差別問題一般

【報告・連載】 障問連:人権シンポジウムでの各立場からの発言

池本和浩(部落解放同盟兵庫県連合会・事務局)

 

兵庫県内に219支部、約8000人の同盟員が登録し、兵庫県も広く24ブロックに編成しています。部落解放同盟は部落差別をはじめ、さまざまな差別の撤廃、解消をめざし、当事者団体と連携しながら取り組んでいます。現在、兵庫県連青年部は加古川、姫路、尼崎、宍粟の4ブロックから8人の青年を選出しています。

私は兵庫県尼崎市にある上の島という被差別地域で生まれ育ちました。上の島では、1950年代後半、部落に住む子どもの学力が一般地域の子どもと比べて相対的に低いことが問題視されはじめ、放課後、教師が青少年施設に出向き、学力促進、保証として解放学級があり、反差別、人権学習、平和学習などは子ども会活動を通じて学んできました。子ども会では自分を大切にすること、友達を思いやる、最後まで全員で協力してやり遂げることなど、日常の子ども会活動、キャンプなどを通じて学んできました。また5月、10月の節目には駅前で狭山事件「部落差別を理由とした、石川一雄さんを逮捕したえん罪事件」について「5月23日、石川一雄さん逮捕、10月31日、二審、寺尾裁判長による無期懲役判決」ビラまきなどおこなっていました。また8月には、平和学習の一環としてピース21という事業を通して、平和への思い、戦争の悲惨さなど、戦争体験者、被爆者の思い、DVDを見て平和学習をおこなってきました。

解放同盟の事務局として、沖縄での基地闘争、平和運動など現地でしか伝わらないことがあると痛感させられました。また沖縄の地を反戦・反核・反基地を訴えながら歩くことで自然豊かな沖縄、住宅街に密集している在日米軍基地など、さまざまな沖縄を感じることが出来ました。しかし沖縄県民全員が基地に反対しているわけではなく、基地の跡地に娯楽施設を誘致して、地元の雇用を再活性させようとする姿などもあり、改めてどうすべきか考えされました。原水禁世界大会では、平和の尊さ、核の不必要さ、戦争の悲惨さ、国際紛争を武力で解決するのではなく、対話による大切さなど知る事ができ、自分に何ができるのか。それは自分が知ったことを身近な人、場所から発信し、みんなに知ってもらうことだと感じました。

9月19日、安全保障関連法が自民、公明の数の力で議会制民主主義を無視し安倍政権の暴走によって、強行採決されました。部落解放同盟兵庫県連も兵庫、大阪、東京など、さまざまな集会、デモに参加したが組織内の青年の参加は残念だが少なかった。就労の格差、非正規雇用の問題だけではないが、自分の周りにも安保法について、反対はするが集会やデモに参加する時間がないといった声も聞こえた。しかし、この忙しさ、雇用の不安定さ、安保法が嫌だと思っても抗議に行く時間がないといった、格差は誰が作り、誰が自分を苦しめているのか。自分の問題として、直結していないもどかしさを感じた。また参議院の国会中継を見ていましたが、各地で反対の声、デモが起こる中、暴走した議会運営、数による暴挙、このまま戦争に向かっていくのかと失望感を感じましたが、改めて、自分は何が出来るのか考えさせられました。

この間、本当に戦争に向かって安倍政権が暴走している。大手企業には法人税を29%代にまでさげるなかで、諸民には消費税アップなど生活を苦しめている。

この間、一番印象に残っていることは、小学生から一緒で野球をしてきた友達が高校卒業と同時に自衛隊に入隊した。彼は自衛隊に入って、災害救助や海外支援などで、困っている人を助けたいと言っていた。久々に会ったとき、今になって自衛隊に入隊したことを後悔している。結婚して子どもができたのに、このままいけば自分は戦争にかり出されるのではないか。子どもをあやす手で、人殺しに加担するのでないかなど、不安感を口にした。しかし、この不景気な時代に簡単に転職が見つかるとも思えず、仕事があるだけでも恵まれているのではないか。自分はどうすればいいのか、葛藤している姿があった。今すぐ、転職すべきだと言ったが、家庭など背負うべきもの、守るべきものが増えてくれば、決断をしにくくなる。

SEALDsという組織は上から下への指令、命令ではなく、個人が考え、自分の言葉を使って発信している。また連絡がSNSを用いており、迅速である。この間、何度か集会やデモに参加をしたが、問いかける言葉、チラシなど手に取って読んでみようと思わせるデザインになっている。またそれぞれが自分の仕事、任務など責任を持っておこなっているように私には見えた。

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