介護保障

【報告】 「障害者の介護保障を考える会」 例会報告

野橋順子(障害者の介護保障を考える会事務局長)

 

以下、4月23日に行われた「障害者の介護保障を考える会」例会の報告です。新しく参加された方、弁護士の方々も交え、活発に議論されました。

 

1.学習会について

「会」設立1周年のイベントとして、介護保障の会の活動報告と『総合支援法の3年後の見直しについて』をテーマとして、5月5日に学習会を開催。その打ち合わせをしました。頑張って広く呼びかけること、参加者から介護支給問題で相談したい内容とか、感想はアンケートに書いてもらう事を決めました。また「会」の広報としてリーフレットの内容も相談しました。十分できていませんが、介護支給量に関する実態調査の集計結果も途中報告も行う予定です。

 

2.相談事案

相談ケース1

入所施設から出て神戸で一人暮らしを10年されている方。口コミで会の事を知り初めての参加。介護時間は、朝8時から24時までは支給されているが、深夜は巡回サービスを利用。今年になって、巡回に来ている事業所が派遣取りやめになった。辞める事業所と支援センターで巡回事業所探したが見つからない。巡回サービスが可能な事業所がそもそも少ない事、そんな実態を行政が把握していないことに憤慨されていた。神戸市全体で10箇所あるかどうか。事業所がないのに「巡回しか認められません」というのはおかしい。現在も区役所と協議中。

相談ケース2

視覚障害があり、夜に車に足をひかれた。しばらくは保険でヘルパーを対応していた。身体的な怪我もあるが精神面で恐怖心があり後遺障害が残った。保険対応にも限界がありこれまで以上にガイドヘルプが必要だが、神戸市の場合、同行援護にも実質上限があり困っている。

相談ケース3

支援者からの相談。今支給されているのが、深夜時間帯「1時間×3」。深夜の介護業務記録も付けているが、認められない。前回の弁護士からの助言を踏まえ、却下理由を文書での回答を求めたが、口頭では出来るけど、神戸市は文章で出せないと言われる。「できない理由を回答してほしい」と聴いても、「他の人にもしていないから」と理由にもならない説明しかされない。

相談ケース4

深夜帯の時間数交渉をしてきて、深夜4.5時間抜きしか認められない。去年の秋から弁護団と一緒に交渉。毎日の介護記録も3カ月を資料として提出したが、時間数増やす変更申請が却下された。理由はたった2行。理由は明確に説明されない。

長期戦になると思われる。県への審査請求を行うこともできるが、今の時点では、行政交渉を粘り強く進めていく。

 

3.総論 ~主に弁護士からの助言~

■不利益処分の理由は文書によりしめさなければならない

弁護士から「行政手続法」について説明があった。「許認可の申請等により、特に不利益処分になった場合には、書面にてその理由をしめさなければならない」とされている。不利益処分された場合、それを不服として審査請求する権利があるが、理由も示されなければ審査請求もできなくなる。このような法律によっても、神戸市が文書により回答しないことは違法であるので、粘り強く窓口で要求していくことが確認されました。

■深夜時間帯について

窓口での交渉の中で、深夜時間の問題について、行政は特に見守りに関して「必要性は認めるが、見守りに関して見解の相違」として却下する。以前、障問連の交渉でも、神戸市は「命の危険性があるかどうか」という。今回、文書による回答があった場合、そのように回答するかどうか分からないが、命に危険が及ぶ事を回避するのは当たり前のことで、総合支援法以前の問題。ではどのように理由を示すのかが重要。例会での相談でも、窓口協議の中で、本人が全く納得せず多大な自己負担を強いられ大きな不利益があるのに認めないのは、何ら協議調整にはなっていない。

弁護士の方々の助言はとても心強いが、長期戦になり、法的理由を根拠とした追求と共に、運動としてどう取り組んで行くのか、別途協議が必要だろうと議論されました。また全国的にも、また兵庫県内でも自治体により格差が大きく、1日16時間までは認められる自治体が多いそうです。西宮市ではこれまでどんなに障害が重い人でも、深夜時間については一律4.5時間支給しか認められませんでしたが、今回、主に医療的ケアを必要とする障害者には8時間支給が認められたそうです。5月5日大阪の障害者団体で活躍されている細井さんが来られるので、細井さんからも助言頂き、会としても検討していきたい。

■その他

以下のような、ヘルパーの資格要件の情報・・・いつ間にか変わっていた!!ということもあり、また重度訪問介護が対象拡大になったが、従事者養成研修の内容は変わっていないが・・・等、情報提供されました。

 

○神戸市のガイドヘルプ従業者資格の扱いが少しかわったらしいとの報告がありました。

・肢体障害者は介護福祉士と実務者研修修了者、看護士が可能になりました。

会議では介護職員基礎研修もといいましたが、確認したら介護職員基礎研修は×で看護士が

OKでした。

・知的障害者、精神障害者は重度訪問介護研修修了者が活動可能になりました。

 

 

 

次回介護保障の会・例会

6月11日土曜日 13時半から16時半

場所:神戸市東部在宅センター

興味がある方はご参加ください!

5月5日の講演会(案内は別ページに掲載)もぜひ皆さんご参加ください!

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