国/県の制度

【報告】 兵庫県障害福祉審議会報告① ~兵庫県の差別解消の取組について~

障問連事務局

 

3月1日、兵庫県学校厚生会館において、2015年度2回目の審議会が開催され、障問連から3人が傍聴に行きました。今年度の審議会では春から秋にかけて、次年度から始まる差別解消に向けた検討、とりわけ研究会まで設けて県条例の検討を県庁障害福祉課として積極的に行われましたが、残念ながら条例制定には至りませんでした。

今回の審議会では短い時間で多くの課題が論議され、審議会の大きな役割である障害者計画の進捗に関してはほとんど議論されず、差別解消に係る「県職員等の対応要領」「差別解消に向けた県の考え方・体制」等の説明に多くの時間が費やされました。この点を中心に報告したいと思います。また「差別解消支援地域協議会」に対して意見提案等を行う「障害者委員会」が「①開かれた政策形成 ②障害当事者による参画」をコンセプトにより設置されます。その委員として障問連に対して委嘱の通知がありました。

今号では兵庫県の「条例に対する考え方」、「課題となった論点」について、以下に報告します。

 

■条例の制定に対する県の考え方

①障害者差別解消法の施行により、事業者に対する主務大臣(個別法で監査・指導権限が下りている場合は県知事・市町長等)による報告徴収や韓国党が可能になり、条例の有無に関わらず、行政指導を行うための基本的な仕組みが整う。

 

②諸外国では、行政指導だけでなく行政処分(差別的行為の取消・無効化)を行うための全国統一的な救済機関が設置されており、実効的な救済(行政処分)を行うには法レベルでの対応・見直しを要する。

 

差別解消法に係る自公民三党合意において「紛争解決は既存機関の活用を図る」とされ、その主旨に基づき、既存の相談機能の充実及び法務局等関係機関との連携強化により、紛争解決等を図る。

 

④障害者福祉施策に関する調査・審議等を行う「兵庫県障害福祉審議会」(県の附属機関)に、障害者差別に係る情報無・意見交換を行う「障害者差別解消支援地域協議会」の機能を持たせることで、事例収集及び分析等のための基本的機能を構築する

 

県職員対応要領の作成、啓発セミナーの実施等、差別解消法の規定に基づく基本施策を着実に実施するとともに、県民・事業者向けガイド(事例集)の作成や合理的配慮の提供に係る事業者支援等、県独自の先進的な関連施策の充実に努める。

 

■条例検討に際して課題となった論点

論点 主な論点 条例によって想定される対応 課題等
 

障害者差別解消法では、事業分野ごとに主務大臣に事業者への勧告権限が付与されているが、個人による差別的行為に対する迅速な対応が期待できないのではないか。 知事に助言・勧告等の権限を与えることで対応(横出し)。知事が横断的に勧告 個人については、思想・信条・結社の自由等が憲法で保障されており、差別行為の判定が(第三者委員会の判定であったとしても)憲法違反となる可能性が否定できない
 

障害者差別解消法では、事業者によるサービス提供における合理的配慮の不提供の禁止は努力義務に留まり、実効性に欠けるのではないか。 サービス提供分野についても事業者の対応を法的義務化(上乗せ) 求められる配慮は様々であり、企業規模・業種等によっても異なるため、一律的で過度な規制は事業者を委縮または経済活動を阻害し、ひいては障害者雇用等にも影響を及ぼす可能性がある。
 

障害者差別解消法では、事業者による違法行為の「勧告を前提とした相談・申出先」が国となり、行動範囲や意思表明手段が限定される障害者に負担がおおきいのではないか。 相談・あっせんの申出先に県知事を追加 差部に関する監査指導は国と地方での分担管理とされ(施行令)、所管外分野まで県知事が担うと権限の重複が発生する。→ただし、身近な相談先として整備の必要あり

 

 

■合理的配慮アドバイザー制度

○仕組み

①企業は合理的配慮アドバイザー(障害者雇用・対応等のエキスパート)から、無償で助言の提供等を受け、自社に必要な合理的配慮の提供を構築する事ができる。

②県は、合理的配慮アドバイザーに必要な経費(謝金・旅費等)を支給する。

○アドバイザーの業務

①事業者に対して合理的配慮の助言を行う

②差別解消に関する理解を深めるための学習会等に対して助言を行う(研修会の講師)

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