国/県の制度 オールラウンド交渉

2017年度  障害者問題に関する要望書(兵庫県)

兵庫県知事

井戸 敏三様

 

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

2017年 7月28日

 

2017年度  障害者問題に関する要望書

2016年7月26日に神奈川県相模原市で発生した津久井やまゆり園での障害者殺傷事件(以下略 相模原事件)は世間を震撼させました。障害の重い者は生きている意味がないとの優生思想、入所施設の在り方については、事件から1年を経ても、なお大きな議論が継続しています。亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、問われた課題に私達障害者団体、福祉関係者、そして障害福祉行政に関わる方々も真摯に向き合うことが求められるのではないでしょうか。

また同事件だけでなく、障害のある人への様々な虐待、あきらめや我慢を強いられ続け、それが当たり前であるかのように周囲が放置し、障害のある人の思いや願いが日々踏みにじられている現状があります。障害者基本法が示す基本理念からは程遠い現状もあります。兵庫県の障害福祉施策に関わる行政の担当者の皆さんは法律制度に則り日々ご尽力されていると思いますが、その根本には、この基本法の理念や「障害のある者とない者との平等」という視点を改めて確認していただき、その一点に向かって短期的な課題、中長期の課題のメリハリもつけながら、かつ障害当事者が施策検討にしっかり参画しながら、施策を推進していただくことを改めて要望いたします。

2017年度は第5期障害福祉計画の策定に向けた検討が行われます。「ひょうご障害福祉計画」では「障害が一つの個性として浸透し、街中などを行き交う中で、人々がごく自然に接し合う風景」との「未来予想図」が2040年の目標とされ、そして「自己決定と共生」の理念の下、「障害のある人もない人も,みなが支え合い、住みたい地域・場所で、共に暮らしていける」との中期目標は2020年度までに達成するとされています。2020年まであと3年を切っています。しかし、入所施設で長期に入所している障害者、社会的入院を余儀なくされる精神障害者の方々が、住みたい場所で共に暮らしていると言えるのでしょうか。また、「可能な限り障害のある児童と障害のない児童が共に学ぶ教育」は実現されているのでしょうか。具体的に見れば、まだまた多くが実現されていない現状があります。時に誤った施策運用を行っている市町も見受けられます。同計画の実現に向け、各市町を指導する県の役割を十分に発揮していただくとともに、財政的な格差もある各市町に委ねるのでなく、必要ならば県としての補助支援策を積極的に検討して下さい。また第5期計画においては「障害児福祉計画」も併せて検討される予定ですが、幼少期のころから障害のある児童とない児童が共に生きることを基本理念におき、また医療的ケア児童への支援の拡充も併せ、実効性ある計画を強く要望します。

2017年度は、障害者差別解消法施行2年目を迎え、初年度の取り組みの総括を踏まえ、同法の周知等、より積極的な施策が求められますが、障害者差別解消相談センター等での相談件数や相談内容の評価分析だけでなく各市町との共同した取り組みが必要ではないでしょうか。また、相談することもできない、あきらめざるをえない障害のある方、家族らが多くいること、むしろそのような人たちの声をどのように汲み取っていくのか、そのような視点に立った障害者差別解消施策の総括的な検討が必要ではないでしょうか。

また2017年度は、2018年度から「入院時の重度訪問介護の適用、高齢障害者の介護保険適用に関する施策、自立生活援助、就労定着支援」等、新たな施策が始まります。さらに政府による社会保障全般の抑制方針の下、具体的には2018年度報酬改定に向けた議論が現在進められ、また第193回通常国会で承認された介護保険法等関連法の改正による「共生型サービス」の導入や、厚生労働省が今後の社会福祉施策の基本と構想する「地域共生社会」が、一体どのようなものであり、障害者施策にどのような影響を及ぼすのか、私たちは強い危機感を覚えます。

このように厳しい環境を踏まえながらも、兵庫県において地域共生社会に向けた支援を質・量ともに拡充することを通じて、どんなに障害が重くても人として当たり前に尊重され、人権が擁護され、その人が望む暮らしや生き方を実現できる社会の構築がますます求められます。

以上を踏まえ、下記の要望について意見交換の場を持って、ご回答していただくよう要望いたします。

 

第一回意見交換会の要望項目

【第5次障害福祉計画策定に関わる課題】

兵庫県障害福祉審議会内に重点課題として、地域移行・障害児支援・就労移行については重点課題として、別途研究会を設けられています。第5次兵庫県障害者福祉計画は「ひょうご障害福祉計画」の中間目標(2020年)も含まれ、新たな障害児福祉計画の作成など、重要な意義があります。以下の要望にご回答下さい。

①  厚生労働省は障害、高齢、児童など横断的な支援のあり方、相談体制を構築すると、今後の福祉施策の根幹に据えると「地域共生社会」の構想を打ち出しています。具体的には2018年度から「共生型サービス」が導入されます。これらについて兵庫県の考え方、ならびに第5次障害福祉計画にどのように反映されるのか、事務局の方針を回答ください。(事前の文書回答)

②  保育所や幼稚園等について、障害の有無にかかわらず「子ども」としての支援が、まず基盤として重要だと考えますが、自治体によれば幼稚園の入園申し込みに対して「専門機関相当」と判定されると、公立幼稚園の入園を制限されたり、また医療的ケア児童に対して看護士の配置が無い事を理由に入所入園できない、保護者の付き添いが求められる事例があります。また、学校教育においても、医療的ケア児童に対しての看護師配置等の施策が不十分な現状があり、また就学指導においても地域の小中学校への入学が困難な例があります。これらの現状は、私たちが把握しているだけでも県内の複数の市町に存在します。障害者差別解消法に基づき公的機関である公立学校や幼稚園、保育所には合理的配慮の提供は義務とされています。このような実態を踏まえた上で、解決すべき方向性を審議会でしっかり議論していただくことを要望するとともに、同審議会事務局としての障害児童への支援のあり方、障害児福祉計画に係る課題整理や議論の方向性について説明して下さい。

【人権の視点から見た兵庫県の障害者施策について】

私たちは長年の兵庫県との話し合いの中で、個別課題において担当部局として努力されていることは承知しています。しかし今回、以下に要望する事項だけでなく、入所施設、精神科病院からの地域移行の課題、それにも関連し兵庫県のグループホーム施策が全国比でも立ち遅れている課題、また障害のある児童も障害のない児童も共に学ぶ教育の課題、そして2015年度には兵庫県として差別解消条例の制定に向け担当部局も努力し実現まであと一歩のところで、条例提案は知事の専権事項であることをもって実現されなかったこと等、担当部局でなく兵庫県知事に対して、改めて人権の観点から見た障害者施策の理念について、改めて認識をお伺いしたいところです。以下の要望について、前向きな回答をお願いいたします。

(1)【井戸知事の発言について】

2016年8月1日定例記者会見での井戸知事から「退院、退所といった時には、客観的な第三者機関などできちんと判定がなされた上でなければ社会にカムバックさせないというような安全装置をきちんと作る必要があるのではないかと感じました」との発言がありました。2016年11月2日付要望書で詳しく述べていますが、2016年11月2日の私たちと兵庫県関係部局との意見交換会において、「2016年8月1日の定例記者会見における井戸知事の発言は、障害福祉部局としてのものではなく、誤解を招く発言である」との障害福祉課として回答がありました。しかし兵庫県知事からは発言の撤回や修正、また私たちの要望に対する説明は何らありません。私たちは、同知事発言は精神障害者への差別偏見を助長するものであると認識しています。同発言の撤回並びに何らかの釈明を求めます。私たちの要望を知事に伝えていただき、私たちと知事との面会、あるいは文書などにより、後日、何らか回答していただくことを要望します。

 

(2)【優生思想と兵庫県の過去の施策について】

兵庫県においては、1966年から知事が主導し全国に先駆けて「不幸な子どもの生まれない県民運動」を推進してきた歴史があります。障害児を「不幸な子ども」と見なし、1970年には対策室まで設け、県行政自らが障害のある子どもの出生を予防する施策を主導し、兵庫青い芝の会などの障害者団体から抗議を受けて廃止される1974年まで継続されました。2016年9月6日神戸新聞には「不幸な子供の生まれない運動」について、兵庫県健康増進課の「当時の国の母子保健施策に沿った運動。障害者に不幸な存在とレッテルを貼るのは今なら許されない」とのコメントが紹介されています。時代背景が現在とは異なるとは言え、相模原事件で容疑者が主張する「障害者は不幸しか生み出さない」と同質の優生思想に基づく施策だったのではないでしょうか。当時、「不幸な子ども」とされた障害当事者にとっては、兵庫県から何ら反省や謝罪の言葉は聞いていません。人権施策の重要性を認識されているのであれば、まず自らの過去の過ちへの反省から始めるべきではないでしょうか。昨年11月2日提出の要望書でも述べましたが、相模原事件に関して兵庫県として意見を表明するのであれば、まず「不幸な子供の生まれない県民運動」への総括的な反省ではないでしょうか。

・改めて、(1)と同様、私たちの要望を知事に伝えていただき、私たちと知事との面会、あるいは文書などにより、

後日、何らか回答していただくことを要望します。

・過去、優生保護法の下で行われた兵庫県での強制的な不妊手術の情報を開示していただき、上記と同様に、兵

庫県としての反省、謝罪の意を何らかの形で表明してください。

 

【精神障害者問題に関する要望】

【継続支援/措置入院者支援委員会】

①  兵庫県が実施する措置入院した精神障害者への「継続支援」ならびに退院に際しての新たに設けられた第三者機関とされる「措置入院者支援委員会」の、話し合い時点までの実施状況を報告してください。(事前の資料回答)

②  第193回通常国会で、精神保健福祉法の改正案は継続審議になりました。国会審議でも審議途上で厚生労働省は相模原事件の再発防止という立法趣旨を削除しました。兵庫県が2017年1月から開始する「措置入院者支援委員会」は相模原事件を機に知事の指示に基づき設置された経過があります。国会での議論経過を踏まえるなら、兵庫県でも同委員会の設置根拠が無くなったと考えられます。私たちは、継続支援並びに措置入院者支援委員会は精神障害者の人権を侵害しかねず、私たちは強く懸念しています。以下の点について要望します。

・措置入院した精神障害者への「継続支援」ならびに「措置入院者支援委員会」を速やかに廃止も含めた見直しを求めます。

・措置入院した精神障害者への「継続支援」ならびに「措置入院者支援委員会」は精神障害当事者の人権を擁護する支援の一環だとして継続されるなら、警察の関与はあってはならず個人情報を厳格に守るような運用を行ってください。

・措置入院した精神障害者への「継続支援」ならびに「措置入院者支援委員会」での個別の支援会議には、必ず本人が参画し、本人中心の支援会議として運用してください。

【地域移行~退院促進】

長期在院者の減少率は全国平均16,6%に対し兵庫県は9,7%(2017年度目標値)とかなり低位にある課題については昨年度も指摘しましたが、以下の点について回答ください。

①    何十年にも及ぶ社会的入院の結果、病院内で一生を終えていかれる方の人生を想像するなら、より一層の取り組みが求められます。何より地域で生活できる基盤が質量ともに飛躍的に拡充しなければなりません。地域移行支援の実利用者数では豊岡市や淡路圏域での数値が高い一方、ゼロの市町が21にも及び各市町の格差は大きくあります。都市部だから進んでいるわけでもありません。兵庫県の精神科病院入院者の地域移行、特に長期入院者の地域移行について、兵庫県として県全体、県内各圏域、また各病院ごとに、どのように分析、評価されているのでしょうか。2017年度からの新たな施策、ならびに担当部局の意気込みと第5次障害福祉計画での数値目標に関する事務局としての方針を説明してください。

②    2017年2月8日「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書では、1年以上の長期入院者の地域移行において、「重度かつ慢性」の人たちは地域移行支援と社会基盤整備の数値目標の算出から除外すると聞きます。「重度かつ慢性」とはどのような基準であるのかを説明してください。私たちは「重度かつ慢性」とされる人たちも地域生活を送ることは権利だと考えますが、兵庫県の考え方と第5期障害福祉計画での検討の方向性について説明してください。

③    2017年6月1日毎日新聞で、必要な委員の出席者数の要件を満たさず精神医療審査会を開催している自治体が政令市と都道府県の中で約4分の1ある等の厚生労働省の調査結果が報道されていましたが、兵庫県の精神医療審査会の以下の内容について回答してください。

・兵庫県の精神医療審査会の2016年度の開催回数と審査件数について回答ください。(事前の資料回答)

・精神医療審査会はほとんどが書類審査だと聞きます。閉鎖病棟や様々な自由が制限されかねない精

神科病棟の中に権利擁護の仕組みが求められます。厚生労働省も「医療保護入院制度等の特性を踏まえ、医療機関以外の第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを、地域生活支援事業に位置付けることが適当」とされています。兵庫県としての今後の改善に向けた取り組みについて回答ください。

・精神科病院で行われている「身体拘束」について、実施した精神科病院数と身体拘束の件数および

身体拘束の理由について、平成28年度の状況について報告してください。(事前の資料回答)

④    地域移行のためにも公営住宅は重要です。しかし公営住宅に入居した精神障害者が自治会の役員や掃除を担う事は困難で、近隣住民との関係が悪化し症状が悪化し住み続けられなくなる場合もあります。さらに公営住宅の管理は民間事業者に丸投げされています。兵庫県として、管理を委託する民間事業者に精神障害者の入居者への配慮、サポートについて、精神障害への理解、人権啓発等の研修を積極的に行ってください。

 

【就労・障害年金】

精神障害者に係る障害年金は、疾病名や就労しているだけで不支給となるケースが多くあります。また一旦就労できても離職したり、就労したいが就労すれば年金が無くなるのではないか、そんな不安が症状を悪化させたりします。そのためにも安心して生活できるためにも障害年金は重要です。しかし、年金や精神保健福祉手帳の等級判定に際して、診断書を書く担当医師によれば精神障害当事者の実情、特に「生活障害」について十分理解されていません。昨年度回答では、「厚労省により精神障害に係る等級判定ガイドラインが示され、医師が診断書を記載する際のポイントを示す障害認定の診断書(精神障害用記載要領)が作成されており専門的な知見に基づいて診断を行っていただいているもの)との回答がありました。しかし無理解な医師、特に生活障害についての理解がまだまだ不十分です。精神障害当事者や家族の意見要望を聞いていただき、引き続き改善に努めてください。

 

【保健・医療・衛生について】

①    重度障害者医療費助成の精神障害2級拡大については、「今後とも持続安定的な制度維持に主眼を置き当面は現在の枠組みを維持する」と前年度に回答がありましたが、私たちの要望と県の回答はずっと平行線です。

以下について質問、要望しますので回答ください。

・「同制度は重度者を対象としているので精神障害2級は対象とできない」と県は回答していますが、

精神障害保健福祉手帳障害等級判定基準では、2級の人は「著しく日常生活に制限を受ける」等記さ

れており、一般就労が困難な人が多くいると思われます。「重度」という画一的な線引きでなく、実態に応じて医療費助成の対象者を精神保健福祉手帳2級の人まで対象拡大してください。

・家族の高齢化や経済的負担は家庭崩壊しかねない現状があります。当事者、家族の実情や要望を聞

いていただき、今後とも改善に向けた検討を行ってください。

 

 

第二回意見交換会の要望内容

 

【精神障害者問題に関する要望】

【精神障害者の介護保障等、地域生活】

・精神障害者に特化した居宅介護等の2016年度の各市町毎の利用者数・利用時間について資料で持って

回答して下さい。(事前の資料回答)

・精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した2016年度の各市町の利

用者数と利用時間について資料で持って回答して下さい。(事前の資料回答)

・兵庫県下各市町毎に精神障害者のグループホームが何ヶ所あり、何人利用しているのか、2016年度

実績について回答して下さい。(事前の資料回答)

 

【地域移行~退院促進】

兵庫県下の長期在院者の減少率について、昨年度要望でも全国的にも遅れていると指摘しましたが、2016年度の進捗状況を報告していただくとともに、退院理由として、転院、家族の下、グループホーム、死亡など、2016年度実績における、それぞれの割合を回答ください。(事前の資料回答)

 

【1.障害者差別解消法に関わる課題】

2017年2月24日、県議会第335回定例会において、ある議員から「・・障害者の権利に関する条例のような条例制定が、障害者差別解消の実効性を高めるためにより有効であると考えます」との意見ならびに質問が行われました。それに対し井戸知事は「条例事項がないなら制定の必要はない。条例ではなくより実効性のある施策を展開する」と答弁されました。しかし、例えば明石市では合理的配慮の提供に必要な備品等の設置購入の補助事業を通じた民間事業者等への普及が促進され実効性ある取り組みになっています。また西宮市では2017年2月15日開催の「西宮市障害福祉推進計画策定委員会」で、同策定委員会会長が差別解消の取り組みに関して「・・・重要なことは障害者差別について差別した側を糾弾するのではなく、専門の相談員による介入により9割5分が解決しているというようなデータも出ているので、西宮市においても専門的な相談支援機関を明確にして、そこで両者の訴えを確認し、調整するといった相談支援の充実と一部斡旋できる仕組みづくりを検討する必要があると考える」と発言されています。差別解消に関わる人的配置がなければ実際には推進されません。このように合理的配慮の補助事業、人的配置による相談・調整・あっせんの仕組みを、県と各市町の共同事業として条例事項に盛り込むことにより、より実効性ある施策が展開されることが可能となるのではないでしょうか。「条例事項がある、無い」ではなく、県の積極的な姿勢が問われているのではないでしょうか。事務局の考え方をお聞かせください。国においても障害者差別解消法3年後の見直しが行われます。それらも踏まえ、引き続き条例制定に向けた検討を行って下さい。

 

【2.街づくり・交通・バリアフリーに関わる課題】

①  【駅舎等のバリアフリー/進ちょく状況】 1日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅における、エレベーター設置等に関する、兵庫県内の昨年度からの進ちょく状況について資料をもって回答して下さい。(事前の資料提供)

②  【バス問題/導入率】 県内各市営バス、県内民間バス会社ごとのノンステップバスの導入率に関し、昨年度からの進捗状況について資料を提示して下さい。(事前の資料提供)

③  【駅舎等のバリアフリー/ホームドア等】 JR六甲道駅での昇降式のホーム柵が設置され、また神戸市営地下鉄三宮駅にも設置予定と聞きます。ホームドア又は可動式ホーム柵の整備に関する兵庫県内の進捗状況ならびに今後の見通しについて報告していただくとともに、近隣の大阪や東京の進捗に比べ、兵庫県は立ち遅れていますが、その理由と解決策についても、併せて回答ください。

④  【高速走行バスの車椅子乗車】明石海峡大橋を走る高速バス等、高速走行するバスには、車椅子のままでの乗車が困難な状況です。昨年度、障害者差別解消法上の課題であるとの認識を示していただきました。国は2020年度末までに空港、高速バスの25%のバリアフリー化を目標と示しました。兵庫県下での達成へのプロセスや見込について回答ください。

 

【3.労働に関わる課題】

①  県職員採用の任命権者は、「知事部局」「警察」「教育委員会」とありますが、それぞれの2016年度の障害者雇用率について回答してください。(事前の資料回答)

②  とりわけ障害のある学校教員は児童生徒への障害理解や共に生き共に働くあり方をより明確に示すものであり、障害者差別解消の観点からも雇用促進が求められます。兵庫県内公立学校の障害のある教員の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校それぞれの障害種別ごとの2016年度の雇用状況を回答してください。(事前の資料回答)

 

【4.障害福祉サービス等生活支援に関わる課題】

①  【サービス等利用計画】

2017年2月13日開催の兵庫県障害福祉審議会で、委員から「セルフプランがゼロはおかしい。きちんとモニタリングした上で、自分で計画を立てれる人はセルフプランで良い」との発言がありました。セルフプランガイドラインを設けきちんと位置付けている自治体もあります。しかし私たちとの過去の意見交換の中で兵庫県障害福祉課の回答として、「セルフプランにはモニタリングがない」との否定的な見解を示されていました。きちんとモニタリングしているからこそ認められるべきであり、本人のエンパワーメントの意味からもセルフプランには積極的な意義があると、各市町ならびに県内相談支援事業者らに周知してください。

 

②  【国への要望事項】

兵庫県として、以下の課題について国に積極的に要望してください。(事前の文書回答)

・重度訪問介護の入院時の利用について、対象者を区分4以上とするとともに、必要とする介護や支援

内容が幅広く認められるようにすること。

・通勤や通学保障について、厚生労働省が労働・教育行政と連携して検討し、必要な対策を講じること。

・グループホームのヘルパーの個別利用を恒久化し自立生活援助ではヘルパーとの併給を妨げないこと。

・グループホームの報酬、特に重度者への報酬単価を増額する事。

・国庫負担基準を撤廃し、市町村が認めるすべての支給決定量の半額を国が負担する事。

 

③  【重度訪問介護/対象拡大】 2014年4月から「重度訪問介護の対象拡大」が実施されました。話し合い時点で、県内市町で知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用に至ったケースについて、実施市町名ならびに利用人数に関する情報提供をお願いします。(事前の資料回答)

 

④  【入院時コミュニケーション支援事業】

・県内で地域生活支援事業において重度障害者の入院時コミュニケーション支援事業を実施している市

町名ならびに同制度の利用状況(2016年度の利用人数/利用時間)について情報提供してください。(事前の資料回答)

・入院中にも重度訪問介護の利用が2018年度から可能になる見込みです。国からの情報があれば提供してください。新たな国制度では対象となるのは区分6のごく一部の障害者に限定され支援内容も医療従事者への伝達しか認められない恐れがあります。県下の複数の市町で実施している「入院時コミュニケーション支援事業」を2018年度から廃止しないよう、各市町に指導、働きかけてください。

 

⑤  【介護保険との適用関係 1】

・2018年度から実施される「共生型サービス」について、話し合い時点での情報、並びに兵庫県として

の考え方について報告、説明してください。

・2017年3月開催の兵庫県事業所説明会資料に、介護保険サービスと障害福祉サービスの「類似サービ

ス」「特有のサービス」一覧がありましたが、重度訪問介護の位置づけが曖昧になっています。改めて説明してください。

 

⑥  【介護保険との適用関係 2  各自治体の対応】

介護保険と障害福祉サービスの併給等に関する県内各自治体での対応について、加盟団体から以下のような要望があげられています。画一的な制度運用ではなく、65歳になったからと言って必要とするサービスが減じられることは概ね考えられないため、従来の生活が損なわないよう、利用者に寄り添った支給決定されるよう、兵庫県として各市町を指導してください。

・要介護5でなければ重度訪問介護の併給を認めない。

・併給を認めるが、介護保険の2時間空きのルール等により利用者が非常に不便を感じている。

・グループホームを出て居宅での生活を希望する知的障害者に対して、介護保険利用しか認められず、時

間数が全く足りない。

 

⑦  【グループホーム  スプリンクラー設置の義務化】

昨年度、私たちは安全性に配慮し一定の条件を満たせばスプリンクラー設置の例外規定を設けている自治体の事例を情報提供し、柔軟な運用を要望しましたが、兵庫県の回答では、「簡易式スプリンクラーもある、安全性は第一に考えたい」でした。加盟団体には、小規模で夜間も手厚い人員を配置し、建物の構造としても設置が困難で賃貸物件のため家主の許可も困難な事例があります。兵庫県として画一的な指導でなく、一つ一つのグループホームの実態を精査し、事業が継続できるような柔軟な運用ができるよう、関係各所に働きかけてください。

 

⑧  【難病者/障害の範囲拡大】 2016年度の各市町での難病者の障害福祉サービスの利用状況について報告して下さい。(事前の資料回答)

 

⑨  【地域活動支援センター補助金】

地域活動支援センターでは様々なニーズを持つ利用者に柔軟な対応が行われています。兵庫県として補助事業を継続されていますが、基本的な補助事業は各市町で実施されています。市町の補助金額等の格差により、他の市町から新たに利用者を受け入れたところ、約30万円も補助金が減額された事例があります。明らかに不合理です。兵庫県として見解を説明していただくとともに、特に隣接市町間での補助金格差は、今後ともこのような不合理な実態を生じさせるため、格差是正に向け、県として各市町を指導してください。

 

⑩  【移動支援】

兵庫県内の市町の中には、外出先としてプールやカラオケ、散髪の間は移動支援として算定できないという、いわゆる中抜き問題があります。このような場合にも障害特性等により見守り等の何らかの支援が必要な場合には、中抜きはあってはならないと私たちは考えます。兵庫県としての移動支援の基本的な考え方をお示しいただくとともに、画一的な制度運用を行っている自治体に対して、県として指導してください。

 

⑪  【地域生活支援拠点について】

2017年度中に地域生活支援拠点を兵庫県内に17市町で整備予定と聞きますが、17の市町名とそれぞれどのような支援機能を持った拠点として整備されるのか回答ください。また未定とされる24市町の整備見込みについても併せて回答ください。(事前の資料回答)

 

【5,入所施設のあり方~地域移行】

冒頭で述べましたように、相模原事件が提起した問題の1つに入所施設のあり方があります。津久井やまゆり園の再生に関しても議論が継続しています。各都道府県、各市町でも様々な模索や挫折も含めて取り組まれています。施設入所者数よりグループホーム入居者数が上回っている自治体が8道府県(2016年12月時点)ありますが、兵庫県はグループホーム施策が立ち遅れ、2016年度実績で施設入所者5448人に対しグループホーム入居者2711人と半分にも及んでいません。長野県の西駒郷では、かつて500人定員であったのが現在110人になっています。その優れた地域移行の実践や考え方は兵庫県としてもよくご存知かと思います。長期的な視点に立ち、県計画が掲げる「未来予想図」を実現していくためにも、認識を根本的に見直し、その上でより一層の施策展開が必要だと私たちは考えます。

以下の質問、要望に対して、事前に回答していただいた文書・資料を踏まえ、改めて、「地域移行はなぜ必要であるのか、長期的にどうすれば兵庫県として推進していけるのか」、担当部局としての思いを述べていただきながら、率直な意見交換をお願いします。

 

・障害者支援施設での下記の項目について、兵庫県内の障害者支援施設の実態を報告してください。把握

されていない場合には、実態調査を行ってください。(事前の文書回答)

・家族に頼らずに移動支援が必要な入所者も自由に外出ができるか。

・個室によりプライバシーが保障されているのか。

・自由な食事時間が保障され、好きな物をいつでも食べられるのか。

・就寝、起床時間は入所者個人の自由にできるのか。

・入所者が主体となる自治会の有無。

・兵庫県は「真に入所が必要な障害者」もいるのだと位置づけられていますが、障害者基本法や障害者差別解消法、そして意思決定支援との関係において、兵庫県として、どう考えられるのか回答ください。(事前の文書回答)

・地域移行を推進していくためには、地域生活を体験したり、外出を通じた様々な体験が、特に長期に入

院、入所されている方には必要です。兵庫県として県内各市町に対して、地域移行の推進のためにも施設入所者の移動支援は重要な事業であると、改めて周知してください。(事前の文書回答)

・施設入所者の移動支援を実施している各市町での2016年度の実施状況を回答ください。(事前の資料回答)

 

以上

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