介護保障 市・町の制度

【報告】 神戸市の移動支援に関する課題~神戸市と協議、障害者支援課と合意事項を確認

田中義一(神戸市交渉窓口担当)

 

前号でお伝えした神戸市移動支援の課題について、2月22日に神戸市と障問連により協議が行われ、その後数度のやり取りを経て、以下の合意内容が確認されましたので、報告します。

〈移動支援制度運用についての協議内容メモ〉

■出席者

神戸市障害者支援課:山本課長・奥係長・計係長

障問連:石橋事務局長・野橋事務局次長・事務局田中

 

○電動車いす利用者を「自走可能なもの」と解釈し制度対象者からはずしたこと

~主なやりとり~

神戸市:電動車いす利用者を自走可能と解釈することについては、仮に自走できていたとしても、長時間の姿勢の保持、段差における安全の確保、トイレ対応等、個々の状況により差がある。要領の文言及び、個々の状況をふまえて判断するよう各区に伝えたい。要綱改定時の係長にも確認したところ、自走可能なものという文言をいれた時に、電動車いす利用者を排除する意図はなく、個々の状況をふまえる運用はかわらないという判断だったと確認した。

 

障問連:移動中に支援が必要なことはたくさんある。タイミングを予定できない支援も多く、総合的に支援されなければ、外出できない。この瞬間は支援がなかった等、ピンポイントでみられる発想に危機感を感じる。もともと支援時間のみをピックアップするはしご段の制度設計ではなかったはずで、そのように運用されてきたと認識している。

障問連:西区の事例は由々しき事態。係長に対して制度解釈の助言・指導だけでなく、今回却下された2名について、きちんと救済するべきではないか。

神戸市:西区には、個々の事例をふまえて判断するよう伝えているが、個々の事例についてどう対応したのかきちんと確認をいれたい。

 

~合意内容~

・      電動車いす利用者の移動支援について、一律に自走可能であると解釈するのではなく、移動中の支援の必要性等、個々の状況をふまえて判断する。

・      西区で却下された事例について、その後の対応を障害者支援課として適切な対応がなされているか確認を行う。

 

○   カラオケや映画鑑賞等の中抜きについて

~主なやりとり~

神戸市:カラオケや映画鑑賞中に必要な支援は何かが問題。支援が必要なのであれば、制度の対象となり報酬請求してもらってかまわない。機器の操作や、よだれをふく、まわりのお客さんとの関係支援等、支援が必要な状況は想定している。支援がなかったといわれると、制度の対象外と回答せざるを得ない。

 

障問連:支援が本当に必要ないなら、制度対象にならないことはわかる。支援の必要性を想定して、個別支援計画にどう書き込むかが問題。きちんと記入できるのであれば、制度対象。事業所の制度理解の問題もある。身体介護なしの人の映画鑑賞は制度対象ではないので自己負担等のデマが広がってしまっている。制度理解の薄い事業所が、本社のコンプライアンス担当の顔色を見て、区役所や本庁に問い合わせしている。支援がなかったが報酬請求していいか?という問い自体がおかしい。その時間帯に介助がありましたか?という回答が問題をややこしくしている。その時間帯に支援を想定して、個別支援計画に記入しているかどうかを問うべき。

障問連:中抜きしてその部分は自費で負担させるというのは、介護保険事業者がよく行う方法。背景には、高齢者の貯金を想定している。しかし障害者は就労も保障されておらず、蓄財の機会がない人が多く、社会参加を自費負担で行うという想定は、結局社会参加をあきらめることにつながってしまう。総合支援法の理念や、従来の移送支援創設の理念に反したものになる。

 

~合意内容~

・      「その時間帯に一定の介助が発生しているかどうか」ではなく、「その時間帯に必要な支援が想定されているかどうか」であり、必要な支援が個別支援計画に記入されていれば、制度対象となり、中抜きは必要ないが、そのためにもあらかじめ十分なアセスメントを実施した上で計画をたてること。

・      必要な支援とは、介助だけでなく、身の回りの世話も含めて判断する。

○水泳中の移動支援について

~主なやりとり~

神戸市:遊泳指導は業務ではないが、水中での安全確保の必要性はあると考える。遊泳の指導をうけたいのであれば、プール教室の責任とのかねあいがあるが、遊泳中のトラブルをさける場合は、対象となると考える。水中事故の可能性もあるケースなので、実施にあたっては、事業者・利用者のうちあわせは必要であると考える。また、プールサイドでの見守りをどう考えるかという課題があるが、これもプールサイドでの待機や声掛けに必要性があるかどうかで判断したい。

障問連:余暇活動としてプールの必要性は高い。事業者がしっかり支援できる制度運用をお願いしたい。支援者が水中に入らなくなり、クロールをやめて背泳ぎばかりしているという事例がすでにおこっている。しっかり解釈を表明してほしい。

 

~合意内容~

・      水中での安全確保・トラブル回避は制度対象である。プールサイドでの対応も個別の状況に応じて、必要性があれば、支援計画に記入し対象とする。

○移動支援中の喀痰吸引について

~主なやりとり~

神戸市:喀痰吸引については、兵庫県のホームページに登録事業所の対象事業名が居宅介護・重度訪問介護のみが例示されている。移動支援も含むかどうか、兵庫県に確認が必要。居宅介護で喀痰が必要な人が、外出時も喀痰が必要とは認識している。

障問連:ホームページには、居宅介護・重度訪問介護等になっている。単なる例示であり、移動支援での登録もあると確認している。国は県まかせ、県は移動支援については市まかせのスタンス。早く確認して、移動支援でも県への登録すれば可能と表明してほしい。

~合意内容~

・      兵庫県に確認して、移動支援が登録対象と確認できれば、喀痰吸引を移動支援制度で行いえる制度整備を早急にすすめる。

 

○制度運用の解釈変更の手続きの問題

~主なやりとり~

神戸市:推進協議会では、要綱改定の報告は行っている。事業所説明会は年1回の開催では、国の情報を伝えるだけで精一杯の状況。事業所集団指導のような場を作って事業所に制度運用や解釈を伝える方法はあるかもしれない。周知の問題では、ホームページへの掲載やFAXが有効かもしれない。

障問連:こっそり、なんとなく制度運用や解釈がかわっている不信感がある。車いすガイドを介護福祉士が行えるようになった時の改定も、なんの連絡もなかった。現場では基盤整備に関る重要な変更。もっと情報の風通しをよくしてほしい。今回の中抜き問題は、すでに誤った情報が広まっており、一刻も早い対処が必要。

 

~合意内容~

・      事業所説明会には限界があるが、ホームページ掲載などの対応を行う。

 

○一定の介助が発生しているかどうかで、制度対象行為かどうか判断することについて

~主なやりとり~

神戸市:以上の議論でほぼ内容について語られているが、介助だけでなく、個別の状況をふまえた、安全確保やトラブル回避、身の回りの世話をふくめた一定の支援が発生しているかどうかだと考える。

障問連:介助という言葉は誤解を生む。一定の支援が想定されるか、それを個別支援計画に記入していれば、対象となることを事業所に周知することが重要。そうすれば、本庁に個別の問い合わせが集まることもなくなる。事業所の制度認識の問題にはたらきかけてほしい。同行援護の長時間電車移動中のサポートも、無事移動できたから、支援がなかったわけではない。移動中の情報保障も業務であり、さまざまな情報保障・危険回避・安全確保がある。席があいているとか、まわりの乗客の状況に応じた細かい対処がある。一律に中抜き指導の対象にはならない。

 

~合意内容~

・      制度対象になるかどうかは、一定の支援が想定されているかどうか。その内容を個別支援計画に書き込まれていることで判断していく。

○   その他の協議

神戸市:制度運用適正化のきっかけとして例示したのは、平成27年3月6日主管課長会議の通院等介助の院内介助解説など。

障問連:院内介助解説については、了解。今後も国の通達等で、運用解釈に影響がでるときは丁寧にやりとりをお願いしたい。

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