国/県の制度

【報告】 兵庫県障害者委員会報告

藤原久美子(自立生活センター神戸Beすけっと)

第2回兵庫県障害者委員会が、2018年1月31日に県民会館で開催されました。第1回目が開催されたのは2016年8月31日ですから、1年半を経ての開催です。県が差別解消法推進のために平成28年に制定した兵庫県障害者差別解消推進要綱には、(兵庫県障害者委員会の運営)「第7 県は、障害を理由とする差別の事例を収集し、障害者施策の検討に活用するとともに、収集した事例の分析等を行うため、障害者その他関係者から構成する兵庫県障害者委員会を設置する。」と位置付けられています。

また兵庫県議会2017年2月第335回定例会( 2月24日)」において、越田浩矢氏(公明党)が、障害者差別解消法の施行後の取組成果と課題について質問したところ、井戸知事の答弁で、相談窓口の設置や相談件数、合理的配慮アドバイザーの派遣、各種セミナーの開催などの取り組みを行ってきたという中で、「当事者視点で事例分析を行う障害者の代表で構成する障害者委員会の運営にも取り組んでおります。」となっています。

この委員会の構成は確かに9つの当事者団体で成り立ち、その障害種別は肢体、聴覚、視覚、知的、発達障害と、重心障害児の親の会、LDや軽度知的障害児の親の会となっています。発達障害が精神障害に含まれるという解釈かもしれませんが、偏っているように感じます。また、当事者委員といってもこういう会議に団体代表としてでてくるのは親や健常者であって、あまり当事者感はないように思います。そして当然のように障害女性は私一人です。このことは何もこの委員会に限ったことではなく、おそらくどこの自治体の審議会等であっても、障害者委員の中に女性委員は皆無か、いても1人ということがほとんどです。内閣府政策委員会においては、委員全体の当事者比率や男女比は意識されても、当事者委員においては男女比が認識されていないことは問題だと指摘されています。

さて、障害者委員会では実際に寄せられた相談案件から、県がピックアップして少し加工した事例を示し、それについて委員が意見を述べるという形です。第1回目の時は、委員が積極的に発言することがなく、進行役である県障害福祉課長が順番にマイクを回すという形でした。今回もどうなるかと様子を見ていましたが、やはり前回と同じような感じだったので、「自分が話すしかない」と思い、ほとんど私が発言する感じで進行しました。

事例については守秘義務があるのでここでは詳しく書きませんが、例えば車いすユーザーと大衆浴場側との交渉において、私からは「衛生上の理由と言われるが、車いすで入ることが衛生上どういけないのか?合理的に示すべき。ただ衛生上とか安全上といった漠然とした理由で断るべきでない。」「車いすはそれぞれの障害の状況により作られており、容易にシャワーチェアに移ればいい、ということではない。」「介助者をつけることを強要されるのも問題。介助者はいつでもすぐ見つかるわけではなく、自分が行きたい時にいけなくなり、どうしても行動が制限されてしまう。」という発言をしましたが、他の委員からは「衛生上よくない」「一人では危ないので、介助者はつけるべき」更には「厚生労働省の対応指針によると、不当な差別的取扱いと考えられる例として、「介助者の同伴をサービスの利用条件とすること」が挙げられているが、厚労省がうかつにこんなことを書いてはいけない。何を考えているのか?」という批判まで出てきていました。この部分は障害者団体が運動してきたことの成果であるのに・・・。前回もそうでしたが四面楚歌の状況です。

「障害者は『安全のため』と、常に行動を制限される。誰だってケガはしたくはないから、本人が『大丈夫』と言っていることに対して信用してほしい。本人の障害のことは自分自身が一番よく知っていて、みんないろんな工夫をして生活している。」と発言しました。最後に「私はこの場に当事者委員として出席しているので、常に障害者の立場にたっての発言をしていきたいと思っている。それなのに、みなさんといつも反対の意見になってしまうのが、とても悲しい」と伝えたところ、他の委員は何も言われませんでした。

事例は3件ほど出て来るのですが、確かに一見すると「障害者側がわがまま」と取られかねない表現や状況説明があります。しかしこの中に書かれていない様々な状況・背景があると考えると、本当の意味でこの事例の当事者ではないわけで、言わば『当事者不在』で行われることに疑問を感じています。しかもほとんどの団体が、限定した障害種別であり、視覚障害者団体や聴覚障害者団体が車いすユーザーの事例を検討することにも無理があります。知事答弁にあったように、これを「当事者視点」とされることに、何ともいえない憤りを感じるとともに、変革していかないといけないと感じています。

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