介護保障

【報告/案内】 障害者の介護保障を考える会の取り組み

星屋和彦(障害者の介護保障を考える会・事務局)

 

■前回の例会報告

6月11日(土)に行われた「障害者の介護保障を考える会」第7回・例会の報告です。新しく相談に来られた当事者の方や、4名の弁護士の方々も交え、総勢16名での例会となりました。

 

(1)相談事案

相談ケース1

前回も参加・相談された、深夜は巡回サービスを利用しているが、今年になって巡回に来ている事業所の1つが巡回から撤退して困っているという方からその後の報告と相談。撤退する事業所と支援センターで他の巡回を探したが見つからないので深夜を重度訪問介護で申請することになり、その為の医師意見書提出を区から求められていた。意見書は深夜の介護の必要性を認める文言できっちり書いてもらえたので、介護日誌などと共に資料として提出。審査会の結果待ち。しかし、今年の1月に深夜巡回が1回減って以来、その時間帯は紙パンツとビニールシートで過ごさざるを得ない状況が半年近く続いているのに、現状はそのまま放置されている。巡回サービスが可能な事業所がそもそも少ないのにそんな支給決定をする神戸市に憤慨しながらも、現在も区役所の返事待ち。

 

相談ケース2

初相談の方。介護を担っていたご家族の急なご不幸で、施設入所せざるを得なくなり、そのまま10年。一度は退所直前までいくも体調不良で入院になり、退所もその時点では諦めなくてはならなかった。いろいろやりたい活動があるので、なんとか地域の生活に戻りたいがどこから進めたら良いかという相談。障害サービスで入所してそのまま65歳を迎えたので、入所している限りは適用除外で障害サービスのままだが、いま退所するとなると介護保険を使わなくてはならなくなるのが不安。介護保険の自己負担額の問題や、介護保険を使っても十分な介護体制を組めるのかという情報が何もない。まずはご本人の「夢プラン」を真摯に聞いてくれる相談支援事業所と連携していくことからでは?というアドバイス。考える会も連携をバックアップしていく。

 

相談ケース3

前回に引き続き、深夜時間帯に介護が必要なのに「1時間×3回」でしか支給決定されておらず困っているという方の支援者から、その後の経過報告。前回の弁護士からの助言を踏まえ、不服審査請求するに足る却下理由の文書での回答を求めると、口頭では出来るが文書回答は出来ないと言われる。理由は「申請の拒否という『不利益処分』ではなく単なる『支給決定』なので」というもの。弁護士からの再びの助言を得て、「却下を口頭で伝えるのみで文書回答がなく詳しい理由がわからない」という「却下理由の開示」だけを争点に審査請求をすることにした。介護時間に関しても、24時間介護が必要という医師意見書も更新の時に新たに提出し、理由開示の審査請求とリンクさせながらの交渉を進めていく。

 

相談ケース4

深夜帯の時間数交渉をしてきて、深夜4.5時間抜きの支給しか認められない、ということで去年の秋から弁護団と一緒に交渉されている方の経過報告。「支給量変更の必要がある事案とは認められなかった」との区のたった2行の文書回答に対し,支給量変更の必要がある事案と認めなかった具体的な理由、そして「重度訪問介護」の意義について区はどんな解釈をしているのか、を開示するよう「求釈明書」を作成・提出。8月の誕生月に向けて変更申請と行政交渉を粘り強く進めていく。

 

相談ケース5

障問連を通しての相談で文書参加。生活介護や重度訪問介護を利用する方が、来年1月に65歳を迎えられ、すでに行政・介護保険ケアマネージャー・障害相談支援事業相談員での相談が始まっているが、ケアマネが全く障害者制度について無理解。「介護保険への円滑な移行」は、介護保険制度に慣れてもらう事だとされ、現在重度訪問介護や他人介護料も利用した24時間介護にあることに疑問を呈するような状態。この相談者の居住地域は特に制度運用が厳しく皆さんが苦労されているとのことで、考える会に参加いただいている弁護士ネットの弁護士や、その地域の障害当事者や弁護士などとの連携を目指し、障問連と考える会の共催という形で現地での学習会開催を前向きに検討していくことに。

 

(2)情報提供

■昨年度に兵庫県が、「高齢障害者のケアマネジメントを充実・強化し、年齢による切れ目のない支援を実現するため、特に相談支援専門員と介護支援専門員の連携確保に着目した調査研究」を目的として、「高齢障害者ケアマネジメント充実強化事業」が、一般社団法人兵庫県相談支援ネットワークに委託して実施され、報告書がまとめられた。(※別項参照)

障害者が65歳を迎えてもその人らしい生活を実現する本人中心のケアマネジメントの理念が強調され、介護保険制度になりサービスが減ぜられる等、誤った運用を行う自治体や事業者の認識を改革する意味では評価できる。この一般社団法人の代表は玉木幸則さん。

 

■介護保険と障害サービスの適用関係の問題が、上記相談ケース2や6の他にも複数上がってきている。神戸市では介護保険年齢になり要介護認定の調査をして「要支援」や「非該当」になった場合は、それまでにどんな障害サービスでの利用があったとしても一律で最大20時間という支給決定になり65歳を境に介護時間数が減り生活が大きく後退するという問題がある、と参加者からの意見があった。これについては弁護士からは「必要な介護を積み上げていくだけでも、20時間は越えると思うので、もっと必要なんだという根拠になる」「介護保険的に自立で、重度ではないから20時間で、というのは障害特性を全く考慮していないので明らかにおかしい」と意見いただいた。今後の大きな課題になりそうなので、兵庫県下の状況や情報をもっと集めていけたらと考えている。

 

次回介護保障を考える会・例会のご案内

日時:8月27日(土) 13時半から16時半

場所:神戸市東部在宅センター

興味がある方、介護のことで困っておられる方はぜひご参加ください!初参加、歓迎です(事前に連絡いただけますと助かります)。

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