国/県の制度

【国の制度動向】 来年度からの報酬改定議論 ~ 第二ラウンドを迎える

障問連事務局

 

障大連の細井さんのご厚意で、送っていただいた制度動向を中心とした「情報提供」資料、加盟団体に先月からメール送信しています。ニュースでは抜粋/要約して、以下紹介します。

 

■報酬改定に向けた検討状況

6月~7月、障害関係団体・事業者等、計47団体へのヒアリングが行われ、8月に結果の取りまとめを踏まえた「主な論点」が示され、それを踏まえて9月から各サービスごとの議論が報酬改定検討チームにより行われています。

 

■財務省からの抑制??

財務省などからは、「障害福祉サービスも5%程度報酬(水準)を下げる」という案が示されているという噂があります。以前も、このような噂がありましたが、年末の政府予算案決定段階で、「政治的決着」ということで、水準そのものは0%に収まってきたことがあります。(その分、医療費や介護保険などが切り下げられてきました)さて、介護保険などの運営の厳しさ(特養3割赤字など)が言われていますので今回はどうなるのか心配です。

 

■各サービスの検討状況

○共生型サービス(新)

・今、すでに、介護保険事業者は、障害者へのサービスを提供するための仕組みを持っています。

それは、障害福祉サービスの「基準該当サービス」という仕組みです。

障害者が、介護保険事業所の通所介護に行って、お風呂にはいるなどのサービスを受けると、障害福祉の財源から、「基準該当サービス費」が支払われます。

・今回の「共生型サービス」は、障害福祉サービス事業所が、65才以上(一部40才以上)の障

害者に対して提供するサービスを、「介護保険に相当するサービス」として位置づけ、介護保険から費用を受けとるという仕組みです。

・ホームヘルプサービスについては、障害福祉サービスの「居宅介護(身体・家事)」と「重度訪

問介護」が介護保険の「訪問介護」に相当するという位置づけになります。

ここで、まず、重度訪問介護のサービスのうち、「見守りと外出」が訪問介護にはないというこ

とをふまえておくことが必要です。「ケアプラン(介護保険)」及び「サービス等利用計画(障害福祉)」を作るときに「訪問介護(相当)」と「重度訪問」に分けて組み立てることが必要になると思います。(本人にとっては不自由なことも多くあると思いますが・・・。)

・次に、注意しておかなければならないのは、資格のずれです。訪問介護には、「障害者居宅介護

従業者基礎研修課程修了者(3級研修)」と「重度訪問介護」の資格は認められていないということがあります。このずれをどうするのかは、後で出てくる、「基準該当」(及び中間単価)という低い単価になるかもしれません。(請求事務も、2つに分けなければならず、煩雑です)

(注)大阪府では、障害者向けのヘルパー資格である「居宅介護初任者研修課程」は、介護員養成研修(ホームヘルパー養成研修)の同等とみなされます。

報酬については、3段階が検討されています。

1、「指定介護保険サービス」(介護保険そのものの単価)、

2、「基準該当介護保険サービス」(低い単価設定)

そして、3、「その真ん中の単価」(障害者への配慮がされている場合)です。

・通所系サービスである障害福祉サービスの「生活介護」については、介護保険の通所介護が「相

当するサービス」に位置づけられますが「指定サービス」をうけるための条件が違います。(通所介護では、ひとりあたりの広さやリハビリの職員配置などが違います)

・訪問系サービスである「重度訪問介護」は、介護保険の「訪問介護」が相当するサービスであり、

介護保険サービスから3種類の単価が選ばれることになります。(訪問系は、指定基準をクリアすることは比較的簡単であると思われます)

・それぞれの事業所で、3種類の設定から選ぶことが必要です。障害福祉サービス事業者がこれら

のサービスを提供しない場合は、65才になった障害者は、別の介護保険事業者からサービスを受ける形になります。

 

○グループホーム

・「グループホームでの個別ヘルパー利用」は、3年間の特別措置延長になりました。(廃止にはな

りませんでしたが、恒久化にもなりませんでした)

・また、グループホームについては、重度対応型のグループホーム構想が出されてきています。職

員配置を強化すること(例~1:6→1:3)は大事ですが、「スケールメリット」という使い

古された考え方でもって、2~10人のユニット2つと短期入所1~5床必須ということで、最大ならば20人の入居者と5人のショートステイという大規模化を容認する案が出されてきています。

・この「重度対応型」グループホームについては、今後大きな問題になると思います。実際、20

人に及ぶ「グループホーム」は、小規模施設と同じではないでしょうか?

職員配置強化を踏まえつつ、大規模化に反対し、ユニットの最小化を求めていくことが必要になります。また、そのための「経営のモデル」(実際にどのように運営していくのか)を考えていかなければなりません。(グループホームでの個別ヘルパー利用も3年間延長ですので、その選択肢も残っています。)

グループホームについては、消防法に関するスプリンクラー問題なども今年度内に解決する必要があります。

 

○入院中の病院等における重度訪問介護の利用(新)

1-1 対象者は、区分6限定

1-2 サービスの内容

ヘルパーは看護は行わず、コミュニケーション支援(適切な体位交換の方法を看護スタッフに

伝えるため、ヘルパーが看護スタッフと一緒に体位交換の方法を示すといったことを含む)を提供することとしてはどうか。また、これに付随して、看護に該当しない行為(テレビの位置調整等)についても可能としてはどうか

1-3 入院中の支援の期間や、その延長について

1回の入院につき、少なくとも90日以内に、市町村が必要性を確認し、支援の継続が 必要な

場合に限り、延長するような仕組みとしてはどうか

1-4 入院先の病院等との連携

病院等との連携を要件としてはどうか。具体的には、例えば、利用者の症状等の共有や、支援

内容の再確認等のため、適宜のタイミングで打ち合わせを行うなど

1-5 報酬の単価

報酬単価は在宅時のサービスを基本としてはどうか

 

 

○同行援護

1、報酬について

1-1 身体介護を「伴う場合」と「伴わない場合」の対象や支援内容を分けることなく、報酬を一本化してはどうか

1-2 盲ろう者等の情報提供が困難な者や、特に身体介護が困難な者等への支援については、加算により評価してはどうか

2、従業者要件(同行援護従業者養成研修について)

経過措置を廃止してはどうか

【参照】同行援護は、20183月で経過措置が終了する事になります。

・同行援護サービスに従事するヘルパーさんは、今は、2級ヘルパーなどを持っていれば誰でも入る事ができますが、来年度からは、

1、同行援護研修「一般コース」をもっている

2、もしくは、1年180日以上、視覚障害者への直接処遇に関わっている人

しか介助に入れません。

今、同行援護に入っているヘルパーさんの資格や実務経験を点検し、受講が必要な人は、来年3月31日までに研修を受けておきましょう。またヘルパーさんの都合で交代することも想定して、例えば常勤のヘルパーさんなどもこの資格を取っておいた方がいいと思います。

・また、同行援護サービスのサービス提供責任者は、

1、同行援護研修の「一般」と「応用」の両方を持っていること

2、もしくは、3年間540日以上の視覚障害者への直接処遇に関わっていることが必要

 

○通勤・通学の支援を重度訪問介護等の対象とすることについて、どう考えるか。

現状の取組を進めていく上で、通勤・通学の支援を重度訪問介護等の対象とすることは、事業主や学校による支援が後退することが懸念されることや、通勤については個人の経済活動に対する公費負担について課題があるため、適当ではないのではないか。

(注)2年前の「総合支援法3年後見直し」でもこのような議論が出されていましたが、ではいったい、事業主や学校での通勤・通学の保障はどこまで進んだのでしょうか?責任をたらい回しにしているだけではないでしょうか?今、社会保障全体の「1億総活躍」というスローガンは、重度の障害者には適応されないと言うことなのでしょうか?

« »