優生思想

【報告】  兵庫優生保護法被害国会賠償請求第5回訴訟

凪裕之(障問連事務局次長)

 兵庫優生保護法被害国会賠償請求訴訟の第5回期日が11月28日、神戸地裁であった。法廷では、弁護団による準備書面の要旨説明、夫婦で聴覚障害者で原告になっている女性の意見陳述。
 準備書面の要旨説明では、被告国の手術から裁判を起こした時まで「20年の除斥期間が経過した(民法724条)ので損害賠償請求権は消滅した」という主張に対する反論だった。反論は主に次の3点。

① じん肺症の裁判判例を用い、手術から20年でなく当時は手術対象の被害者も国が違法行為をしていると認識できない状況(法改正後も同様)で、昨年の仙台地裁提訴を20年の起点にすべき。
② 平成元年の最高裁判決後の修正で、被害者の請求権行使が不可能か、著しく困難な事案において『「正義・公平の理念」または「条理」を根拠に、20年の期間が経過しても権利消滅の効果が生じない』と判決。よって、原告の権利消滅は信義則違反又は権利濫用として認められない。
③ 国が著しく人道に反する行為を行い被害は深刻、かつ国の情報が入らなかった中権利行使が困難だったとし、国が20年で時効と主張することは、著しく正義・公平に反し、信義則に反し、権利濫用で許されないとした。

 その後、原告の女性は、幼い頃から周りに結婚してもいいが子どもを産まない方がいいと言われ続けたこと、夫が結婚直前に不妊手術を受けさせられ悲しみに明け暮れ、勝手に親たちに決められたことに強い怒りを感じたこと、50年も子どものいない夫婦として誰のせいかもわからず生きてきたこと、その頃の時代背景、親戚が反対する中で裁判をしたのは同じように苦しんでいて言い出せない人がいると思ったからだと手話で語られた。しかし、国からの意見はなかった。
 裁判後の報告集会では、原告の意見陳述の感想から、弁護団長や原告、支援者などから原告の直接の陳述や傍聴に多くの障害者が駆けつけることで、裁判官や裁判所に裁判の意義を少しずつ伝わっていることやさらに広げていくことなどが話された。

次回の裁判
第6回期日裁判:2月13日(木)15:00~(傍聴抽選券受付は13:30~13:50)。
寒くなるので、集合時間はなくなり、直接傍聴抽選券受付に集まることになるそうです。ぜひ傍聴にご参加ください。

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