書籍

【書籍紹介】 『相模原事件が私たちに問うもの』

2017年4月に刊行された雑誌『精神医療』の特集に、新たな論考が加えられ「メンタルヘルス・ライブラリー」の1巻として単行本化されました。精神科医や当事者を中心に、相模原事件の真相に迫ろうとしています。私(野崎)も執筆させていただきました。「この事件は、障害者施設という特異な空間で起こった、精神障害をもつ特異な人物が起こした事件である」とする法社会学者・河合幹雄氏の議論を批判しています。松永真純さんの「接点はどこにあるのか」では、相模原事件を、兵庫県「不幸な子どもの生まれない運動」を引き合いに出されて分析されています。保安処分と措置入院について、また精神医学は差別を助長するのか、それとも差別に抵抗できるのか、といった視点での論考もあります。帯文より「いまだに事件の全貌が判然としないが、「生きるに値しない生命の抹殺」という事件の特異な性格は、さまざまな領域に大きな影響を及ぼしている」。(太田順一郎・中島直編、批評社、2018年2月、1800円+税)

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