市・町の制度 精神障害者 オールラウンド交渉

【神戸市交渉】 2016年度  障害者問題に関する要望書/精神障害者問題に関する要望書

神戸市長

久元 喜造

神戸市教育委員会

雪村 新之助 様

2016年10月13日

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

2016年度  障害者問題に関する要望書

 

貴職におかれましては、障害者の権利実現を基本とし、自立支援ならびに社会参加の促進など障害者福祉向上のため日々尽力しておられることと存じます。

障害者差別解消法が今年4月から施行され、神戸市としても積極的に施策を講じられています。今後とも官民が協力して同法の目的や理念を市民や事業者に周知し、障害当事者や家族が勇気をもって不当な差別を訴え、必要な合理的配慮を求められるよう環境を整備し、社会のあらゆる場面に参画できる共生社会の実現に向け、私達も取り組んでいきたいと思います。同法は施行3年後には見直しが予定されています。神戸市において差別解消法をより実効性のあるものにしていくため、今後とも貴職と協議を重ねていきたいと考えます。

一方、障害者総合支援法施行3年後の見直しは、多く課題が積み残されました。国会附帯決議に示される課題、そして障害者自立支援法違憲訴訟の原告団・弁護団と政府との「基本合意」は最低限遵守すべき事項として、政府に実現を求めて行かなければなりません。また、2018年度に向けた報酬改定も社会保障全般の抑制が予想され、同時に総合支援法見直し施策も2018年度からスタートします。2年後に向け、神戸の地から官民ともに、政府、厚生労働省に施策実現の声を上げていかなければならないと思います。

そして「神戸市障がい者保健福祉計画2020」及び「第4期障がい福祉計画」の障害福祉サービス等の数値目標について点検していき、障害のある者が障害のない者と分け隔てられること無く、当たり前に権利擁護される共生社会を実現し、その人らしい人生や地域での自立した生活が実現できるために、市内全域で十分な施策が講じられることが肝要です。以下具体的に要望いたします。

 

【 1.教育 】

(1)神戸市教育委員会の2016年度の新施策として、「医療的ケアを必要とする児童への支援として小中学校に週1回程度、看護士を派遣」が実施されています。以下の質問ならびに要望に回答して下さい。

①    話し合い時点までの実施状況、実施学校数、対象児童数ならびに週何回程度か、1日の派遣時間など、派遣の内容について回答して下さい。

②    「小中学校に派遣する」とされていますが、神戸市立高校は対象とならないのですか。ならないのであれば、その理由について回答して下さい。高校にも医療的ケアを必要とする児童が在籍できるよう、小中学校と同様に派遣することを要望します。

③    派遣する看護士の雇用形態、賃金、勤務時間について回答して下さい。また、看護士の確保については、誰の責任において探すのかも併せて回答下さい。

④    同施策の説明文には「保護者の負担を軽減するため」とあり、それでは「保護者の付き添い」が前提としているように解されます。医療的ケアの提供は合理的配慮として公立学校では義務であり、「保護者の付き添い」が当たり前であるかのような認識を改められ、また「週1回程度」の制限は撤廃するよう要望します。

 

(2)2016年4月から障害者差別解消法が施行されました。それに関連して以下の質問ならびに要望に回答して下さい。

①話し合い時点までに、神戸市教育委員会の管轄下で、障害者差別解消法を適用した事例があれば、件数、ならびに公表できる範囲で事例内容について回答して下さい。

②学校現場の管理職、教員に対して、どのように合理的配慮の提供義務、不当な差別的取り扱いの禁止など、どのように周知徹底されているのか、回答して下さい。

 

(3)障害者基本法には、障害のある児童が障害のない児童と、可能な限り「共に学ぶ」と明記されています。神戸市教育委員会として、障害を持つ児童が、必要な支援、必要な合理的配慮を受け、地域の学校で学べるように積極的な施策を展開されるよう強く要望します。具体的に以下、要望します。

①就学指導での就学先決定にあたっては、本人・保護者の希望を最大限尊重し、必要な支援は必ず合理的配慮として提供するという認識に立ち、地域の学校で学ぶことを基本方針にして下さい。

②2016年度からの新たな施策である特別支援教育支援員の非常勤嘱託化の内容を具体的に教えて下さい。

 

(4)神戸市立高等学校において、障害のある児童もない児童も共に学べる環境整備を大阪府や千葉県の取り組みも参考に、具体的な検討を始めて下さい。

 

【 2.保育について 】

① 学童保育の対象が小学校6年生まで拡大され2年目に入っています。市内の学童保育における低学年・高学年それぞれの障害児童の受け入れ状態を事前に示していただくとともに、今後の見通しを明らかにしてください。

② 学童保育児童の送迎について、移動における安全性を確保されるべきと考えます。登下校は親と学校の共同責任といいつつ、親のボランティア探し頼みというのは、見つからない時、親の負担が大きく、学童保育の利用を断念されるケースも少なくありません。親が安心して子育てや労働を行えるよう、学童の送迎に対する相談や対処はどこが行うのか、明らかにして周知する必要があります。それらの責任所在はどこにあるとお考えになられますか。昨年度の回答集会で責任所在について検討いただけるとのことでしたので、こども家庭局における見解をお尋ねします。

③障害児童受け入れ助成金の増額が必要です。安全対策で人員を必要とするケースに関して重度加算を設けるなど、人員が必要なケースに充分対応されているか、調査を行うなど積極的な検討を行ってください。また、増額が短期間では見込めない場合、ニーズが多く必要な児童に多く配分を行うなど、安全を確保できる体制を構築してください。

 

3.街づくり・交通・移動について】

(1)【駅舎のバリアフリー】

①いわゆる「バリアフリー法」において、1日当たりの平均的な利用者数が3,000人以上の鉄軌道駅においては、平成32年度までに原則として全てについて、段差の解消、視覚障害者の転落を防止するための設備の整備等の移動等円滑化を実施することとなっています。また、1日当たりの平均的な利用者数が3,000人未満の鉄軌道駅においても、地域の実情に鑑み、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態を踏まえ、可能な限り実施することとされています。神戸市内の昨年度からの進捗状況について資料をもって事前回答してください。

 

②上記の①で未整備な駅舎において、障害者差別解消法の観点から、どのように代替措置を講じるのか、神戸市としての考え方を示していただき、神戸市内の民間事業者にどのように神戸市として指導、周知されるのか、回答して下さい。

 

③  阪急三宮駅が大幅改築工事が行われると聞きます。地下鉄三宮駅との相互乗り入れ、阪急春日野道駅から地下運行するなど耳にしました。この計画に関して、以下の質問に回答して下さい。

・上記の計画のタイムスケジュールも含めた具体的な内容を教えて下さい。

・上記計画でのバリアフリーがどのように実施されるのか回答して下さい。

・また障害当事者の参画によるバリアフリー化を行って下さい。

 

④  視覚障害者の転落防止等を目的に設置される「ホームドア」に関して、以下の質問に回答して下さい。

・2014年末よりJR六甲道駅で昇降式ホーム柵が試験的に設置されましたが、その安全性など評価について、障害当事者の意見も踏まえ、神戸市としてどのような見解を持っているか回答してください。

・神戸市営地下鉄三宮駅にも設置予定と聞いていますが、当事者である障害者の声をどのように反映させているかも含め進捗状況を報告してください。また神戸市営地下鉄での今後の設置計画について回答して下さい。

・神戸市内を運行する民間鉄道事業者の駅舎のホームドアの設置について、神戸市の考え方と今後の整備予定について回答して下さい。

 

(2)【駅員の対応】

神戸市新交通株式会社が運行する六甲ライナーに車椅子障害者が、今年5月20日午前10時21分、住吉駅を乗車する際、アイランドセンター駅で降車し、同駅でスロープ板を用意することを要請しましたが、降車時に同駅ホームには駅員が不在であったため、大変恐い思いをして1人で降車せざるをえませんでした。同様のことは平成22年にも発生し、同社住吉駅長名での謝罪と再発防止の文章も提出されたにもかかわらず、今回再発しました。神戸市として事実確認し、同社を指導するようにお願いします。

 

(3)【バス乗務員の対応】

①神戸市バス16系統において乗車拒否が起きています。神戸市交通局の職員(乗務員を含む)に対する研修の実施状況を伺うとともに、講師に障害当事者を招くなどして、より当事者の利便性に配慮した研修にしていただきたいと思います。さらに、毎年のように同じことをお願いしていますが、差別的対応が頻発する理由について、研修の実施結果からいかなるものであると判断されますか。

②神戸市内を走る阪神バスでは乗務員の対応が悪く、車イススロープを乱雑に扱う、乗車可能なスペースがあるにもかかわらず「満員だから乗れない」と言う、乗務員が障害者に対して威圧的であるなどの事例があります。民間事業者である阪神バスについても、差別解消法は合理的配慮を行うことを努力義務として課しています。そのような観点からも、阪神バスに対する適切な指導をお願いします。

 

(4)【神戸市・ICパスについて】

ICパスの利用について、以下のような不便さを強いられています。

・乗車時のタッチがしづらい障害者がいます。車イス障害者は、スロープで乗車時にタッチしようとして体勢を崩したり、単独乗車の肢体障害者は乗車時に左手で手すりが持てずに困ったりしています。

・常時介護が必要な障害者の乗車時に、介護者がパスを2枚タッチしなければならず、手を離さなければならないので、非常に不便な状態となります。

・遠距離で運賃が変わる場合には、乗車時と降車時に2回ICパスをタッチしなければいけませんが、特に知的障害者には分かりづらく、タッチを忘れると乗務員から差別的な対応をされます。

このような実態を踏まえ、以下、要望します。

①  ICシステム自体をやめ、乗務員に福祉パスを見せるだけの以前の方式に戻して下さい。

②  それができない場合、乗車時と降車時のダブルタッチを降車時のみのワンタッチにして下さい。

③  いずれも難しい場合、乗務員が積極的に障害者のICパスのタッチを手伝ってくれるように、神戸市バス乗務員に指導、ならびに阪神バス等の民間事業者にも周知指導して下さい。

 

4.労働について

①    神戸市の職員採用についてお尋ねします。民間事業者においては、改正障害者雇用促進法により、障害を理由とした募集、採用の拒否は差別であり禁止されています。また2018年度から精神障害者雇用義務化もうたわれています。行政は本来、障害者雇用の推進役であるべきだと考えます。「身体障害者を対象とした神戸市職員採用選考」の対象を拡大してください。

②    「身体障害者を対象とした神戸市職員採用選考案内」の「選考を受けることができる資格」から、今年度「介護者なしに就業することが可能な人」が撤廃されました。まずはそのことを評価します。

その上で、これまで障問連に対する回答集会においては、かたくなに撤廃を拒否されてきた長い歴史があります。撤廃された現在、そうした歴史に関して、どのようにお考えでしょうか。また、拒否されてきた理由が、地方公務員の守秘義務であったと思いますが、介護をつけて就業する障害者の介護者は、障害当事者が自由に選ぶことができると解釈してよろしいのでしょうか。実際に採用されるのは2017年度からであると思われますが、庁内での議論の経過も踏まえ、「なぜいま、自力勤務の資格を撤廃したのか」という質問に対し、簡にして要を得るご回答をお願いします。

③    障害者差別解消法が始まり、障害のある神戸市職員に対する合理的配慮が提供された事例があれば報告してください。

④    障害者雇用促進法における差別解消に関わる事案について情報提供してください。

⑤    就労支援(A型、B型)における在宅勤務に関し、不正を防止するなどの観点から、就労時間を9時~17時に限定され、勤務時間が取れないという相談が寄せられています。一般企業等においても、フレックスタイムの導入など、労働者に合わせた働き方が模索されています。とくに介助が必要な障害者が在宅就労する場合においては、介助者がいない時間に作業を行うことは困難です。固定した労働時間にせず、在宅就労をする障害者が融通の利く時間設定をお願いします。

 

5.自立生活支援に関して

(1)介助に関連して

①障害福祉サービス支給量審査基準(以降ガイドラインと呼ぶ)/支給決定

◎重度訪問介護の支給量をめぐる問題/根拠の明記

障害の重い人が地域で生活し続けるためには「見守り」も含めた長時間利用を可能とする重度訪問介護が重要な施策です。何時間支給されるかが、その方の地域生活実現を大きく左右します。重度訪問介護は本来、家事・身体介護・見守りを一体的に行うサービスであるにも関わらず、支給決定の際に「見守りが長すぎる」と口頭でいわれるだけで本人が納得する説明がなされないまま希望より少ない時間数で支給決定される事例が多くあります。希望する時間数の却下理由について明確な説明なしの支給決定は、権利の侵害だと考えます。障害者が地域生活をマネジメントしていくために、支給決定時の市の考えや根拠をきちんと文書で示すよう求めます。

◎深夜帯の支給のあり方

支給決定をめぐる問題の中でも、とりわけ深夜帯の介護保障について市がどんな考え方をしているのかがきわめて曖昧です。以下の質問に回答してください。

A.重度障害者の地域での一人暮らしを考えるにあたっては、深夜帯の支給について現実的な基準が必要です。障害者の不定期な排尿をはじめとする深夜帯の介護ニーズに対し、どのように対応しようとしているのか、具体的にご回答ください。「排尿など不測の事態に対する待機は神戸市では認められない」「単なる待機時間は制度の対象と解釈できない」と回答した区の窓口があります。私たちは排尿にそなえる見守りは、重度訪問介護の対象だと理解しています。「単なる待機」とはどのような状況のことを表現しているのかわかりません。「待機」と「見守り」の違いも含め、市の見解を明らかにしてください。

B.健康を損なう危険があるにも関わらず、「命の危険」はないという理由で「深夜は巡回」という短時間派遣のプランを組まれます。支給決定の勘案事項に「 当該申請に係る障害福祉サービスの提供体制の整備の状況」とありますが市内の障害者への深夜巡回対応業者のリストすら申請した障害者に情報提供されません。支給決定されていない深夜時間帯を自費やボランティアで対応してくれる事業所を障害者が自力で探している実状をどうお考えですか。深夜対応についての市の見解を事業所に対しても明らかにして協力を仰ぐなど、地域で暮らすための深夜帯をめぐる環境を整えるべきだと考えますが、いかがですか。

C.このままでは障害者が地域で安心して生活出来ません。自立した生活が出来るように重度訪問介護の深夜時間帯について検討会を立ち上げるよう要望します。

◎ガイドラインの改定

国の動向をみながら2016年度中に改定作業を行うと、昨年回答がありました。重要な改定作業です。当事者団体へのヒアリングと事後のパブリックコメントだけでなく、広く当事者に委員を求め、検討委員会をたちあげてしっかり丁寧な作業をおこなってください。

②相談支援について

サービス等利用計画作成の義務化以降、神戸市でも計画に基づく支給決定が進んでいますが、現在の運用状況を回答してください。私たちは、自らの生活を自己決定するという当事者のエンパワメントの視点に立ったセルフプランの意義は大きいと考えます。相談支援事業所においては、真に障害者の必要に沿った計画を作成しようとすると、相談支援員の手間が大きく、また報酬も低いため、質のよいケアマネジメントができないのが実情です。結局、障害当事者の希望に沿ったプランニングが難しくなる現状があります。以上をふまえ相談支援の神戸市の現状を課題について、ご説明ください。(文章回答)

③重度訪問介護/対象拡大

2014年4月から「重度訪問介護の対象拡大」が実施されています。神戸市で知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用に至ったケースについて、情報提供をお願いします(資料提供)。対象拡大以降、対象者に対する周知が不十分だと考えます。障害の重い知的障害者、精神障害者の地域での自立した生活の促進のためにも、重度訪問介護の対象拡大は大きな可能性があります。強く周知と推進に取り組んでください。また行動援護に係る事業所数の見込みについて教えてください。(文章回答)

入院時コミュニケーション支援事業

○実績と知的障害者への拡大について

入院時コミュニケーション支援事業の今年度の利用者数及び時間数の実績をお答えください。また2015年度から、対象者が重度の知的障害及び障害児へも拡大されましたが、拡大した対象者に該当する知的障害者・児童は市内に何人いてどのくらい利用しているのか、ご回答ください。(文章回答)

○体調不良によるコミュニケーション困難等の事例への対応について

どんなに重度で家族支援が不可能な当事者も、支援区分決定時に「コミュニケーション可」と認定されれば、この施策の対象とはならないとされてきました。入院に至る体調不良の状況により、コミュニケーションが無理になる場合等もあるので、支援区分調査時の聞き取りがきわめて重要です。区の担当者が聞き取りを慎重に行い、制度対象者には事前に予備的申請を行うよう情報提供を行うとともに、予備的申請ができていない障害者から入院中の制度利用の申し出があった場合は、その都度の聞き取りをしっかり行い柔軟に対応できるように、要綱等の改善を行ってください。(文章回答)

◎国の新規制度との関連について/制度の対象拡大

2018年度より、神戸市単独のこの事業と同様な事業が、国の制度として確立される予定です。その際、神戸市のこの単独事業の位置づけはどうなるのか、「国の様子を注視する」というだけではなく、より踏み込んだご回答をお願いできればと思います。また、大阪市では支援区分が5以上の障害者が利用可能ですが、それを踏まえ、対象者の支援区分拡大ならびに時間数の増加を検討してください。

⑤移動支援

○支給時間数の柔軟な運用/時間数を超えた障害者実数の把握

移動支援について、現在のような一律の時間数支給ではなく、一人一人の生活ニーズに基づいた時間数の決定をできるようにすることを要望します。社会生活上不可欠な外出については、基礎時間の50時間を超えて支給決定ができることを各区に周知するとともに、現在50時間を超えて支給決定を行っている障害者の人数を明らかにしてください。(文章回答)

◎通所・通学における送迎のあり方について

通所・通学における送迎ニーズは高く、主たる介護者の病気時などに短期間のガイド利用は認められていますが、それでは対応しきれないのが実状です。横浜市など通所・通学における介護保障として移動支援を展開している自治体もあります。通所・通学におけるガイド利用について神戸市の見解をお尋ねします。またグループ型ガイドについての見解もあわせてお尋ねします。

介護保険との適用関係

65歳を境に、障害者にも総合支援法から介護保険への移行が進められています(介護保険優先原則)。介護保険になると、総合支援法によって受給できていたサービスが受給できなくなる可能性があり、実際、神戸市内の障問連関連団体の生活介護事業所においても、65歳を過ぎた障害者が使えなくなる恐れがあるという例が出てきています。介護の必要性は年齢で区切られるべきものではありません。65歳を過ぎても、必要なサービスが受けられるような継続した制度運用がなされるべきであることは、厚生労働省からも通達が出ています。これを踏まえ、65歳を過ぎれば一律に介護保険に移行するなどの機械的な制度運用ではなく、個々のニーズにきちんと対応する形での制度運用をお願いします。

(2)施設入所者の地域移行について

①基本認識と長期的な施策

「施設から地域へ」という理念は、障害者福祉において世界的な潮流です。しかし現実的に、障害児者の少なくない保護者が将来的に施設入所を希望され、ニーズがとても高い短期入所の多くが入所施設により担われています。一方障害者基本法に地域での共生が謳われ、入所施設からの地域移行は強く求められる課題です。以下の課題に沿って、率直に意見交換を行いたいと思います。

・  現在入所されている方、今後入所を希望される方の自己決定ならびに意思決定のあり方

・  障害福祉サービス等利用計画での将来生活に関する支援員の方々の意識改革

・  障害児者の保護者が地域生活を志向できるようなエンパワメント

・  在宅にある主に若年障害当事者の方が、自ら地域で生活していくためのエンパワメント

・  障害の重い方の地域での重度訪問介護等を活用した自立生活やシェアハウス等の新たな暮らしの形態、神戸市独自のグループホーム施策の強化事業など、幅広い地域生活の形態の開拓と共有化

・  地域生活を支える人材の飛躍的な拡大のために必要な施策の検討

・  入所施設の機能を、短期入所も含めた地域生活を支えるバックアップ機能を重点におく

・  入所施設が地域移行を積極的に促すインセンティブ

・  施設入所者が様々な社会体験をするため、自由に外出できるために必要な施策

②地域定着事業・地域移行事業について

神戸市における地域定着事業、地域移行事業の実績について、具体的な数字をもって示してください。また、施設の入居者が自立生活をしたいと思っても、相談支援事業者につなげるために施設入居者が相談しようと思っても、相談相手が施設の職員では自立したいという気持ちが伝えられるでしょうか。施設の入居者が、安心して相談支援事業者につなげられる当事者主体の相談機関の設立を求めます。(文章回答)

③施設入所障害者の移動支援利用について

障害者の地域移行を促進していくためにも、施設入所者の移動支援は必要だと考えます。外に出て行き経験をつまないと地域生活のイメージができません。しかし現在、施設障害者の移動制度がないため、地域移行のチャンスが阻まれています。施設入所者にもガイドヘルパー制度を適用してください。(文章回答)

(3)グループホームについて
①グループホーム数及び地域偏在、公営住宅での開設について

神戸市におけるグループホームの数は、計画通りに推移しているのか、進捗状況をあきらかにしてください。特にグループホームは北区・西区に偏在し、東部地域で極端に少ない「地域偏在」が認められます。東部地域で、グループホームの確保にどのような施策を講じてどの程度進展しているのか、区ごとの目標数値と進捗状況の数値をあげて説明して下さい。また、公営住宅を活用したホームの設置はどのような状況にあるのか、福祉担当部局、住宅担当部局双方から昨年度からの進捗状況と、今後の計画について回答を求めます。

スプリンクラーの設置について

スプリンクラーの設置が2018年3月末までに義務付けされます。ますますグループホームの新設が困難になり、死活問題です。以下要望します。

・  大阪府は43市町と共に消防庁に設置基準緩和を求める要望書を2015年12月に提出しました。神戸市としても、消防庁ならびに国に設置基準の緩和を要望してください。

・  スプリンクラーは賃貸住居の場合には、構造上の問題、家主の許可、多大な費用負担など大きなハードルがあります。神戸市でスプリンクラー設置や自動火災報知器、消防署への通報設備なども含めた設置費用助成をいつでも臨機応変に受けれるような仕組みを要望します。神戸市としてもグループホームは重要施策とされており、具体的にどうすればよいのか、前向きな意見交換をお願いします。

③サテライト型グループホームについて

いわゆる「グループホームのサテライト型方式」制度を利用して居住されている障害者、あるいはこの制度を利用してグループホームからの支援を受けつつ自立生活を目指そうとされている障害者が、加盟団体の中にもおられます。この制度の利用期間が、最長3年利用可能となっています。しかし自立生活を営む上で、ヘルパーや介護者との関係性をはぐくんでいくことを考慮すれば、3年という期間を区切ることで、ヘルパー等が離れるなどして生活が立ち行かなくなることが考えられます。サテライト型グループホームに関して、無期限の利用、あるいは利用期間の上限について柔軟な運用をお願いします。


【 6.生活介護、就労系等日中活動について 】

生活介護事業所は北区・西区に偏在し、東部地域で極端に少ない事態は改善されていません。東灘区・中央区に生活介護事業所が開設されましたが、状況がどう推移しているのか、神戸市の計画をご提示のうえ、その通りに進んでいるのか、区ごとの数値をもって示してください。またこうした大規模法人施設の建設は、施設から地域へという時代の趨勢に適わないばかりでなく、地域のニーズに即応した受け入れ態勢を準備するという課題には適していません。時宜に適った社会資源準備にかんしてより適性がある小規模な事業所設立を推進する環境を整備するよう強く求めます。


7.その他

(1)差別解消条例について

地域におけるあたりまえの生活と共に生きる社会の実現のためには、実効性のある仕組みづくりが肝要です。2016年4月からの差別解消法の実施をうけて神戸市における差別解消条例について、早期の実現を強く要望します。現在の検討状況を説明して下さい。(文章回答)

(2)神戸市障害者施策推進協議会における「当事者」の割合について

神戸市における障害者計画の制定に向けて、障問連事務局長の石橋も「当事者委員」として推進協に参画しております。委員構成に関し、「学識経験者、医療関係者、障害者団体及び障害者を支援する団体、地域で障害者を支援する団体」とあり、ホームページで構成員を公開されていますが、障害者本人の利害と、障害者の家族、あるいは障害者の支援者の利害とは必ずしも一致しません。障害者計画の策定にあたっては、私たち障問連はまずは障害者本人の意見を聞くべきであると考えます。2017年3月の委員改選にあたり、「当事者」の範囲を明確にされること、わけても障害者本人を多く委員に選出されることを望みます。(文章回答)

 

以上

 

 

神戸市長

久元 喜造  様

神戸市教育委員会

雪村 新之助 様

2016年10月13日

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

2016年度  精神障害者問題に関する要望書

 

【1.交通】

 

①  精神障害者の交通運賃について、「全国精神保健福祉下位連合会」が60万筆以上の国会請願署名を提出し、国に対して強く要望しています。神戸市内の状況は、神戸新交通以外の鉄道事業者で割引を行っている事業者はありません。積極的に各事業者に働きかけてください。

②  精神保健福祉手帳2級や3級の者も移動支援等を利用して介護者がいなければ外出が困難な障害者がいます。全国的には1級の者しか介護者付割引を認めていない事業者もありますが、2級や3級の者も認めている事業者もあります。単独で外出が困難で移動支援を利用する精神障害者には他障害者と同様に介護者付割引が実現できるよう、市としての考え方を示していただき、各事業者にも働きかけてください。

③  ホームにいると強迫観念や幻聴や妄想などのためにパニックになり、ホームから落ちそうになることがあります。ホームドアなどの設置が望ましいですが、それまでの対策として、JRで実施されているように、ベンチを線路と垂直にする事でホームから落ちるという恐怖感やパニックを和らげることがあります。ベンチを線路と垂直にする事、またパニック時に休憩できるようなスペースを設置するよう事業者に周知してください。精神障害者だけでなく、高齢者や様々な利用者にとってユニバーサルなあり方を要望します。

④  精神障害者でも心理的負担なしにシルバーシートが利用できるように「体調が悪い人はすべて利用できること」を表すようなマークや、説明の文言をつけるなど配慮を行うよう事業者に周知してください。

 

【2.地域移行~退院促進】

 

① 精神障害者のグループホームは地域移行にとっても重要です。それだけでなく、家族と同居している精神障害者が自立生活を実現するステップとしても必要性が高いと考えます。様々な理由でグループホームが増えない中では、1年~2年の短期利用からホームヘルプ等を活用した1人暮らしにチャレンジできるような体制も必要だと考えます。神戸市の考えをお示しください。

② 平成27年度末の時点で、神戸市内にグループホームが何箇所あり、何人利用しているか、資料をもって回答してください。(資料提供)

③ 精神障害者にとって住宅は重要です。民間の賃貸住宅に精神障害をオープンにして申し込むことは勇気がいり、入居差別も覚悟しなければなりません。その意味でも、公営住宅は社会的入院解消のための地域の受け皿として重要なだけでなく、精神疾患の病状・症状そして経済的困窮度の高い当事者には重要である。空き室があるのになかなか入居が促進されません。精神障害者の公営住宅入居について積極的な施策を講じてください。

④ 公営住宅に入居した精神障害者が自治会の役員や掃除を担う事は困難で症状悪化になる場合もあるが、断れば近隣住民との関係が悪化しかねません。しかし公営住宅の管理は民間事業者に丸投げされています。以下の質問に回答してください。

・  管理を委託する民間事業者に精神障害者の入居者への配慮、サポートを市として行ってください。

・  「地域生活支援事業」国の要綱には、「居住支援のための関係機関によるサポート体制の調整」として「利用者の生活上の課題に応じ、関係機関から必要な支援を受けることができるよう調整を行う」と居住サポート事業を位置付けています。神戸市において居住サポート事業がどのように実施されているのか報告して下さい。

 

【3.精神障害者の介護保障等、地域生活】

① 平成27年度の精神障害者に特化した居宅介護の利用者数・利用時間について資料で持って回答して下さい。(資料提供)

② 精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した平成27年度の利用者数と利用時間について資料で持って回答して下さい。(資料提供)

 

【4.就労・障害年金】

① 中度、重度の精神障害者でも症状が安定している人の就労促進には、企業内でのワークシェア、サポート体制、合理的配慮の提供などが必要です。それに向け、市として各企業に対して啓発、研修を促進してください。具体的な取り組みを回答してください。

② 精神障害者の年金や精神保健福祉手帳の申請の際、医師が意見書を記入します。しかし、症状だけで判断し、多くの人が「生活障害」を抱えている事を理解しない医師がおり、医師の認識の格差も大きく感じます。是非、当事者の意見を聞いていただき、医師会や精神神経科診療所協会などに情報提供してください。

 

【5.保健・医療・衛生について】

① 重度障害者医療費助成を精神障害2級拡大については、財政負担により制度存続が第一と毎年回答されていますが、他障害の「重度」の捉え方との整合性が図られているのか、また精神障害2級の障害者の中にも就労が困難な者が多くおり、一定の所得制限を課すという条件での2級への拡大について前向きに検討してください。

②「医療観察法」については、「法律の成立過程から、事実上の保安処分、精神障害者を社会から隔離させる狙いと批判が多かったが、それが現実になりつつある。懸念された強制入院の長期化が進んでいる」と報道されています。神戸市に居住していた精神障害者が何人、医療観察法の対象になっているのか、どこに問い合わせればよいのか教えてください。

以上

 

神戸市とのオールラウンド交渉 日程

日時:20161219日(月) 10301730

場所:神戸市立心身障害福祉センター 3階大会議室

みなさん、ぜひご参加のほどよろしくお願いいたします。

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