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【報告】 2016年度をふり返って ~ 国の制度動向 ~ 様々な動向報告

栗山和久(障問連事務局)

■2016年度をふり返って

12月26日発行の『福祉新聞』、年の終わりとして福祉に関わる様々な課題について、1年間の振り返りとして特集が組まれています。以下、障害者関連の施策について抜粋して紹介します。

○悲願の差別解消法施行・・・記事では明石市で全国初の合理的配慮の公的助成について紹介される一方、「差別解消支援地域協議会」を法施行日までに設置した全国の自治体が6%と、法が実効性を持つにはなお時間がかかるとされています。

○総合支援法3年後の見直し・・・高齢障害者への対応、1人暮らしを支える新たなサービス。

○成年後見制度について・・・議員立法で4月に「成年後見制度利用促進法」が成立する一方で、後見人の不正、後見人により施設入所や入院が強いられる危惧、そして国連の委員会は「成年後見制度は障害者権利条約に違反している」としていることが紹介され、意思決定支援のあり方が求められています。

○衆議院での法案審議にALS患者の参考人招致が認められなかった事

○視覚障害者の駅ホームからの転落事故・・・国土交通省は8月に再発防止に向けた検討会を設け16年度補正予算に駅のホームドアを増やすための費用を計上した。

 

■国の制度動向

○新たな処遇改善~来年度から月額1万円引き上げ

安倍首相は6月に消費税10%引き上げの再延期を発表、同時に「ニッポン1億総活躍プラン」を閣議決定し、介護職員の賃金月1万円のアップする事を決定、12月19日、塩崎厚労大臣と麻生財務大臣の折衝により合意したと報じられ、障害福祉サービスの介護職員も対象になります。

現時点で社保審で示されている新制度の概要は、「経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期昇給を判定する仕組み」(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知)とされ、取組例として「勤続年数や経験年数等に応じて昇給する仕組み」「資格等に応じて昇給する仕組み」「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み(実技試験や人事評価などの結果に基づき昇給する仕組みを想定、客観的な評価基準や昇給条件が明文化)」が示されています。

○介護保険制度の改悪

上記の大臣折衝では、介護保険制度改革の内容も合意したと報じられ、単身で年収383万以上の現役並み所得の高齢者の利用者負担が2割から3割に引き上げられ、一般的な課税世帯の利用者負担上限額が3万7200円から4万4400円に引き上げられます。

5回目を迎える介護保険制度改正論議では、厚労省での議論の前に、とにかく抑制ありきの改正内容を財務省が示し、軽度者の生活援助を介護保険本体から外し地域生活支援事業に移す案が示されたが、事業者や支援団体の猛反対があり、今回は見送られましたが、2019年度末までに必要な措置を取ること、そして2018年度の報酬改定では生活援助中心の報酬は減額、通所介護などその他の給付も「適正化」の名の下に抑制の方向で検討すると報じられています。

○「自立支援法違憲訴訟団」と国の定期協議

1年半ぶりに障害者自立支援法違憲訴訟団と国の定期協議が12月12日に開催されました。違憲訴訟を和解する上での「基本合意」、それが守られているかどうか検証するための定期協議。しかし基本合意にある介護保険優先原則の廃止、配偶者も含めた利用者負担の見直しなど、今回の総合支援法3年後の見直しでも全て見送られたため、訴訟団は「不十分」と評価しています。また厚労省が立ち上げた「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」が「介護保険と障害総合支援法との統合」「互助による安上がりの福祉」につながる事を訴訟団は懸念し協議されたが、厚労省は「基本合意と矛盾しない」と確認した、と報じられています。

 

■兵庫県内の動向様々な動向 ~宝塚市が1月から障害者差別解消条例を施行~

12月宝塚市議会定例会で条例案が可決されました。県内では明石市に続き2番目。市条例では例えば入店拒否等があったと障害者から相談があった場合、市が事実関係を調査、双方から事情を聴いた上で調整、それでも解決しない場合には市に斡旋の申し立てができ、障害者や支援者、学識経験者らでつくる「調整委員会」(今年7月に設置予定)で対応し、改善が見られない場合には調整委員会から市に対して相手側に勧告するよう求める事ができる、という仕組み。すでに約30件の相談が寄せられています。

 

■医療的ケア児の保育所、就学をめぐる報道

毎日新聞では12月に連載で精力的に医療的ケアが必要な児童の保育所等の就学前、学校就学を巡る報道が報道されています。今年6月、国は「改正児童福祉法」により医療的ケア児の支援の努力義務を自治体に課しました。「保護者が粘り強く訴える」かどうかで左右されると報じられています。全国各市での取り組みが以下のように報じられています。

・大津市・・・市立保育所で1996年~医療的ケア児の受け入れを開始、全ての市立保育所に看護師1人が常駐し、医療的ケア児がいれば追加でもう1人看護師を配置する。担当者は「必要な配慮をした上で、集団生活の中で成長する場を保障するのが市の役割」と説明した。

・東京都目黒区・・・2人の医療的ケア児を区立保育所で受け入れている。ある保育所では園長以下保育士10人が喀痰吸引等研修を受け医療的ケアができる「登録事業所」になった。慢性的な看護士不足の中、保育士がケアできる体制を整える事が合理的と判断した。

・川崎市・・・7つの区ごとに拠点保育所を整備し看護師を配置、今年度は2人の医療的ケア児が入った。

・堺市・・・公立保育所で専属の看護師を配置し8人の医療的ケア児を受け入れている。

しかし一方、学校教育においては、横浜市、東京都では保護者が「皆と一緒に通いたい」と地域の通常学校への入学を希望しても、「親が付き添うか、特別支援学校に入学するか」と教育委員会が頑なに対応し、交渉が継続していると報じられています。

 

■国、自治体の姿勢、そして私たち

次号で詳しく報告しますが、介護保険適用問題についても、重度訪問介護を利用する障害者が65歳になると国の国庫負担基準が区分6の場合には3分の1に削減されます。当事者が65歳になっても引き続き重度訪問介護を利用したい意向を認めれば自治体の負担は増します。介護保険とは関係ありませんが、宝塚市、尼崎市でのガイドライン見直しは、この国の国庫負担を大きく上回る市の負担が市議会等で指摘され見直しが始まりました。上記の看護師配置も通常学校への国補助が今年度から始まりましたが全額ではありません。今年度からの神戸市での小中学校への看護師配置は評価されますが、週一日は何とか改善させたい。私たちも踏ん張りどころです。

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