教育 お知らせ

【教育】 権田君の高校入学を応援し、実現しよう!! / 教育セミナーお知らせ

栗山和久(障問連事務局)

 

■西宮で、医療的ケア児童の小学校入学が一歩前進

西宮ではインクルネットが人工呼吸器を利用する児童の小学校への入学を支援しています。看護師配置が大きな課題になっていますが、1月25日付『西宮市市政ニュース』で臨時職員募集として、「市立学校での看護業務(児童生徒への医療的ケアおよび生活介助など)」が掲載されました。明言を避けていた市教委でしたが、ようやく一歩前進しました。しかし保護者は体調の許す限り通常学級で過ごさせたいと強く希望されていますが、特別支援学級の状況や学校の対応や姿勢により不明です。

また一方で西宮市教委として、看護師配置にあたり訪問看護ステーションとの委託契約を検討されていますが、従来看護師が配置されていた児童に対しては、業務内容や一日の時間数が削減される可能性も出てきています。インクルネットでは、別紙のようなイベントも開催予定です。特に学校の教員の皆さん、積極的なご参加をお願いします。

 

■障害者の高校進学の課題

そして、障問連として、この1年余り淡路を訪問し地元の関係者の皆さんと相談、支援してきた権田祐也君の神戸市立楠高校への受験が近づいています。楠高校においては突然の学級減、募集定員の削減という課題もあり、多くの障害のある生徒、高齢者など様々な生徒が通うあり方が存続できるのかと言う課題もあります。そして権田君の場合には、看護師配置や様々な介護等の支援が必要です。また受験に際しての配慮も課題となり、現在も進行中です。障問連として神戸市教委に要望を継続しています。

以下、権田さんのお母さんの要望文章を紹介します。

 

■  祐也、そして家族の思い

権田祐也、権田学、権田由記子

 

 

私たちの息子、祐也は現在、淡路市立東浦中学校の3年生です。祐也は脳性麻痺のため車椅子で生活をしています。しかし保育所の年中児より小学校、中学校と地域の学校に通うことができました。祐也にとって、その経験が何よりも大きく、中学校に入ってしばらくした頃から他の子たちと同じように自分も高校へ行きたいという気持ちが芽生え、受験に向けて前向きに取り組んできました。それは本人にとって、やる気があればある程、身体は緊張の強さで自分の思い通りに動かず、とてもとても根気のいることです。中学3年生になった今では、受験に向けての周囲の緊迫感も感じ、不安や焦りを周りの同級生たち以上に感じながら毎日努力しています。それは高校生活でも同年代の子供たちと共に過ごし、何よりも貴重な今まで以上に人間性を高める大切な時間を過ごすことのできる“高校へ行きたい”というその強い気持ちからなのです。

 

祐也は546gの超極小出生体重児で産まれました。脳性麻樺のためYES・NOは伝えることができますが、しゃべることができず、歩くことや自分の意志で身体を動がすことは難しく、身体的に全面介助が必要です。

3歳の時に胃逆流症のため手術をし胃ろうをつくりました。口からもご飯を食べているのですが、一緒に空気もたくさん飲み込んでしまいます。逆流をしないようにする手術をしたため、ゲップができず、食後に胃ろうからの空気抜きと食事量が足りない時は胃ろうからの栄養剤の注入が必要です。胃ろうの操作は医療行為になるため淡路市では保育所の時より看護師さんを配置していただき、また小学校、中学校でも地域の支援学級に在籍しながら、まわりの子供たちと共に成長してきました。

その学校生活の中で、まわりの子供たちは当たり前のようにクラスの一員として「お互い苦手な所は助けながらやったらいいやん」と嫌な顔ひとつせず、祐也のよだれを拭き、普通に接してくれました。マラソンの練習では、誰かが祐也の歩行器を押し、誰も何も言わないのに気がつけばまた違う子が歩行器を押してくれていました。祐也の近くにはいつも誰かがいてくれました。長なわとびでもドッチボールでも子供たちの方から「祐也は顔面OKな」と祐也ルールができていました。

 

学校の宿題も訓練(リハビリ)で遅くなる日以外は、みんなと同じ宿題を選択肢を選ぶ形でやってきました。時間はみんなの2倍も3倍もかかりますが、3桁×3桁の筆算も「ここにはどの数字が入る?」「くり上がりはある?ない?」と聞きながら、1問1問を解き、他の子と同じ量の宿題をしてきました。

「それはお母ちゃんの誘導や」「この子1~10の数字もわかってないし、ひらがなもわかってない、目も見えてないし耳も聞こえてない」「こんな子宿題なんてしなくていいのよ、一日中歩く練習したらいいのよ」「気に人らんかったら支援学校に行ったらもっと手厚くしてもらえる」などと言われ、つらい思いをしたこともありました。祐也も人の言っていることは全部わかっています。学校から帰ってきて、悔しくて精神的に追い詰められ、ワーンと大泣きしたこともありました.

今までやってきたことを全否定され、祐也にとって本当にこれでいいのか?とすごく悩みました。でも祐也はわかっています。学校の先生の方から「祐也君、この問題ちゃんとわかってる」「かけ算もわかってる」と言われたこともありました。祐也もわかろうとしてくれる相手には、もつと自分から伝えようと声や目線でどんどん伝えようとします。関係ができてくると「何でやねん」とつっこんでほしいがためにわざと全く違う返事をし、二ヤッと笑ったり、聞き出すと自分の夢を伝えたりもします。他の子と同じように好きな女の子もでき、“親には言うな”とアピールもします。祐也はしゃべれないけど全部わかっていると思います。苦手なところ(表現方法など)を工夫すれば伝えることはできると思います。

 

子供たちと学校生活を送る中で、小学校入学時はミキサー食しか食べれなかった祐也が6年生には皆と同じ給食が食べれるようになりました。毎日仲間と生活する中で、“自分もみんなと同じ給食が食べたい”という思いが芽生え、この刺激が大きかったからだと思います。

5年生では4泊5日の自然学校も参加し、6年生と中学3年生の修学旅行では親の付き添い無しで参加しました。クタクタに疲れていたけど、満面の笑みで帰ってきた顔を見た時には、息子の成長を感じると共に、たくさんの方々にお力をいただき、たくさんの配慮をいただき、親無しで行かせていただいて本当によかったと感謝の気持ちでいっぱいでした。

中学校では野球部に所属し、頭も丸刈りにし、「お前も野球部やねんからこのボール持ってしっかり見とけよ」とボールを握らせてくれ、背番号ももらい、試合ではベンチにも入り、部員との絆も深めました。最後の試合では円陣の中心に入れてもらい、部員と共に大きなかけ声を出しながら一緒に戦っていました。日々、学校生活の中でかけがえのない経験をさせてもらっています。学校生活を送る中で、祐也は“学校に行きたい”という気持ちが強く、熱を出したり体調を崩すことも年々少なくなってきています。

学校での話をする時の祐也の何よりも生き生きした顔を見ていると、地域の学校に行き、仲間や先生方とふれあい、共に生活することが祐也の“生きる力”につながっていることをつくづく感じ、淡路市の教育行政、諸先生方、福祉関係者などたくさんの方々に配慮いただき、支えていただいてることに感謝しています。

 

息子にとって、高校生活を送るということは、同年代の子たちと過ごせるとても貴重な機会であり、かけがえのない生活そのものなのです。今回いくつかの高校や支援学校を見学させていただいた中で、祐也にはどこの学校よりも“楠高校へ行きたい”と意思表示しました。私も一緒に見学に行かせていただき、生徒さんの生き生きした表情に出会い、肌で感じ、生徒さんの「楠高校に来てほんとによかった。ぜひ楠高校に来て下さい」と生の声をかけていただきました。そして、先生方の温かいアットホームな雰囲気のある校風の中で、その人らしく個性を生かし伸ばしていけるよう先生方がサポートされており、他校にはない素晴らしさをひしひしと感じました。祐也もそれを肌で感じたのだと思います。

まさにこの今にしか訪れない出会い、高校の学校生活でしかできない人としての学びや経験をぜひ楠高校でさせていただきたいと強く希望しています。

たくさんの方々の力をお借りしないといけなく、またご迷惑をおかけすることが多いと思いますが、本人家族共に楠高校進学という強い希望を叶えていただきたいと切に願っております。

 

 

 

案内 「第6回インクルーシブ教育セミナーin西宮」のお知らせ

日時 2018年2月17日(土) 13:00~16:30
会場 西宮市立こども未来センター 4F会議室
テーマ インクルーシブな社会をめざして~地域で生きる、学ぶとは?~
パネリスト
鍛治克哉さん コーディネーター 自立生活センター メインストリーム協会当事者スタッフ
平本歩さん 人工呼吸器をつけて一人暮らしをしている
井上拓路さん 宝塚市立末成小学校教諭
奥村真理子さん 通常学級に通う障害児(小1)の母
河西陽子さん 臨床心理士 支援学級に通う障害児(小2)の母

参加お申込み お問い合わせ
【E-Mail】inclunet.nishinomiya@gmail.com
【Call】090 –6980 –5426(栗山)
資料代 会員:無料  非会員:300円
主催 インクルーシブ教育をすすめるネットワークin西宮(インクルネット西宮)
後援 西宮市

〔子どもの見守り〕
別室でボランティアさんによる見守りを行います。
※先着10名のみ
申込時に、子どもの見守り希望の旨ご連絡ください。
なお、会場にお子さまと一緒にお入りいただくこともできます。

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