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【報告】 障害者総合支援法3年後の見直しの内容

障問連事務局

この4月から総合支援法の見直しが行われます。厚労省主管課長会議を経、3月17~18日には兵庫県、神戸市により事業所説明会が行われました。主だった、特に新たなサービス内容を報告します。

 

■(訪問先の拡大)医療機関に入院中に重度訪問介護が利用可能

○対象・・・区分6の最重度障害者

(肢体不自由者  知的・精神障害者で日常的に重度訪問介護を利用するもの)

○支援内容

・利用者ごとに異なる特殊な介護方法(例 体位変換)について医療従事者に的確に伝達する。

・強い不安や恐怖等による混乱を防ぐため、本人に合った環境や生活習慣を医療従事者に伝達する。

 

■(新規)地域生活を支援する「自立生活援助」の創設

○理由・・・グループホームの見直しの中で、1人暮らしを希望する知的・精神障害者に一定の期間、定期的な訪問により、生活力等を補う。

○対象・・・施設やグループホームを利用していた障害者で1人暮らしを希望する者

○支援内容

・定期的に利用者の居宅を訪問し、「食事・洗濯・掃除などに課題はないか」「公共料金や家賃に滞納はないか」「体調の変化、通院はしているか」「地域住民との関係は良好か」などについて確認し、必要な助言を関係機関に行う。

・定期的な訪問以外に、利用者からの相談・養成があれば、訪問、電話等により随時行う。

 

■(新規軽減策)高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用

○解説・・・3年後の見直しの中でも重点課題。介護保険に移行した途端に過重な利用者負担の問題を解消するための軽減策。根本的な解決には至らなかった。

○対象・・・相当の長期間、障害福祉サービスを利用してきた障害者。一定程度以上の障害支援区分の者。低所得者。→ 具体的な要件は、今後、政令で示される。

○内容

・利用者負担額の軽減・・・一旦支払い、後で返金される償還方式

・障害福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすく等の仕組み

 

■(新規)就労定着に向けた支援を行う新たな「就労定着支援」の創設

○解説・・・一般就労への支援を行うサービスは「就労移行支援」があるが、離職率が高いことが課題としてあり、就労に伴う生活面の課題に対応できるよう、一定の期間にわたり就労定着支援を行う。

○対象・・・就労移行支援等の利用を経て一般就労している障害者で、就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている者。

○支援内容・・・生活面の課題を把握し、企業や関係機関との連絡調整や課題解決に向けて支援する。

 

■(新規)重度の障害児童に対し「居宅訪問型児童発達支援」の創設

○対象・・・重症心身障害児などの重度の障害児で、外出する事も困難で児童発達支援・通所支援を受けられない者。

○支援内容・・・障害児の居宅を訪問し、日常生活の基本的な動作指導、知識技能の付与等の支援。

 

■(対象拡大)保育所等訪問支援の支援対象の拡大

○内容・・・乳児院や児童養護施設の入所者に占める障害児の割合が3割程度であるため、「保育所等訪問支援」の訪問先を、乳児院・児童養護施設にも拡大する。

 

■(自治体への体制整備の指導)医療的ケアを要する障害児に対する支援

○背景・・・NICU等に長期入院した後、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児が増加。

○内容・・・医療的ケアが必要な児童が、地域において必要な支援を円滑に受けられるよう、地方公共団体は保健・医療・福祉その他の関係機関との連絡調整を行うための体制整備について必要な措置を講じるように努めることとする。

 

■(自治体への指導)障害児のサービス提供体制の計画的な構築

○内容・・・児童福祉法に基づく障害児通所・入所支援などについて、サービスの提供体制を計画的に確保するため、都道府県及び市町村は「障害児福祉計画」を策定する等の見直しを行う。

○具体的な内容

・厚労大臣は基本的な指針を定める。

・都道府県、市町村は、基本指針に即して障害児福祉計画を策定する。

※現在の総合支援法に基づく障害福祉計画と一体のものとして策定できる。

○注意点・・・計画に定めるサービスの必要量に達している場合には、都道府県は放課後等デイサービス等の事業所等の指定をしないことができる。

 

■(指導強化)家事援助サービスの利用の適正化

○解説・・・比較的軽度の精神障害者等(支援区分1~2)の家事援助サービスの中に「相談が多い」「同居する家族が家事援助を行えるのに利用している」等の指摘が社保審等でも指摘されたため「適切な運用に向けた留意事項」として通知された。

○対象・・・家族環境や本人の状態像の変化に比べ長時間(1時間以上)のサービスを利用している場合

○内容

・同居人の状況を確認し相談を目的とした長時間利用の場合には、原則、支給決定を行わない。

・定期的に居宅介護事業所や相談支援事業所から利用状況の確認を行う。

 

■意見・・・「障害福祉サービス等の情報公開」「自治体による調査事務・審査事務の効率化」等あるが、事業所数や利用者数の倍増など、新規サービスはあるものの、基本的に財務省の意向も受けた、サービスの抑制を意図した内容だと思われます。

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