精神障害者 オールラウンド交渉

2019年度 精神障害者問題に関する要望書

                                 2019年10月25日
神戸市長
久元 喜造  様
神戸市教育委員会
長田 淳   様
                           障害者問題を考える兵庫県連絡会議
                           代表 福永年久
2019年度 精神障害者問題に関する要望書

【1.教育】
【精神疾患教育について】
日本の学校では精神疾患が思春期までに発症するケースが多いとわかっている現在においても、その時期に適切な精神疾患に関する教育がなされていません。精神障害については「知らない」ことにより、本人も周囲も大きな生き難さが生じ、偏見や差別を生むことから、毎年私たちは精神疾患教育の学校への導入を提案してきました。2022年の高校の学習指導要領改訂で、保健体育に精神疾患の授業が40年ぶりに組み込まれることになり、これをきっかけに小学校中学校での取り組みに広がることを期待しています。以下要望します。
(1) 2022年の高校学習指導要領改訂にむけて、精神疾患教育について神戸市教育委員会として具体的にどう取り組んでいかれるのか、回答をお願いします。
(2) 小学校・中学校において、人権教育・障害理解教育の枠組みを利用して、精神障害当事者を招いた授業や研修など、精神疾患についての知識を正しく啓発する取り組みが必要です。2018年度の取り組み実績をご報告いただくとともに、さらなる推進を求めます。また、当事者講師を積極的に招いてください。

【2.交通】
(1) 【運賃割引】
精神障害者の交通運賃については、身体障害者、知的障害者との格差が解消されていません。神戸市内の状況は、「福祉乗車証」が発行される他、神戸-関空ベイシャトルで運賃割引が実施されていますが、特に鉄道事業者が実施するよう、神戸市として各交通事業者に働きかけてください。(文書回答)
(2)【介護者付割引】
精神保健福祉手帳2級や3級の障害者も、介護者がいなければ外出が困難な者は、移動支援等を利用して介護者と共に移動しています。神戸市においては、知的障害では等級に関わらず介護者付割引が認められ、介護者付福祉乗車証が交付されているにも関わらず、単独での外出が困難なため移動支援を利用する2級・3級の精神障害者には介護者付割引を認めていません。福祉乗車証については、県バス協会からの要望を受け有識者会議が開催されている状況は存じていますが、精神障害者の移動権の保障が他障害に比べ格差がなくならない深刻な状況を踏まえ、介護者付割引の検討を行うよう要望します。

【3.地域移行~退院促進】
(1)【精神医療審査会】
私たちは毎年要望していますが、厚生労働省が「医療保護入院制度等の特性を踏まえ、医療機関以外の第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを、地域生活支援事業に位置づけることが適当」と示しているように、精神科病院において権利擁護の仕組みについて、抜本的に改革されることを要望します。精神医療審査会が当事者の立場に立った権利擁護の使命を果たすことを要望します。それを踏まえ、以下についてご回答ください。
①神戸市の精神医療審査会の2018年度の開催回数と審査件数、また、そのうち退院請求、処遇改善請求それぞれの件数について回答してください。また退院請求してその後退院になった件数、また処遇改善請求して、その後処遇が改善された件数も併せて回答してください。(文書回答)
(2)【精神科病院での身体拘束】
2017年度の実地指導によると、神戸市の13の精神科病院において204件の身体拘束が発生しています。
身体障害者においては、特に身体の緊張が強く、ご本人の安全確保のためのベルト装着も身体拘束にあたり、行う場合には支援計画等への記載と本人の同意が必要とされています。高齢者施策においてもますます身体拘束について厳格な運用が求められています。なぜ精神科病院においてこのような多くの身体拘束が許されているのでしょうか。届け出られている身体拘束以外にも、患者の要望を抑えこんだり、治療と称する服薬により行動制限されています。治療の場であるべき病院で、なぜこれほど多くの身体拘束が容認されているのか、神戸市としての認識を回答していただくとともに、以下について回答ください。
①神戸市内で、2018年度の「身体拘束」を行った精神科病院数と身体拘束の件数及び身体拘束した理由を回答してください。(事前の資料提供)
②神戸市として「身体拘束」「鍵のついた牢獄のような保護室での監禁」は人権を侵害した違法行為であるという認識はありますか。
③ 「630調査」により明らかになった身体拘束は、全ての事例が「生命または身体を保護するための緊急な場合」であると、神戸市として本当に認識しておられますか。実施している精神科病院に対し、「身体拘束ゼロが基本である」と強く注意喚起してください。
(3)【公営住宅】
公営住宅は退院者、精神障害者にとって最良の「受け皿」であり、終の住家と考える人がいるほど、地域移行・地域生活にとって重要です。更なる入居促進の施策を行ってください。とりわけ精神障害者の入居時のサポート及び入居後の相談対応はどこが担うのかを明確にし、困った時に随時寄り添える環境を障害福祉・住宅双方の部局が連携・整備し周知する必要があります。以下双方部局に要望します。
①入居時のサポートについて
精神障害者が公営住宅に当選しても、保証人の有無、単身生活が可能であるかの医師の意見書など様々な課題が想定されます。困った時に誰に相談すればいいのか、ご回答ください。
②入居後の相談対応について
入居後も、自治会への参加や役員就任要請、掃除への参加をどうするかなどを始めとして、近隣住民との間で解決していかなければならないことが数多くあります。神戸市として、精神障害者が「公営住宅に住んでからの支援」「入居後の孤立・不安を取り除き安心して住み続けられる支援」を受けられるよう体制を整えてください。
ア) 指定管理業者に対する精神障害を有する入居者に対する配慮、精神障害者への理解を促進する啓発研修の実施状況をご報告ください。また精神障害当事者と指定管理事業者が話をする場の設定を検討してください。
イ) 公営住宅で生活している精神障害者はどこに相談にいけばいいのか、神戸市の障害福祉サービスではどう想定しているのか、相談支援事業者の実状をふまえ、神戸市の見解を明らかにしてください。

【4.精神障害者の介護保障等、地域生活】
深刻な「80・50問題」「障・老介護問題」がますます身近に迫ってきています。なぜこのような問題が起きているのか、長年にわたる家族に責任を負わせ続けてきた日本独特の風潮および精神障害者問題では社会の無理解や偏見がそこには顕著に影響しています。それらを背景として、精神障害者の家族が、自宅内でのヘルパー利用をはばかり、家族が抱え込んでいる実態は今なお多くあります。ヘルパー利用を躊躇する家族に対して寄り添った支援をどうすればよいのか、神戸市として研究し、地域生活を促進していくため、本人が遠慮なくヘルパー支援が受けられるようにしてください。
① 精神障害者に特化した居宅介護の2018年度の各市町毎の利用者数・利用時間について資料を持って回答して下さい。(文書回答)
② 精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した2018年度の利用者数と利用時間について資料で持って回答して下さい。(文書回答)
③ 神戸市内に精神障害者のグループホームが何ヶ所あり、何人利用しているのか、2018年度実績について回答して下さい。(文書回答)

【5.保健・医療について】
精神障害者の保健・医療に関わり、以下、要望します。
① 【生活障害について】
精神障害者に係る障害年金は、疾病名や就労しているだけで不支給となるケースが多くあります。また一旦就労できても離職したり、就労したいが就労すれば年金が無くなるのではないか、そんな不安が症状を悪化させたりします。そのためにも安心して生活できるためにも障害年金は重要です。しかし、年金や精神保健福祉手帳の等級判定に際して、診断書を書く担当医師によれば精神障害当事者の実情、特に「生活障害」について十分理解されていません。障害当事者の背景や生きづらさ、生活のしづらさを見ずに医師が書類を作成すれば、書類1枚に「命」が損なわれかねません。医師に対して生活障害についての理解を図っていただくためにも、担当部局の方に是非、生活障害の内実を知っていただきたく、当事者の声を聞いて下さい。
② 【看護師・支援者への研修】
精神科病院に関わる看護師や精神保健福祉士・ケースワーカー・作業療法士等の支援者が精神障害者問題の認識を深められるよう、ぜひ精神障害当事者の体験や経験を学べるよう、当事者を話題提供者・講師とした研修会を、神戸市として推奨してください。
③ 【重度障害者医療費助成制度】
県内の市町では「尼崎市・西宮市・芦屋市・宝塚市・川西市・加古川市・高砂市・明石市・加西市・猪名川町等」と、精神保健福祉手帳2級者にも対象拡大して、重度障害者医療費助成制度が年々広がっています。県内各市町間の格差を解消すべく、毎年要望していますが、神戸市として同制度の対象拡大を決断してください。

                               以上

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