教育

【報告:教育】 10~11月、様々な集会で権田君の事をアピールしました

凪裕之(障問連事務局次長)

 11月15日、神戸市議の仲介で、神戸市教育委員会と権田君の両親、障問連2名で会いました。今年の楠高校の発表の時に警察導入をした問題、楠高校校長の事前訪問や発表後の差別的な発言などをめぐって、両親の強い怒りを込めたしっかりとした追求が続きました。しかし、話し合いは平行線でした。予想はしていたとはいえ、改めて強い憤りを感じます。
 しかし、権田君本人の湊川高校での充実した生活が続いていきます。高校生活での課題も多くあります。神戸市教委が今後権田君のように定員内不合格を出さないような取り組みも必要だと思いますが、11月15日に会った詳細と今後の方向性については、改めてお知らせしたいと考えています。
 また、8月に「これからも権田裕也と一緒に歩んでいく会」を小さいですが発足しました。淡路と神戸など阪神間の権田君と関わっていく人たちがつながっていければと『海峡に吹く風のなかを』という機関紙を発行しました。創刊号に続き、第2号を近日中に発行予定です。不定期ですが権田君の高校生活やつながりのある人たちの様子を綴っていければと思っています。
 関心のある方、詳細など問い合わせは、  ayundeikukai.kaikyounihukukaze@gmail.comまで。

◆兵庫高等学校教職員組合(兵高教)教育研究集会
10月19日、兵高教第30次教育研究集会。全体会2の吉田豊さん(元兵高教組合員)の湊川高校での権田君の高校生活についての報告に参加した。凪も少しの時間をもらって通学の問題や学校以外の生活の問題などにも触れた。吉田さんは、障問連石橋事務局長から楠高校問題で要請を受け、楠高校定員内不合格の問題に関わったことに短く触れ、湊川高校に学習支援員として、権田君との関わりを中心に語った。彼の周りには、看護師や支援員など大人達が多く、クラスメイトとの距離間を問題にした。権田君の県立高校の入学の道筋に兵高教の支援の取り組みを評価をしながら、今後は、支援員でなく、教員の加配が必要ではないか、兵高教関係の教師に呼びかけて湊川高校の赴任も選択肢ぜひ入れてほしいと語った。また、全体会1での大阪の「みんなの学校」の木村泰子さんの実践に重ねながら湊川高校のある教師が、今の定時制高校で一人一人の生徒を大切にし定時制ならではの味を残している話、吉田さん自身も、長年の教員生活の中で、勤め先の高校以外のところで色んな新しい経験ができ意義深いという言葉が印象に残った。

◆「医療的ケアが必要な中学生の高校進学を更に進めるために!」集会(IN大阪)
 11月4日、障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議(障大連)主催、バクバクの会共催の「医療的ケアが必要な中学生の高校進学を更に進めるために!」という教育集会。当日は北摂地域でも同様の集会があったが、医療的ケアが必要で高校を送ってきた当事者が多く参加していた。
 まず、障大連の片岡さんと西尾さんから制度状況について高校入試(受験上の配慮など)と入学後(看護師配置など)について、文科省や大阪を中心とした各地の状況についての説明があった。都道府県別受験の配慮と定員内合否の状況調査、府立高校の学習指導と評価についての通知、就学相談と支援ハンドブック、高校の特別支援教育支援員が全国的に大阪府が圧倒的に多いこと(介助員の費用は国から出ている)、エキスパート支援員、学校生活支援員(学習支援員、介助員)、看護師配置の予算、高校生活や通学(ガイドヘルプや看護師等同乗送迎タクシーなど府下の市で数例)での課題が資料をもとに説明があった。
その後、各地の報告。石川や沖縄の修学旅行での自己負担の問題。石川の場合は人工呼吸器の女性が高校2年の修学旅行でツーリストから旅行費用が10倍の金額(台湾旅行で約300万円)で自己負担を強いられ、最終的に100万位になったが断念せざるを得なかったこと、兵庫は凪から発言(県立と市立での定員内合否の違いや、入学後の支援員等配置、通学の課題)を報告した。熊本からは、2年連続不合格になり、3年目は定員内かどうかに関係なく、本人が本当に行きたい学校をチャレンジしてみること、愛知からは、中学2年の段階で内申書や受験配慮など中学校と協力しながら挑戦していきたいと報告があった。続いて、大阪を中心とした医療的ケアが必要な先輩当事者や親から、それぞれの経験を踏まえ、後に続く人たちへの激励があり、盛り上がりながら集会が締めくくられた。

◆部落解放研究第40回兵庫県集会
11月16日、部落解放研究第40回兵庫県集会が開催された。午前はオープニングイベントの後、記念講演で講師はサヘル・ローズさん(タレント・女優)。イラン生まれで孤児院で幼少期を過ごし、正確な生年月日もわからず、8歳で養母と来日。彼女自身が望んだ養母は教養が高く、宗教や制度、倫理観などからかなり悩んだ末に、自ら子どもの産まれない身体にし養母になったそう。来日後は、養父の酷い仕打ちに養母とともに家を出、公園での野宿生活、母は慣れない日本語で仕事で酷使され、お金はイランへ仕送り、帰りを寒い夜空で一人母を待つ娘。公園近くの総菜屋の試食コーナーで飢えをしのぎ、ある日総菜屋の女性店員が作った弁当をもらい、以来ずっとその女性とつきあいがある話、イランと日本の言葉やジェスチャーなど文化の違いで誤解もされ、偏見ももたれた話なども。そして日本人との宗教の違いを乗り越え、彼女自身、中東紛争の現地に出向き対立するはずだった宗派の人たちといっしょに活動するなど、つきあいを広げ、深めていっている話をされた。
午後は分科会で、「学ぶ権利を守る」分科会に参加、凪は権田君の楠高校の定員内不合格の問題の経緯の中での問題点と県立高校に入学してからの権田君の学校での状況や学校外の通学の課題等、約1時間発言した。
淡路からずっと権田君を応援している先生や組合の人など凪が懐かしい人たちもいた。会場からは、教育委員会を糾弾するためにも他の差別解消や他課の窓口の働きかけがもっと必要ではなかったのか、神戸市教委の態度に改めて憤りを感じたこと、権田君の周りに看護師や支援員など大人たちが大勢いて、反対にクラスメイトが近づきにくい雰囲気は、凪から昔聞いたこと(通常学級で私の横に障害児学級担任がいること)と重なってくるじゃないかとの指摘などがあった。反対に、きめ細かく丁寧に支援が必要ではないかとの意見もあった。本当にそれが本人にとっていいことなのか疑問に思うが。
分科会の後半は、兵教組で川西の小学校の教師から、外国にルーツのある子の学力保障・進路保障について、パワーポイントを使いながら、大変わかりやすい話をされた。

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