オールラウンド交渉

2019年度  障害者問題に関する要望書

神戸市長                                  2019年10月25日
久元 喜造  様
神戸市教育委員会
長田 淳   様
障害者問題を考える兵庫県連絡会議
                              代表  福永年久
2019年度  障害者問題に関する要望書

貴職におかれましては、日々、共生社会に向けご尽力のことと存じます。
旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術に対し、本年5月28日仙台地裁で憲法違反だとの司法判断が下されました。障害者の存在を否定する優生思想に基づき、40年もの長きにわたって多数の障害者に対し、有無を言わさず不妊手術が強要されてきた実態がようやく明らかにされてきました。被害者の救済を求める裁判が各地で相次ぎ、神戸地裁においても被害者が提訴されました。救済法が成立したものの、「国の責任と謝罪」の文言は盛り込まれず、補償額も一時金320万円と低額にとどめられるなど、「国家主導の犯罪」ともいえるこの人権侵害事件に対して全く誠意が感じられません。
現在の「神戸市障がい者保健福祉計画2020」は来年度で終了しますが、基本目標として「障害のある人が、自らの意思決定に基づき、一人ひとりに応じた支援を受け、個人として尊重され、地域のなかで安心してともに暮らし、活躍できる“こうべ”をみんなでつくっていきます。」とされています。しかし現実はどうでしょうか。2018年には隣の三田市で長年にわたり知的障害者が監禁されるという事件が発覚しました。被害者の現在生活する場所は本人が望まれる場所なのでしょうか。また精神科病院で10年以上の長期在院者は神戸市の精神障害者だけで約500人近くおられます。神戸市では、「高齢の知的障害者の入所施設のニーズは高く、特別養護老人ホームへの入所を促進する」と独自予算を設けた施策が行われています。しかし、これらは障害者本人が希望しているのでしょうか。私たちはそう思いません。このような1人1人の障害者の思いや希望が埋め殺されている現実に対して、行政として本気で考え一歩ずつでも地域移行、地域生活の推進に向け、踏み込んだ施策が求められます。「障がいのある人が自分らしく、ともに学び、働き、暮らすことができる社会」を本気で作っていくのか、障害者をめぐる現場の一つひとつを通して神戸市が大きく問われているのです。
各区役所における重度訪問介護や移動支援等の福祉サービス等の運用や支給決定において、当事者本人の希望を認めない不適切な対応が年々増加しています。これらの状況を改めるために、私たちは、支給量決定基準の見直しを毎年求めてきました。2017年11月から「居宅系サービスの支給量審査基準等の見直し」の内部検討会がようやく開催され、ついに今年の6月に障害者団体に対して検討内容が明らかにされました。地域で当たり前に暮らしていくことを実現する「神戸市モデルの支給量基準」の策定を強く望むと昨年述べましたが、期待は大きく裏切られたといわざるを得ません。数字の見直しは全くなく、区役所レベルの裁量を数字化した現在の見直し案は、障害者・家族・支援者の声のききとりもなく行政関係者のみの思惑で作成されたとしか思えません。当事者ぬきの改定案の撤回を私たちは強く求めるとともに、あらためて地域で安心して暮らし続けることのできる方法を市民に発信する支給量基準の作成を要望します。2021年度からの新たな「神戸市障がい者保健福祉計画」策定においても、以上を踏まえ、障害当事者がしっかり参画し、実態を踏まえ、当事者の思いや希望が実現されるような計画が策定されることを強く要望します。
以上の趣旨を踏まえ、下記の要望について意見交換の場を持って、ご回答していただくよう要望いたします。

【 1.教育 】
(1)【看護師配置制度について】
訪問看護ステーション等を活用して実施される神戸市立小学校、中学校での「医療的ケアを必要とする児童への支援」について、以下の要望ならびに質問に回答して下さい。
①話し合い時点から直近の同制度の実施状況、実施学校数、対象児童数ならびに週何日程度か、1日の派遣時間など、派遣の内容について、小学校、中学校それぞれに回答して下さい。(文書回答)
②昨年度、週10時間の上限は変わらないが「保護者の負担軽減のため特別支援教育支援員で看護師資格を有する人に10時間を超える部分を対応する」との回答がありましたが、同じ医療的ケアという業務内容にも関わらず、異なる雇用条件では人材確保も難しいと思われます。週10時間の上限を設けずその児童に応じた柔軟な制度に変更することを要望します。
③また昨年度、小中学校に限定されていた看護師配置制度に幼稚園も追加したが、高等学校を何故対象としないかについて要望したところ、「持ち帰り検討する」と回答されましたが、その後の検討状況について回答していただくとともに、高等学校も対象とする制度変更を行うよう要望します。

(2)【高校進学の課題】
2018年度に続き2019年度の公立高等学校入学者選抜においても、権田裕也君が神戸市立楠高校を、明らかに障害を理由として、定員内にもかかわらず不合格になりました。それに関わり、以下について真摯に回答していただくよう要望します。
① 2019年2月13日の文教こども委員会において「陳情第210号 神戸市立高等学校におけるインクルーシブ教育の推進に関する陳情」を私達の関係者が行いました。同委員会では「話し合いは継続するべき」と複数の議員から意見があげられ、同年2月20日付「神戸市会政第410号-3」通知の末尾には「今後とも話し合いを続けていくとの当局の説明があったため」とされています。しかし、その後私達の申し入れに対して一切話し合いは拒否されたまま今日にいたっています。市議会での約束も反故にするものです。神戸市教育委員会と私達との話し合いの場を早急に設定してください。
② 2019年3月19日、神戸市楠高校の合格発表で、多数の警官が校舎内外に配置されていました。そのような対応が、誰の判断で、どのような理由で行われたのか回答して下さい。

【 2.保育 】
  障害のある児童も一般施策の中で育つことが当たり前であるとの認識の下、一般施策としての保育所、放課後児童クラブ(学童保育)がしっかり障害児を受け入れる環境を整えること、その後方支援として、障害児に対する障害福祉サービスが整備されることが肝要です。以下要望します。
(1) 【高学年受け入れ】
障害児にとって学童保育の高学年の受け入れはニーズの高い課題として毎年提起してきました。全ての学童保育での6年生までの受け入れを行う目標年度が2019年度でした。その達成状況を明らかにするとともに、2018年度及び話し合い時点での2019年度の市内の学童保育における低学年・高学年それぞれの障害児童の受け入れ状況を事前に資料提供して下さい。小学校内では低学年まで、高学年は近くの児童館等にリレー方式で対応している小学校区の数は何か所あるのか、解消の見通しと見解を示してください。
(2) 【医療的ケアへの対応】
医療的ケアが必要な児童の受入を行う民間・公立保育所に対しての看護師配置の取り組みが進んでいます。学童保育での看護師配置等の補助の状況を明らかにしてください。
(3) 【障害児受入推進など】
学童保育での積極的な障害児の受入のために、障害児受入加算における重度加算の創設等、助成金の増額を行ってください。

【 3.街づくり・交通・移動】
(1)【ホーム柵】
JR六甲道駅で昇降式ホーム柵が設置され、また神戸市営地下鉄三宮駅にも設置されました。ホームドアまたは可動式ホーム柵の整備に関する、交通局及び民間事業者における今後の計画について報告してください。
 またホーム柵は、設置されることが最優先ではあるものの、設置に関して利用者側のニーズが反映できていません。これから大規模駅でホーム柵設置が進む神戸市として、鉄道事業者がホーム柵整備時の参考となるように、障害者のニーズを聞き取るためのどのような対策をされているのか報告してください。
(2)【市バス乗務員の対応】
市バスの乗務員の、障害者に対応するときの態度がよくない、運転があらいという話はあとを絶ちません。神戸市として、現場の乗務員に対して、当事者を講師にした研修の場を設けてください。
(3)【市営地下鉄の新車輌導入と方針について】
市営地下鉄に新車輌が導入されています。それにより、電動車いすや歩行器使用の人が、補助やスロープなしで乗降できるようになっている駅もあります。ところが駅によっては、新車輌でもホームと車輌との間の段差が残り、スロープなしでは乗降できないという報告も上がってきています。
 今までの神戸市とのやりとりでは、新車輌の導入により、車椅子障害者の単独乗降が可能になる、という話でした。様々な車椅子障害者が単独乗降できるホームと車両の段差は2センチ、隙間は5センチといわれています。今回の新車輌の導入は、どういったことを目標に設定し、車椅子や歩行器ユーザーへのどのような配慮を行ったのか、お答えください。
また今後の新車輌導入の計画を報告していただくとともに、新車輌導入後のホームとの段差をどのように解消していく予定なのかも含め、神戸市としての市営地下鉄バリアフリー化の全体方針を示してください。
(4)【高速バスの車椅子乗車】
この春から障問連が支援してきた淡路在住の障害者が、神戸市内の夜間高校に通うようになりました。そのため障問連として、車椅子ユーザーが実際に神戸から高速バスを利用して淡路島に行くバリアフリー調査も行いました。
 その中で、「バス事業者が『人手がない』『研修していない』という理由で乗降介助を拒否した」「始発駅でないと車椅子ユーザーの乗降は難しいと言われる」といった課題が判明しています。
 改正されたバリアフリー法の目的が、障害の有無で分け隔てられることのない「共生社会」の実現であり、その為に「社会的障壁の除去」が必要と明記されました。また、交通事業者等に対しては、交通機関を利用して移動するのに必要な乗降介助、旅客施設における誘導、その他の支援を適切に行う努力義務が求められています。
 神戸市は兵庫県の中心都市として、神戸市から各都市へ行くための高速バスが多数あります。運転手等の職員による乗降介助を行うように神戸市発の高速バスを運営する各交通事業者に指導し、そのような取り組みの障害当事者への情報発信も各事業者に促してください。

【 4.労働】
(1)【障害者雇用率】
市職員採用の任命権者ごとの最新の障害者雇用人数及び障害者雇用率について回答をお願いします。またその数字のうちダブルカウントできる重度障害者が何人いるのか、回答してください。(文書回答)
(2) 【障害のある学校教員】
障害のある学校教員は、児童生徒への障害理解や共に生き共に働くあり方をより明確に示すものであり障害者差別解消の観点からも雇用促進が求められます。神戸市立学校の障害のある教員の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校それぞれの障害種別ごとの雇用状況を回答してください。また教育委員会を任命権者とする雇用については、特例認定として市長の事務部局と合算して兵庫労働局へ報告しているとのことですが、教育部局の障害者雇用率の今後の改善見通しについて回答してください。(文書回答)
(3)【障害者活躍推進計画について】
本年6月改正された障害者雇用促進法では、地方公共団体に対して、障害者が安心して働くための取り組みを障害者活躍推進計画にまとめ公表することが義務付けられました。神戸市として同計画策定にあたっての考え方と方針、策定スケジュール等について回答してください。(文書回答)

【 5.自立生活支援 】
(1)【障害福祉サービス支給量決定基準について】
 支給量決定基準は、障害者が安心して地域で暮らしていくための方法を指し示すものでなくてはなりません。2010年代に入り、特に長時間の決定を巡り、障害者の希望や必要性を押さえ込む根拠のない不適切な対応、混乱が区役所窓口で年々増加しています。ゆえに私たちは改定を求め続けているのであり、私たちの声や起きている現実にむきあわない改定には意味がありません。以下要望します。
① 当事者不在の見直しの仕切りなおし
2017年から始まっていた居宅サービス支給量審査基準等の見直しのための内部検討会がようやく終わり、今年の6月に障害者支援課から見直し案が提案されました。当初予定されていた「当事者等からの意見聴取」の前に基準改正案の作業がすでになされており、まさに「当事者不在」といわざるを得ません。現在、障問連との協議が行われていますが、あらためて、当事者・事業者等の参画を確保した見直し作業を仕切りなおすべきです。当事者をまじえ、時間をかけた丁寧な改定作業を強く求めます。
②新しい支給量決定基準にむけて
 具体的な提案は昨年別途提出、神戸市案についても意見書を7月に提出しましたが、重要なテーマをかさねて以下要望します。
・新しい支給量決定基準を市民に公開すること。現在の区役所職員にむけた記述ではなく、申請を考えている障害者にむけた記述を行うこと。
・個別の必要性に応じて適切に支給できるよう、上限数値を設けないこと。標準支給量及び1.5倍の数値を超えても必要な場合、非定型として相談していけることをわかりやすく明記すること。
・ 医療的ケアを伴う重度障害者の特別基準について
人工呼吸器を装着して生活している人を、さらに医師の意見書により一人で過ごせる時間の長さで3区分にわけることは、「本人不在」であり「命の軽視」といわざるをえません。3区分の撤回を求めます。
・ 介護環境区分について
同居家族の状況を詳しくききとり、本人の意向とともに勘案することは、今でも行われています。家族の介護力を細かく規定して区分わけの根拠にする今回の神戸市提案は、家族介護をさらに強いることにつながり反対です。撤回を求めます。
・ 標準支給量の1.5倍を支給できる要件について
現在の標準支給量は、重度訪問の区分6-1の単身生活で1日6時間、明らかに、地域で安心して暮らせる数字ではありません。1.5倍の数値でも1日9時間、あとの15時間は一人で過ごすイメージになります。1.5倍の支給決定できる対象者をはっきりさせるということは、1.5倍できない対象者を明確にするということです。ただでさえ区役所で時間数抑制のやりとりが続いている状況で、私たちは見直しを要望してきました。1.5倍すら適用できない対象を作ることは、的外れな逆行した提案です。要件に該当しない対象者が標準支給量をこえて必要性を訴えた場合はどう対応するつもりなのか、標準支給量が上限化していく可能性があります。撤回を求めます。
・ 「深夜帯の支給決定」について
「深夜帯の支給決定」は、重度障害者の地域移行や家族から独立した生活に必要不可欠です。巡回事業所もほとんどない中、一晩1.5時間×3回を支給するだけで、どのように重度障害者が地域生活を行うイメージで支給決定しているのか、神戸市の見解を明らかにしてください。滞在型の重度訪問介護を利用して自立生活を希望する区分6-1の重度障害者に対して、深夜についての支給決定の考え方を説明してください。私たちが提案した、標準支給量への深夜加算の実現を強く求めます。

③【非定型ルール及び非定型審査会について】
障害者の生活は個別性がきわめて高く、標準支給量をこえる非定型ケースがあってあたりまえであると考えます。平成30年度および今年度4月~9月までの非定型審査会の開催状況を示してください。また、非定型審査会の構成員に障害当事者委員を加えることが必須であると考えます。現在の非定型審査会の合議体数及び障害当事者委員の数とそれに対する神戸市の見解を示してください。(文章回答)

(2)【重度訪問介護について】
①【重度訪問介護の外出先での取り扱いについて】
 9月に加盟団体からの情報で、重度訪問介護は外出先では制度の対象外であるという誤った指導が、神戸市、区役所、支援センターによってなされているということが判明しました。その後の障問連とのやりとりを通して、誤りは確認されましたが、このような基本的な誤りが発生する神戸市の状況に驚きを禁じえません。各区役所・各事業所に対して重度訪問介護の解釈と運用についてどのような内容をどう周知したのかを説明してください。
②【重度訪問介護の対象拡大】
2014年4月から知的障害者・精神障害者で行動上著しい困難を有し、常時介護を要する方も重度訪問介護の対象とされましたが、神戸市においては2018年までは利用者0、なかなか利用が進んでいません。支給決定を受けるためには、相談支援事業者による利用計画、行動援護事業者のアセスメントが「絶対」必要であるという誤解や、市内の相談支援事業者、行動援護事業者の少なさが大きく影響していると考えます。事業所が確保できなかった場合は、居住地の支援センターが利用計画を作成し、区と協議の上、その他の障害福祉サービス事業所においてアセスメントが行えるよう申請環境を整備してください。現時点で、神戸市内で知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用に至った人が何人いるのか回答してください。(文書回答)
③【重度訪問介護の入院時使用及び入院時コミュニケーション支援事業について】
・ 重度訪問介護の入院時利用について、国に対して「区分6、入院前に重訪利用していた者という制限を撤廃し、「区分4以上、重訪対象者」まで早急に拡大するよう、強く要望するとともに、本人・家族・事業所・病院に対しても、入院時利用について制度周知を徹底すること。(文書回答)
・ 入院時コミュニケーション支援の平成30年度の利用人数・利用時間についてご回答いただくとともに、同制度は、知的障害者や障害児等、国制度の対象からもれている方の安心した入院生活を支えている認識の下、「150時間・30日まで」の拡充及び、国に先んじて区分制限を撤廃し、対象者拡大を実現してください。(文書回答)
④【重度訪問介護・同行支援】
熟練ヘルパーによる同行支援について、国に対して新規採用者だけでなく、その障害者の介護に初めて入るヘルパーまで拡大するよう強く要望すること。平成30年度の利用人数・利用時間についてご回答いただくとともに、ヘルパーの退職、採用はいつおこるかわからないため、新任ヘルパーが入る度の支給決定の他、予め支給決定を行い、年間を通じていつでもすぐに制度利用できるよう手続きの見直しを検討してください。(文書回答)
⑤【就労時等の重度訪問介護の利用】
  重度訪問介護は就労・通勤など経済活動にかかわる利用は制度上できないとされています。先の通常国会での付帯決議においても「通勤に係る障害者への継続的な支援や、職場等における在り方等の検討を開始する」とあることも踏まえ、通勤、就労及び在宅ワーク時に重度訪問介護を利用できるような制度改正を国に働きかけてください。(文書回答)

(3)【移動支援について】
①【社会参加・余暇活動中の移動支援の役割の周知とQ&Aについて】
昨年発生した中抜き問題を受けて、その後、移動支援についてのQ&Aを作成するとのことでしたが、その進捗状況を報告してください。またQ&A作成にあたっては、制度解釈や運用の過去の経緯を踏まえる必要があります。経緯に詳しい当事者団体や事業所へのききとりも行い、慎重に作成することを要望します。
②【通所・通学について】
 通所・通学についてはニーズが極めて高いにも関わらず、「通年かつ長期にわたる外出」として移動支援の対象からはずされてきました。今年の8月に大阪府知事、大阪市長から、重度障害者の通勤・通学に関する施策の検討を始める旨の発言があり、私たちも非常に注目しています。とりわけ重度障害児の通学は、親が毎日送り迎えしなければならない現実がずっと続いており、卒業後も進路先の事業所の状況により、親による送迎がずっと継続している実態が多くあります。「通年かつ長期にわたる外出」とどう向き合い、どう支援していくのか、国へ働きかけを行うとともに神戸市としての踏み込んだ対応と検討を要望します。
③ 【グループ支援型について】
現在、神戸市の移動支援は1対1の個別支援型を対象としていますが、複数の障害者への同時支援、同一目的地、同一イベントへの複数人同時参加の際の支援を行うグループ支援型を併用している自治体もあります。グループ型支援には、共に行動する障害者の関係性の支援、友人関係にアプローチしていく特長があります。ヘルパー不足のため外出を断念する利用者も多くいる現状を踏まえて、見解をお尋ねします。(文書回答)
④【基礎時間を越えた支給】
社会生活上必要不可欠な外出は、50時間を越えて支給が可能です。50時間を越えて支給決定されている利用者が2018年度に何人いるのか回答してください。(文書回答)

(4)【介護保険との併給について】
①【介護保険との適用関係】
介護保険との併給に関して、2017年に改定された、上乗せについての適用関係の周知は進んでいますが、介護保険の支給限度額を上限まで使い切る条件にこだわるあまり、介護保険事業所への強引な変更の提案や、従来の支援内容が認められない等、本人にとって由々しきトラブルはあいかわらず発生しています。「障害状況が変わらないのにサービスの引き下がりや不都合が生じることはあってはならない」ことを高齢福祉と障害福祉で基本原則とし、区役所・相談支援・ケアマネも含めて早急に認識を共有しておくこと。
②【特別養護老人ホーム受入促進】
神戸市の昨年度の主な取り組みとして、「特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受入促進」がありましたが、2018年度及び2019年9月までの受入促進状況をご回答ください。高齢知的障害者は本当に施設入所及び特養入所を望んでいるのか、意思決定支援のあり方やグループホーム、一人暮らし支援等の社会資源の整備が問われている課題だと考えます。根拠になっているアンケートも、将来どんな暮らし方をのぞんでいるのか、できればどうしたいのか、仕方がないとあきらめているのか丁寧な聴き取りが必要不可欠です。あらためて、この件についての神戸市の見解を問います。
③【共生型サービスについて】
共生型サービスの指定が始まりましたが、2018年度及び2019年9月までの共生型サービスの指定状況をご回答ください。(文書回答)

(5)【グループホームについて】
 障害者が地域で安心して生活するためには、住まいの場の確保が必要不可欠です。年間定員50人増を目指して取り組まれていると認識していますが、なかなか増えている実感がありません。以下要望します。
①【グループホーム数及び地域偏在、公営住宅での開設について】
2018年度の定員734人は54人増で、目標を達成したとききます。定員の区ごとの内訳及び増加した定員54人の区ごとの内訳を明らかにしてください。市街地における整備促進として人口集中地区における建物改修費用等の補助率の引き上げが行われましたが、何件のグループホームが市街地で補助対象になったかご回答ください。(事前の資料提供)地域偏在を解消するために、区ごとの目標値の設定と公開、土地や住宅、公営住宅の確保や斡旋など集中的な取り組みが必要です。現状に対する神戸市の見解を示してください。とりわけ、公営住宅での開設にむけて住宅担当部局・福祉担当部局双方からの進捗状況と今後の計画について回答を求めます。
②【スプリンクラー設置等について】
 小規模なグループホームを大幅に増やしていくためには、物件確保やホーム設立を模索している団体の掘り起こしや丁寧なサポートが必要です。とりわけマンション等の集合住宅は、スプリンクラーや火災報知器の消防法規定の影響で新規開設が極めて困難になってきています。安全性に配慮し一定の条件を満たせばスプリンクラー設置の例外規定や柔軟な運用を行ってください。
③ 【個別ヘルパーの利用について】
個別ヘルパーの利用について、グループホームは、住まいと入居者個々への支援をあわせもった「居
住支援の一形態」であることを踏まえ、権利として恒久的に位置づけ、ヘルパー利用を実施している他
の自治体とも連携して国に対して更に強力に働きかけること。(文書回答)
④ 【サテライト型住居について】
グループホームでのサテライト型住居については、様々な利用者のニーズにあわせた対応が求められることから、期限の柔軟な運用を行うこと及び、利用期限の撤廃を国に要望してください。(文書回答)
⑤ 【報酬の増額など】
グループホームの基本報酬が安すぎます。24時間365日、様々な状況の利用者のケアを担うグループホームが安定した支援が継続できるよう基本報酬の増額、また日中支援加算ⅠとⅡを統合し、初日から算定できるようにすること、土日祝日の算定も可能とすることなどの底上げや支援策を国に要望するとともに、神戸市重度障害者受入加算の対象者拡大を検討してください。(文書回答)

【6.地域移行~入所、入院時の移動支援利用】
(1)昨年の三田での監禁事件を受け、「福祉サービスの利用から漏れて孤立している人がいないか、手帳情報等を活用して、定期的な訪問等を呼びかける」と、兵庫県から回答がありましたが、神戸市としてのその後の検討状況及び取り組み状況をご回答ください。
(2)三田の監禁事件の被害者は、現在入所施設で生活されていると聞きます。しかしそれは、本当に被害者の方が希望する生活の場なのでしょうか。同事件の被害者だけではありません。施設に入所している知的障碍者に対して、地域移行の意向をどのように聞き取っているのでしょうか。カラオケや映画に行って社会での様々な楽しみや、同時に苦労すること、そんな地域生活の経験をゆっくり積み重ね、ゆっくり決めていく機会がなければ、特に知的障害者には地域移行したいかどうかを決められません。そして、そんな経験の上で、自分の希望を言っても良いのだ、グループホームや一人暮らしもできる、もっと自由に生きられるんだと伝え、当事者の気持ちを受け止められる支援者が寄り添って聞き取る必要があります。知的障害者が様々な経験ができるためにも、施設入所者に対する移動支援事業の実施を実現することを強く要望します。
(3)精神科病院の長期入院者の地域移行を進めるためには、まず病院から外出する機会を作り、地域での生活に慣れ、退院後のイメージを作ることが重要です。長期入院によってコミュニケーション力が落ちていることにより、外出先で恐怖を感じたり思うように行動できないこともあります。精神科病院での地域移行がより一層推進していくためにも、地域移行を前提とした精神科病院での移動支援事業を積極的に推進してください。

【7.生活介護、就労系等日中活動 】
(1) 【神戸市東部地域における生活介護について】
決定的に不足している東部地域での生活介護という社会資源の拡大を求めます。神戸市東部(東灘区・灘区・中央区)に生活介護事業所が決定的に不足しているという事態はいささかも変  わっていません。青陽東養護学校の現在の高等部3年生33名中10名が生活介護を希望しています。卒業間近になれば、希望者の人数はもう少し増えると考えられます。2012年4月の卒業生については、前年秋の段階では9名だった希望者が最終的に15名」になりました。
来春の卒業予定者については、東灘区に新しく生活介護事業所(オリンピア住吉東)が設立され、東部在宅にたまたま空きが2名分発生したため、なんとかなりそうですが、現在の2年生は今年以上に生活介護希望者が多くなっているとのことです。オリンピアも来年には受け入れ数が減ることは間違いなく、東部の他の事業所にはもはや受け入れ余地はほぼありません。この綱渡りのような偏在状況を大きく改善しなければ、今後、卒業後の進路に困る方たちが毎年増えることは目に見えています。
① この事態に対する認識を共有できるか否か、まずお答えいただきたい。
② 共有できるなら、具体的かつ実現可能な対応策をお示しいただきたい。
(2)【入院時に生活介護事業所がケアに入ることを認めてください】
昨年4月に、長年の懸案であった障害者の入院時の重度訪問介護利用がようやく実現しました。基準看護の大きな病院であっても、日ごろから長くつきあい、障害特性を理解した者でなければ簡単にはわからないことがあります。地域で生活している方だけでなく、施設入所されている方の入院時でもそれは同様であり、生活介護事業所スタッフしか対応できない場合も当然想定されます。生活介護事業所が、利用者の緊急時に対応し、下記の様に入院時に支援を行うことについての神戸市の見解をお示しください。
    〇母親がくも膜下出血で倒れ、それを機に突然摂食障害・摂食拒否が始まるとともに急激に体重が37㎏から23.7㎏へと激減し、胃ろうを余儀なくされて現在に至っているケース
      本人に慣れないヘルパーはもちろん、看護師の食事介助も一切受け付けず、ながらく通っている生活介護事業所の職員が入院翌日から連日通院し、食事介助に携わることで、少しずつ摂食できる回数も増えてきた。順調に摂食できている時なら、誰が食事介助をしてもおおむね食べることができるかもしれないが、入院時でナーバスになっている時には、慣れ親しんだ介助者、つまり長年付き合ってきた生活介護事業所の職員が介助することがベターであることはこの間の結果が示してきたところです。目下、2回目の入院以来50日を超えるが、生活介護事業所は現在の制度下では一切の介護報酬はありません。

                                         以上

« »