教育

【報告/教育】 西宮市/障害児童の公立幼稚園の就園問題

栗山和久

 

■西宮市で「特別支援教育審議会」が設立され審議が始まる

西宮市では「特別支援教育が始まって10年、障害者差別解消法の施行などを踏まえ、西宮市の今後の特別支援教育の在り方を見直し、新たな方向性を示す」との目的で「西宮市特別支援教育審議会」が7月に第一回の会合が開かれました。課題として「基礎的環境整備」の在り方、西宮市立養護学校での医療的ケアを必要とする児童の増加(小学部~高等部 在籍生徒77人中、半数以上)などを中心課題として議論が始まります。その中で市教委から以下のような提案がされました。

・これまで公立幼稚園の就園の仕組みとして、3つの方向がある。①「通常の就園」②「保育補助員の支援を付けた就園」③「専門機関相当」。

・③に該当する場合には公立幼稚園での受け入れは行わない・

・しかし、今後は障害者権利条約の批准、インクルーシブ教育システム構築の観点から見直す。

・③「専門機関相当」と判定された場合でも、保護者との合意形成により公立幼稚園の就園も可能となるよう、今後改める。

以上が提案されました。これまでの公立幼稚園の在り方に多くの保護者が疑問に感じてきました。それがやっと改善されることになったのです。しかし・・・・

 

■「インクルネット西宮」の活動 ~ 公立幼稚園/入園問題

「インクルーシブ教育をすすめるネットワークin西宮」が活動を始めて1年半、今年5月には1周年記念として「バクバクの会」DVD上映会を開催しました。改めて組織を確立するため、学校の先生や相談支援専門員の方にも役員に入っていただき充実した体制になりました。9月2日には「学校協力員交流会」、9月24日には「就学相談会」を開催しました。

「就学相談会」は午前/午後の2回に分けて開催、計14人の保護者が参加されました。最初に就学の仕組みや課題・インクルネットが大事に考えていること等を説明し、それから1人1人の保護者の気持ちや子どもさんの状況などをお聞きし相談しました。

その中で出てきたのが、上記の公立幼稚園の就園問題です。西宮市の状況として上記の審議会のことも説明すると、ある保護者が泣きながら「私の子どもは専門機関相当と判定され、公立幼稚園には就園できませんと、既に言われました・・・」と訴えられました。今後の小学校を考えると、できるだけみんなの中で育ててやりたい、そのためにも幼稚園の間も障害のない子どもたちと一緒に学ばせたい・・・なのに・・・と切実な訴えでした。また他にも「私の子どもはまだ判定が出ていないが、多分専門機関相当と判定される、どうしたらよいんでしょうか??」との質問も上がりました。

このような保護者の要望があり、現在も市教委と交渉中です。市教委は「来年度からは改めるが今年度は・・・」と平行線。しかし、そもそもこれまでの仕組み自体が明らかな差別です。2005年には徳島県で同じように、財政的に介助員が付けられないことを理由に公立幼稚園の入園が拒否され、裁判になり、原告勝訴の判決が出ています。権利条約に批准し差別解消法も始まっている、現在では更に許されない事態です。引き続き取り組んでいきます。

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