事業所交流会

【報告】 第5回事業所交流会の報告と次回の交流会のご案内

栗山和久

大変遅くなりましたが、12月6日に兵庫勤労市民センターで開催された「第5回事業所交流会」、全分科会ではありませんが、下記に報告させていただきます。当日はJRの事故により遅れての参加になった人がいたり、事前の日程調整が上手く行かず、参加団体がいつもより少なめではありましたが、活発に議論できました。

また、今回「初」の試みとして、「世代別分科会」を開催しました。定例の分科会(「通所系」「訪問系」「グループホーム」・・・今回は「経営労務」は中止→世代別のベテランが話すだろう・・・)を1時間半、開催し、続けて「世代別分科会」を開催しました。当初より「若手職員だけで話ししてみたい!!」との希望もあり、今回企画しました。「若手」「中堅」「ベテラン」と、自己申告に基づきそれぞれが参加しました。「ベテラン」分科会では、それぞれの法人や団体の設立から担ってきた職員や障害当事者の思いを語りつつ、まとまった議論にはなりませんでしたが、初顔合わせというだけでも意味があったのかと思います。また「グループホーム」分科会は、これから開設してみたいという方へのアドバイス的な内容でした。「通所系分科会」は今回、報告原稿が間に合わず、次号での掲載になります。以下、報告させていただき、最後に次回の案内を掲載します。ぜひ、ご一読下さい。

 

 

訪問系分科会報告 星屋和彦(自立生活センター神戸Beすけっと)

 

参加は、7団体・9名参加で行われました。

●ガイドヘルプについて

県下で差はあるものの、実施主体である各自治体から事業所への対応が厳しくなってきているのでは?という意見が出ました。

具体的には「ガイドの移動先を実績記録表に書きなさい」「どこで何を食べたか書きなさい」「日常品の買い物でガイド使用はだめ(家事援助を使いなさい)」「散髪中や映画を観ている時間は請求から抜きなさい」「ガイド使用する場合は自宅始まりでないとだめ」等々と事業所が行政から指摘されている例が実際にあるということです。

昨年末、障問連の県交渉で県に確認すると「ガイド開始が自宅始まりに限るというのは不適切と考える」「行き先を書くのは(利用者のプライバシーの面からいっても)駄目とは言えないが行き過ぎは良くない」という回答はありました。ただ「市町村が実施主体なので…」と言葉を濁すところも。今後も県下の問題として障問連も県に問い合わせなど行っていきたいということになりました。

●計画相談について

参加者から、計画相談の実態、特に計画相談事業所を入れてプランを立てることで、セルフプランよりも介護時間数が出やすくなることはあるの?という問いが出ました。行政のセルフプランへの印象があまりよくないのでは?という危惧もあるようでした。

それに対し、まず県下では市町村によっては計画相談がほとんど進んでいないところもある、という報告がありました。また、相談支援事業所が少なく計画作成が追い付かないため、障害者本人が作る「セルフプラン」が多数を占める市町村もあるなか、セルフプランは計画の後追いをする「モニタリング」がない等からあまり好ましくないとする市町も実際にある。県はどちらかというとこのスタンスにあるそうです。

相談支援事業所もそれぞれに特色があり、障害者の相談に真摯にのり障害者に寄り添ったプランを作ろうとする事業者と、行政寄りの役所の出先機関みたいな事業者もいる。どこを選ぶかによって違ってくるので、地域によって「どこの事業者がいい」という情報交換は大事かもという意見も出ました。そして、計画相談を支援員一人あたり何件までは担当しても良い、という決まりがなく、相談支援事業の報酬も少ないという現実があるので、たくさんの利用者の計画相談を引き受け、それぞれへの相談にはあまり時間をかけられない、という制度上の問題点もあるのでは、という指摘もありました。

基本は、セルフプランでも相談支援事業者によるプランでも、「どんなプランを作るか」、中味が大事。ただ、理想としては各地域に、拠点となる(障害者に寄り添った)相談支援事業所を作っていくことが、必要になるし大事になっていく。事業所交流会に参加している団体でも、新しく相談支援事業に乗り出す際に、交流会でつながりのできた他団体からアドバイスや情報提供してもらうなど、この交流会が生かせていけたら良いなと思いました。

●ヘルパーの育成

訪問介護は基本、現場では1対1なので、一度同行コーディネートを終えてしまうと、職員もなかなか後追い出来ず、障害者とヘルパーとの関係性に任せきりになってしまう部分が大きい。ヘルパーへの介護技術指導やヘルパー教育についてみんなはどうしてるの?という問いかけがありましたが、残念ながら今回は時間がなくて充分話せませんでした。

制度の勉強会は現在拓人さん中心に、交流会メンバーでも大々的に行われていますが、各団体の行う研修の情報共有や、共同での開催なども今後の課題の一つに出来たらと思いました。

 

 

世代別分科会・若手部会報告 加口大輔    (NPO法人ウィズアス)

 

若手部会では最初に自己紹介を行いました。自分の所属する法人の紹介とどんな部署で、どんな業務を行っているのか、またこの仕事に携わるようになったきっかけや個人的なプロフィール等も含めて1人ずつ話をしてもらいました。参加者の構成としては、所属部署は就労や居宅等様々で働き方や当事者の方と関わる場面も違っており、携わるようになって3年~5年の人がほとんどでした。

ようやく障害当事者の方との関わりに慣れ始めてきたなかで、自分の関わり方がこれでいいのか、他の同業者はどんな考え方や、スタンスで障害当事者と関わっているのか、という話題になりました。

その中で、「仕事として関わることを意識し、生活の部分には深く立ち入り過ぎないようにしている。自分がしんどくなってしまわない所を見極めながら関わる。」「長く関わることで分かることも分からないことも増えていく、分かっていないことがあるということを自覚しながら関わる。」「基本的に利用者主体であることは当然のこととした上で支援者としてどんな支援ができるか、その人にとって生活や人生がどんな形になっていくのが良いのかということも考えながら関わる」等々、普段の経験に基づいた意見が多くあがり、各々どんな考え方や思いを持ちながら活動しているのかを聞くことができました

続いて、職場環境の話になり、現在自分の働いている環境について意見交換を行いました。概ねどの法人も職員同士の関係は良好とのことでしたが、法人が大きいところでは、他部署の職員との接点がなく、同じ法人内で働いていても交流がない、中間世代が存在せず、世代間で距離ができてしまうこと等の話題があがりました。また、人材不足については業界全体の課題でもあり、新しい人材確保についてどのような取り組みをしているかを話し合った結果、最初の自己紹介で話題にあがった、自分自身がこの業界に携わるようになったきっかけを思い返し、自分たちがそうであったように潜在的には今の学生や若い人のなかにもこの業界と出会って興味を持ってくれる人はいるはずで、そういう人達と障害当事者が出会う機会や場所を作っていくことが大切という話になりました。

最後に、この交流会をきっかけに自分の法人で行っている取り組みと他団体の取り組みを繋げることができないか。事業所間の距離もあり、物理的な難しさはあるが、イベント開催等を通じて協力しあえる部分ができれば良いという話で締めくくりました。

 

 

世代別分科会・中堅部会報告 星屋和彦(自立生活センター神戸Beすけっと)

 

世代別分科会の中堅部会の報告です。司会をウィズアス・村上さんにお願いし、5団体・7人で行いました。初めての世代別分科会ということで、戸惑いながら話を進めていきましたが、まずはそれぞれの問題意識や現状認識を出していくところから始めました。

まず、運動を始め団体や事業所を立ち上げた上の世代から見ると、「中堅」は、これから徐々に引き継いでいく立場にあるけれど、まだまだ頼りなく思われているのではないか。団体や事業所の代表は今は障害当事者や当事者の親が多いが、次はそうではないかもしれない、という団体も多く、それだけに単なる「事業所」になっていってしまわないような理念や心意気の引き継ぎが大事になってくる。でもそこのところがまだまだ充分ではないと、中堅世代自身も思っている。

一方、若手に対しては、勉強会など開いて人権の話などしても「通じていないのでは」という不安がある。若手は、この業界に入ってきたからにはみんな優しいし一生懸命だし普段の活動には不満はないけど、ただ「言われたことを言われたからする」という感じが見えることがある。事業としてある程度成り立つにつれ、新しい職員は普通の就職先の「介護職」として入ってきた人が増えてきている。その人たちに「人権」といってもどこまで通じるのか。他方、いまは事業体となって事業を日々まわしていかないといけないので昔ほど余裕が無い。昔を多少知っている中堅職員は、昔はいい意味でのんびりだらだらさせてもらってたから、今の若手はそうさせてもらえないのが可哀そう、という感想もあった。あるいは、制度についてはしっかり学んでほしいけど、「制度マスター」になっちゃうとキチキチの堅い職員になってしまう心配もあるし。と、若手に対しては、一緒に頑張りたいという大前提の中にもいろいろ複雑な気持ちが入り混じる「中堅ごころ」が垣間見えたような気がします。

他には、障害当事者の中には今も運動を第一線で担っている人もいるが、事業所の「利用者さん」になっている人が増えている。それは、運動が目指してきた制度の充実やバリアフリーもそこそこ整ってきて運動しなくても生きていける、という、ある面では喜ばしい状況が出来てきたともいえるけど、これでいいのかなという想いもある、という意見も出ました。そんな中で、「みんなの労働文化センター」さんからの取り組み報告としては、「当事者会議」というものを行っているそうです。 そこでは、職員から言われたことではなく、自分たちで決めたことをしたいというメンバーさんからの提案があり、お出かけレクリエーションをメンバーさんたちが自分たちで決める取り組みを始めたそうです。なかなか会議が進まないこともあるけど、逆に良かれと思って今まで職員が決めてやっていたのが、実は当事者が迷うことを奪っていたと気付かされた。メンバーだけで話す場を作るのは大事だし、支援する側も制度が整ってきた分「当事者がどうやって生きたいのか、何をしたいのか」の支援に力を入れるときがきているのかもしれない、という意見がありました。

中堅・若手職員であれ、当事者であれ、「昔はもっと熱かった!」と言われても、経験してない世代はどうしようもないよね・・・という話もでました。ただ、開き直るわけではなく、「伝える」ということは、イコール「同じこと/正しいことを受け継ぐ」というだけではなく、中堅と若手で一緒に考えて「変えていく」のもありなのかな、もちろん今までの歴史はきっちり知ったうえ(伝えてもらったうえ)で、という意見もあり考えさせられました。

最後に「あなたはいま、働いてて楽しい?」という質問に全員順番に答えていきました。結論を言うと、「楽しい!」という人と「うむむ…」という人とほぼ半々。ご自分の団体の参加者がどう答えたかは、各自で探ってみてください。でも、やっぱり職員や支援者が楽しくなければ、メンバーさんや利用者さんの生活を楽しく生きやすくする支援なんて難しいよね、という感じでした。

今回の世代別分科会は初めての試みでしたが、ざっくばらんな話ができてとても良かったと思います。ぜひ次回も、中堅・若手部会にふるってご参加ください。

 

 

 

 

障害者の地域生活を支援する事業所連絡会参加事業所ならびに関係事業所のみなさま

障害者の地域生活を支援する事業所連絡会事務局(NPO法人拓人こうべ

第6回事業所交流会の開催について

拝啓 平素は障害者支援の活動にご尽力をいただきご苦労様です。

第6回事業所交流会を下記要領で開催いたしますので、是非お誘い合わせの上ご参加ください。今回も分科会形式により議論を深めたいと思います。交流会で取り上げたい課題/意見など、お寄せ下さい。

年度初めの慌ただしい時期でお忙しいことと思いますが、是非、ご参加ください。

 

日時:2016年4月17日(日) 午後1時30分から4時30分(予定)

場所:場所:新長田勤労市民センター3F 講習室1,2

(神戸市長田区若松町5丁目5−1(東急プラザ新長田)JR新長田駅下車 南側すぐ)

内容:分科会形式によるフリートーク、分科会終了後に全体会

<事業別分科会>

① 訪問系事業(ホームヘルプ、ガイドヘルプ)

② グループホーム

③ 通所系事業(就労継続支援B型、地域活動支援センター、生活介護など)

④ 経営・事業所管理・労務管理

<世代別分科会>

① 若手

② 中堅

③ ベテラン  ※どの分科会に参加するかは自己申告とします。

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