【優生思想】 強制不妊手術と優生思想
障問連事務局
◎7月3日(水)、全国一斉に旧優生保護法被害者に対する電話・FAXの窓口が設けられました。33都道府県で弁護士会が中心に取り組んだこの相談窓口には、夕方までに20件の相談や情報提供があったとのことです。兵庫県でもこの日に3回目となる相談会が実施されました。
◎強制不妊手術の記録が全国で次々と発見されています。山形県が新たに56人で計151人、和歌山県では少なくとも127人、山口県では新たに97人で計104人、長野県で新たに4人で計9人、新潟県で新たに10人で計11人、青森県では計148人、千葉県では計278人、愛知県では新たに12人で計13人などとなっています(7/31調べ)。
◎ただ、証拠となる資料記録が残っていなかったり、記録が残っていたとしても、証拠となり得るのかどうかの問題もあり、実際に強制不妊手術を受けた人を特定するのは、困難な作業となっているようです。
◎国会議員のワーキンググループでは、「強制」ではない、つまり同意があったとしても救済するという道を模索しているそうです。
◎当事者たちの証言も新聞で報じられています。7月12日付読売新聞では、東京都在住の81歳の聴覚障害女性が64年前に受けたという不妊手術について語っています。また、7月15日付毎日新聞では、ハンセン病患者家族の方が、ハンセン病者への不妊手術も「根は一緒」として講演されたと報じています。
◎そんな中、提訴から半年経った7月31日、国は仙台地裁に旧優生保護法の憲法適合性を示さないとする文書を提出しました。「原告側は旧法が「憲法13条で保障された自己決定権を侵害していた」などとし、救済法の立法措置を怠った国と国会の不作為を追及している。/原告側弁護団によると、国側は準備書面で「被害を金銭的に回復する国家賠償法が整備されており、救済法の立法措置は必要不可欠ではなかった」としたうえで、「不作為が違法とされないことは明らかで、憲法適合性は主要な争点ではない」と主張した」とのことです(7月31日付毎日新聞)。
◎時節柄か、相模原事件と通底するとする論説も目立ちました。
◎日本維新の会から兵庫6区で比例当選、現在は自民党の杉田水脈衆議院議員が、「LGBTの人たちは子どもを作らず、生産性がないため、税金を使って支援する必要がない」という趣旨の文章を『新潮45』8月号に掲載しています。これは明らかな優生思想です。子どもの出産を「生産」と位置づけ、そのような「生産性」によって人を区別し、「生産性」のない者は支援しなくてもよいとする考えは、優生思想そのものです。性的マイノリティだけではく、子どもが欲しくても産めないカップル、そして障害者等「生産性がない」と言われる人たちに対する差別的発言です。この杉田発言は、強制不妊手術を受けさせられた人たちにとっては二重、三重もの苦しみを加えるものではないかと思います。
8月 3, 2018