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【報告】 11/2兵庫県とのオールラウンド交渉~特別意見交換の報告(1) 知事発言と「継続支援」~「措置解除に関する新たな第三者機関」について

障問連事務局

11月2日、兵庫県民会館において兵庫県とのオールラウンド交渉が行われました。別記、要望書にあるように相模原市津久井やまゆり園での障害者殺傷事件に関する兵庫県知事の発言と4月から県が独自で行う「継続支援」、そして新たな第三者機関に関して緊急要望し、交渉冒頭に特別意見交換として話し合いました。以下、その後の状況も含め報告します。

 

■井戸知事発言について

県回答・・・「私たちもあの場で初めて聞くような形だったので、確かにああいう形での発言は誤解を招く問題があるなとは捉えています。私たち担当部局としては障害者の人権を第一に考えていますので、今回の事件等について当事者やご家族また支援している人たちに傷つき今後どうしていこうかのあたりでも戸惑いはあるし、私たちとしても、どうしていくのが一番良い形なのか・・・。4月以降、継続支援チームという形で進めている中でのことでしたので、慎重に考えていくべきだろうと考えています。知事が今まで色々考えて来られたのかもしれませんが、発言については部局としてのものではありません」。

 

■新たな第三者機関について

県回答・・・「人権に関わる事ですので、そのことによって入院が継続、長引く事はあってはならないとの基本的な考え方の中で、ただ指定医の先生方が症状だけでなく色んな形で治療の難しい方もいるかと思いますので、判断に困る時に相談できる機関と考えています。ただ、相談をしている段階であったとしても措置症状が無くなったと判断された場合には速やかに解除していただく方向で考えていこうとしています。今、検討を始めようと準備中です。まだ準備検討段階ですので、いつまでに等は分かりません。相談できる機関という形にしていますので行政と一緒に相談に乗って頂ける先生方と調整している段階です。第三者機関は複数名で助言する機関、その助言を受けて判断をするのは主治医ないし指定医の先生1人という形。継続支援チームも始まっていますので基本的には入院中から地域の方で関わって行きますし、病院の中でもご本人も入りながら今後の事を話し合って行く事になっていますので、そこで相談していく事は考えています」。

 

■交渉の内容

交渉では、「継続支援」にも言及しました。淡路島洲本市での事件を受けた検討会が行われ、その報告書もまとめられていますが、警察や保健所、多種他機関との情報共有、兵庫県にも医療観察法の施設の設置を求める事も盛り込まれていること、何より精神障害当事者の意見が全く反映されていない点など、危惧することが多く、また医療により全て解決できるものではなく本人の意思や気持ちに寄り添った支援が地域社会でどのように構築できるのかが重要、など当事者が意見を述べました。

交渉時間がわずか20分という制限があり十分な協議はできませんでしたが、当事者の意見も添え要望書を提出し、今後の施策に反映させて欲しいと強く要望しました。

そして交渉後、「これから検討の準備をする」としながら、以下のように県は第三者機関設置について発表しました。また以下のように国の最終報告も出される中、国の発表の前に県独自の施策として公表したかったのかという印象も強く持つもので、拙速な感は免れません。

兵庫県は長期入院者の退院率は全国的にもかなり低い現状です。地域生活支援の拡充に向け、何より抜本的に改善する事が求められるのではないでしょうか。

 

■県が全国初の助言機関を来月設置と発表

毎日新聞記事(12月7日)によると、12月6日、兵庫県は措置入院した精神障害者の治療方針や入院解除について、治療する医師らに助言する第三者機関を来年1月に設置すると発表、相模原市の障害者施設殺傷事件を受けた取り組みで、都道府県では初めて。

○第三者機関の名称・・・「措置入院者支援委員会」

○構成・・・5人(県精神科病院協会会長・県立精神保健福祉センター所長・大学医学部教授ら)

○内容・・・措置入院者の入院から退院まで、治療する精神保健指定医への助言、措置入院の決定や解除時に知事も助言を求めることができる。

○「継続支援」・・・県の保健所ごとに措置入院の退院後に患者を訪問支援するチームを設けているが、今後は政令市、中核市にも広げる方針。

また井戸知事は6日の定例記者会見で「支援委員会が措置入院解除の適否について助言し、社会復帰後は保健所が中心になったチームがフォローするという二段構えで対応していきたい」と話した。

 

■国・厚労省が相模原事件の最終報告書をまとめる

先の県の発表の直後、12月8日に相模原事件に関する厚労省の「再発防止策検討チーム」が最終報告書を公表しました。詳しくは次号で紹介しますが・・・

・知事や政令市長が措置入院患者全員の退院後支援計画を策定

・自治体職員や病院などによる調整会議で内容を協議

・退院後支援は患者の居住自治体が引き継ぐ

・自治体や警察は措置入院過程で発覚した情報の共有方法を協議する場を設置する

厚労省は、以上の仕組みを盛り込んだ精神保健福祉法の改正を来年の通常国会で目指すと報道されています。ほぼ上記の兵庫県の取組みと同じような内容、聞くところによると厚労省や各地方から兵庫県の取組みが先進的だと、県への視察が相次いだと言います。

しかし、継続的な支援と言うが、主に担うことになる保健所職員の「人手不足」が報道されています。また、相模原事件の再発防止策のこのような検討に対して「議論限界」「措置入院制度対応に終始」(以上、毎日新聞12/9)のように、障害者団体からも「優生思想的な考え方に社会がどう相対するか表舞台で論議すべき」、「事件を生みだした背景、社会のあり方について、当事者の声を聞きながら社会全体が向き合って欲しい」(同)など、同事件の再発防止の論議が表層的で精神障害者の監視や隔離強化への懸念がクリアーされたわけではなく、また事件直後に安倍総理が関係閣僚会議での指示により始まり、兵庫県でも井戸知事の発言を端緒として始まったように、トップダウンにより社会防衛的な観点が強く、「人権保護の視点」と言うものの、これまでの措置解除が厳しくなり、「自傷他害の恐れ」という予測不能な判断が予断や偏見により強化され、個人情報保護も無視され、様々な環境・社会的要因の改善より症状に特化した判断による長期入院の恐れ等、懸念を強く持たざるを得ません。今後とも中央の動向に注視していき、県にも働きかけていきたいと思います。

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