総会

【報告】 2016年度 障問連第36回総会の報告

障問連事務局

1981年12月に結成された障問連。早いもので結成から35年を迎えます。

12月4日、兵庫県民会館にて障問連の総会が開催されました。野橋順子さん(NPO法人生活支援研究会)の司会により、冒頭、石橋事務局長の開会挨拶から始まり、加盟団体32団体のうち委任状も合わせ27団体の出席により総会が成立した旨が司会から報告されました。続けて議長に事務局次長の凪裕之さんが選出され、その後、議案に沿って進行しました。

毎年、報告に多くの時間を費やし議論できる時間が制約されるため、今回は報告については担当者から短く報告するなど簡略化に努めました。2016年度は新たな事務局体制としての1年目、新たな会費の仕組み、会議運営の工夫、新たなバリアフリーの取組みはなかなか進みませんでしたが、介護保障・教育・差別解消など各部会や課題に対して積極的な活動が展開される一方、組織的な活動の弱さが課題となっています。

会計報告では、会費の増額をしていただいた団体もあり、また交通費等の自己負担など経費的には抑制されたため、ほぼ予算内の会計報告となりましたが、将来的な新たな専従者の確保を考えれば厳しい現状にあります。その後、役員選出が行われ、2017年度役員体制は前年度からの留任ですが、以下、活動方針にあるよう、新たに知的障害者支援の担当を設け、事務局の野崎さんが就任しました。以上で総会は終了しました、その後、昼食を取りながら懇親会として1人1人の自己紹介も交え、有意義な交流の場を持てました。

以下、議案書から2017年度活動方針を抜粋して紹介します。

 

■2017年度の活動方針・具体的な取り組み

【組織活動/事務局体制】

〈目標〉世代交代を意識しつつ組織体制を整備し、各課題に丁寧に取り組み、組織化を図って行く。

①   【組織基盤の確立】新たな事務局体制の2年目を、今後とも将来にわたり維持できる組織作りに重点を置き、会費の仕組みについても検討を重ね財政の確立、加盟団体との連携の強化、事務局機能の効率化、各部会等担当者との連携など、組織基盤を作る1年にします。

②  【組織担当の明確化】情勢的にも権利条約批准/差別解消法施行により大きな制度改革は一区切、制度改革の第2ラウンドにどう立ち向かっていくのか、ますます日々の実践や地道な運動の取組みが求められ、そのためにも、事務局次長の凪さんを組織担当として、事務局員がサポートし、しっかり組織運営に取り組みます。

③  【リーフレットの作成】兵庫県において、障害種別を越え共生と人権を柱とした障害者団体は障問連しかありません。35年の歴史を継承しつつ、現在と未来にわたる障問連の立場と役割を明確にできるような検討を行い、対外的なアピールや新規加盟団体へのアプローチに向け、リーフレットの作成に取り組みます。

④  【組織拡大の取組み】この数年来、方針に挙げながら取り組めていない県北部未組織地域への働きかけ、関係団体へのアプローチについて、リーフレット作成の後、検討し取り組んで行きます。

⑤  【次世代の育成】次世代の障害当事者に運動を継承し、障問連活動を担う障害者を育成していきます。各部会の活動を通し組織化を図ります。支援者も事業所交流会等を通じ、事務局員を担える次世代を育成していきます。

⑥  【知的障害者問題の担当】新たに知的障害者問題の担当を野崎さんにお願いし、主にひょうごピープルファーストとの連携、活動支援に取り組みます。

⑦  【加盟団体との共闘】反差別の取り組みとして「人権シンポジウム」を主に解放同盟との共同取り組みが定着し、来年度方針にある教育課題について兵教組との新たな共同取り組み、また労働問題や障害者春闘に関して自治労との共同取組みを模索するなど、多様な団体・人がいる障問連として、組織内の共同取り組みを明確に位置付け、一丸となって目指すべき社会の実現に向け取り組んで行く。

 

【活動方針】

【行政交渉】

・オールラウンド交渉については、課題を精査した要望書の作成や県への要望については加盟団体からの意見聴取や事業所交流会等を通じた現場からの声を施策に反映できるように努めます。

・兵庫県障害福祉審議会には引き続き傍聴し、差別解消に関する障害者委員会については委員である藤原さんを通じて積極的な提起提言を行って行きます。

・神戸市障害者施策推進協議会については石橋事務局長が引き続き参画し、特に制度分科会の中で神戸市での条例制定を実現していきます。

・前年度できなかった県教育委員会に対し、各地での就学問題から明らかになった課題、学校での支援員や介助員、看護士の確保を始めとした合理的配慮の提供の在り方について、要望書にまとめ県教委との交渉を行います。

・尼崎市での移動支援の抑制の動きや事業所交流会等で明らかになった課題について地域団体と連携し各地行政交渉に努めます。

 

【介護保障問題】

・前年度に引き続き、「障害者の介護保障を考える会」の活動に取り組みます。特に神戸市の重度訪問介護の深夜時間帯の見守りに関して、個別事例が審査請求の取組みへと移行していきます。障害の重い人の地域での自立生活にとって重要な課題です。積極的に運動を展開していきます。

・介護保険適用問題についても加盟団体の関係者も次々に続くため、その人が望む暮らしを継続できるよう、「考える会」と共に取り組んで行きます。

 

【教育】

・各地での就学の課題を踏まえ、兵庫県教育委員会に要望書を提出し交渉を行います。

・「インクルネット西宮」や各地の親の会の活性化、各地の就学支援に丁寧に取り組みます。

・淡路市での重度障害者の高校進学の取組みを重点課題として支援します。

・担当の平本さんが関わる「バクバクの会」が当事者の学校や生活をDVDにまとめられ、障害の重い人の地域での学校や自立生活の広報に向け、各地上映を可能な限り取り組みます。

・今後の障問連教育集会について・・・以下、実現できるよう連携して取り組みます。

年一度兵教組と障問連(各地親の会)の共同開催による「兵庫県インクルーシブ教育セミナー」

(趣旨/目的)・・・兵庫県下で共に生き共に学ぶインクルーシブ教育を、より一層推進していくためには、障害児童、保護者と現場の先生方が協力して、就学指導のあり方、バリアフリーな学校、必要な合理的配慮の提供、そのための教育環境や人的加配等の教育条件を拡充し、障害のある児童もない児童も誰もが安心して学べる学校作りへと取り組んで行かなければなりません。兵庫県下各地で、より一層インクルーシブ教育が推し進められるよう、年に一度、兵教組に集いインクルーシブ教育に熱心に取り組まれる先生方と障害者、保護者らが集い、年に一度、セミナーを開催し、互いに学び合い、県下各地の状況や課題を共有し励まし合える場としたい。

 

【バリアフリー部会】

・2016年度から新設した部会として、まず県下各地の実態を知ろうと、兵庫県下のバリアフリー調査の実施を目標としましたが、調査票「案」を最後まで完成させることができずに終わりました。

・2017年度は調査について根本から見直して取り組んで行きます。

・一緒に活動する仲間を増やせるような活動に取り組みます。

 

【差別解消/条例制定の取組み】

・HIL&障問連として・・

これまで通り、月1回程度事務局会議を開催し、情報共有や差別解消に向けての取り組みを具体的に進めていく。事例検討ワークショップを他地域でも開催し、相談窓口に相談できる障害者が県内に増えるように働きかけ、事例を増やしていく。

・明石市での条例の施行状況、来年1月から条例施行される宝塚市の状況を情報収集します。

・神戸市障害者施策推進協議会の制度分科会の中で条例制定を積極的に提言していきます。

・兵庫県障害者委員会の中で障問連としての提言をしっかり行って行きます。

 

【事業所交流会】

・交流だけでなく全体での共同研修会についてアンケートを実施します。

・1月終~2月初には工夫した交流会を開催します。午前~共同研修会、午後~交流会。

・4月には制度動向の学習会を午前開催し午後~交流会。

・その他スピンオフ企画を進める等、自発的な企画や現場のニーズに合った交流会に努めます。

 

【キャンプ】・・・例年通り、各地域で創意工夫して開催します。

 

【広報活動】・・・加盟団体/各地の取組みを紹介する

 

【精神障害者の権利実現の取組み】

精神障害者の課題は、権利擁護・アウトリーチ・年金・インフォームドコンセント、長期入院と難問が山積みです。以下、出来る限り取り組んで行きます。

①    年金問題では級数を落とされる人、年金そのものが不支給にされる等、許せないことが最近、特に増えています。情報収集し取り組んで行きます。

② インフォームドコンセントは医療と患者の基本であり信頼関係は必要で、守られるのは当然だ。

③ 長期入院問題では東京のHさんを中心に訴訟団が組まれたと聞きます。今後も見守り共闘していきたい。

④ 『昔、~マットの町があった~』上映会に取り組みたい。

⑤ 「精神保健」を小学校~高校の教育科目に入れる取り組みをしていきたい。

⑥ 知的障害者が精神科病院に社会的入院をされています。許せない問題です。

 

【知的障害当事者運動の支援】

・障問連は障害種別を問わず、障害当事者を中心とした団体です。そのなかでも、知的障害者当事者との関係は、加盟団体としては取り組まれてきたものの、障問連としての位置づけは曖昧な状態でした。

・2015年に、兵庫ピープルファーストが中心になって、全国大会を兵庫県において開催しました。障問連も大会開催を支援しつつ、その後、共同の取り組みを展開できていませんでした。

・2017年度から、知的障害担当を置き、具体的には兵庫ピープルファーストとの共同を中心にしつつ、障問連として知的障害者の問題をどのように位置づけていくのかを模索する年度としたいと思います。そのために、まずは兵庫ピープルファーストとの連携を密にし、当事者や支援者としっかり相談をしていくことから始めたいと思います。

 

【相談支援】

・寄せられる相談に対して丁寧に声を聞き支援していきます。が、担当者が限られ負担が重いことが課題です。

 

【顧問弁護団との共同取り組み】

・加盟団体との連携や情報共有の中で、分かりやすい案内を作成し、障害者の人権侵害に関わる課題について、積極的に弁護団の活用を周知していきます。

 

【障害者春闘】

・相模原事件の問題をテーマとして開催してはどうかという方向で検討しています。精神障害、知的障害の問題をはじめ、考えるべき課題が山積する課題です。具体的内容は今後、検討していきます。

 

【反差別共闘】

毎年12月総会後に開催する「人権シンポジウム」は定着し、2017年度も部落解放同盟兵庫県連合会の担当者と相談し、あらゆる差別と闘うためのシンポジウムの開催に取り組みます。

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