国/県の制度 オールラウンド交渉

【速報 ~ 兵庫県とのオールラウンド交渉】 兵庫県が新たに設置検討する措置解除の「第三者機関」に関する緊急要望

障問連事務局

11月2日、兵庫県民会館において、オールラウンド交渉が行われました。様々な課題に対する県回答等の報告は、次号で行いますが、相模原市津久井やまゆり園での殺傷事件に対する、8月1日井戸知事の定例記者会見、及びその後の報道によれば、措置入院から退院に際して措置解除の際に新たな第三者機関の設置検討を行うとされているため、要望書にはありませんでしたが、障問連ならびに精神障害当事者個人も含め、要望書を提出し、特別意見交換として交渉冒頭に話し合いました。

7月26日の同事件発生の直後である8月1日、記者会見において記者から相模原市での事件に関するコメントを求められ、井戸知事は回答されましたが、私たちが問題視している発言は以下の内容です。

「・・・退院、退所といった時には、客観的な第三者機関などできちんと判定がなされた上でなければ社会にカムバックさせないというような安全装置をきちんと作る必要があるのではないかと感じました」

精神科病院からの地域移行を、より積極的に推進していく必要がある現在、「社会にカムバックさせない」という、逆行するような明らかに不適切な表現、また「安全装置」という、決して本人でなく社会防衛思想とも読み取れるような、あたかも措置入院した精神障害者は危険だという偏見を増長させるような発言を、私たちは容認できません。相模原市の事件に対して、8月20日京都新聞社説には「・・・退院の判断を厳しくし退院後の監視を求める風潮が強まらないかと心配する。医療は患者との信頼関係が第一であり、犯罪予防を期待するのは筋違いとの指摘もある。措置入院が犯罪の予防拘禁に使われてはなるまい。精神障害者に対する人権侵害の歴史を踏まえて、慎重な議論を求めたい」と報じられています。また日本精神神経学会や障害者団体からも同様の意見が上げられています。提出した要望書の項目は以下です。

 

一、 精神障害者本人の意思によらない入院は最小化できるよう、地域社会での支援体制を手厚く構築し誰もが排除されない共生社会に向け、積極的な施策を推進して下さい。

二、 措置入院解除の際に新たな第三者機関の検討については見あわせて下さい。

三、 今年8月にまとめられた「精神保健医療体制の推進~措置入院者等が退院後も必要な支援を中断することなく、地域で暮らせる支援体制の整備に向けて~」が、隔離強化にならないよう地域で本人中心支援として構築できるように推し進めて下さい。

四、 地域との隔離につながらないような施設の防犯対策を行って下さい。

五、 相模原市の事件を受けた兵庫県の取組みを検討され、「共生社会に向けたメッセージ」を県民に向けて表明してください。

 

10月26日、近隣の大阪府、大阪市は障害福祉局長名で、相模原事件で傷つく障害者府民・市民に励ましのメッセージを発表しました。事件をどう受け止めるのか、違いは明らかです。同事件の根底にある優生思想については、かつて兵庫県で行われた「不幸な子どもの生まれない運動」も反省すべきではないのか、そのように要望しました。交渉時間が20分しかなく、十分な回答は得られませんでしたが、次号で提出した要望書と回答内容を報告します。障問連として引き続き動向を注視し、何らかの取り組みを検討していきたいと思います。

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