかなければならない」と訴えた。

人工呼吸器を付けて暮らす子どもを市立小学校で受け入れた実例がないとする市は、準備書面を提出。「特別支援学校が最適な『学びの場』。保護者の意見に従わなければならないというものでは決してない」と反論した。県も準備書面で「合意形成に向けての努力を重ね、保護者の意見を最大限考慮した」とした。

訴えによると、2018年4月の光菅君の小学校入学に際し、両親は市や県の教育委員会と複数回にわたり協議。市立小学校への通学を希望したが、市教委は同3月、「専門的な教育が適切」として県の特別支援学校に就学するよう通知した。両親は特別支援学校ありきで就学相談が進められたと反発。市教委は人工呼吸器に関する知識を深めようともせず、小学校で学べるよう「合理的配慮」の検討すらしなかったとしている。

〇「一緒に学ぶことが当たり前の世の中に」母親の意見陳述要旨

9日に横浜地裁で結審した就学指定先を巡る訴訟の口頭弁論で、原告の光菅和希君の母・悦子さんが行った意見陳述の要旨は次の通り。

和希は幼稚園で2年間、同世代のたくさんの友達と同じ環境の中で過ごし、いろいろな経験をしてきました。同じ場所や環境の中にいることで特別な存在ではなく、普通に友達として仲良くしてくれました。うれしかったし、楽しかったのだと思います。友達とコミュニケーションを取りたいと自分で思うようになり、子どもらしい笑顔も増え、いろいろな表情をし、少しずつ声に出し言葉を発することも増えました。

行事はたくさんありました。夏休みの最後に行われる夏祭りではみんなと一緒に踊り、運動会のリレーもみんなと一緒に走りました。

発表会では、和希も自分でやりたい役を選び、セリフの代わりにカスタネットを鳴らしました。どうしたら自然にみんなと同じようにできるかということを先生方が全て考えてくださいました。

卒園式では、私には保護者席で見てもらいたいと、クラス紹介の時に先生が和希と一緒に舞台に上がってくれました。卒園証書を一人一人に渡すときには園長先生が舞台から降りてきて、和希に手渡してくれました。まさに幼稚園全体で合理的配慮をしてくださいました。

和希にとって、友達とコミュニケーションを取りたいと自分から思う環境の中にいることが何よりも大切であり、成長するのだと幼稚園で私たちは学びました。

地域の小学校で過ごすことで和希はたくさんのことを学び、吸収ができると確信しています。また、日常生活の中でも、スケート場や水族館、イベント会場にも行っていますが、何か事故や危険なことが起こったことは一度もありません。

地域の中で日々過ごせているのに、なぜ地域の小学校には通えないのでしょうか。安全面はどこにいても変わらないと思います。

先日(の口頭弁論で)、川崎市教育委員会職員が、「2017年7月20日の面談の時から、最重度の子だとして(就学先は)特別支援学校と決めていた」と証言しました。当時、地元小学校への就学の希望を伝えた際に「それではその小学校でお気持ちは決まりですね。小学校と連絡を取って話を進めてください」と言われて、望めば地域の小学校に行ける希望を持たせておきながら、見た目だけで初めから特別支援学校と決めつけて差別される。2018年2月末まで地域の学校には行けないとは言われませんでしたし、行けないことはないと言われました。就学相談という名の差別による選別だったのだと思いました。

和希にとっては地域の中で同世代の子どもたちと一緒に学ぶことが必要なのです。障害があってもなくても小さいころから同じ学びの場に仲間として一緒に普通にいることが当たり前の世の中になることが、差別をなくしていくことにつながっていくのではないでしょうか。

和希はもうすぐ3年生です。みんなと同じ学校に行きたいと願う和希の気持ちを大切にしてあげたいと思います。地域の中で暮らし、子どもらしく素直に真っすぐ成長していってほしいと願っています。

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