国/県の制度

【国の制度動向】 厚生労働関係部局長会議 / 精神障害 / 尊厳死法案

障問連事務局

 

前号でも大枠、お伝えしましたが、社保審障害者部会の「総合支援法3年後の見直し」に関する意見書を踏まえ、厚労省の改正内容が明らかになってきました。1月19~20日に「全国厚生労働関係部局長会議」が開催され、これを踏まえ、3月に主管課長会議が行われ、その内容が兵庫県による事業所説明会で伝えられます。兵庫県の事業所説明会は3月18日に予定されています。以下、部局長会議資料より羅列的ですが、紹介します。

・地域成果支援拠点の整備

・グループホーム・・・重度者への対応、軽度者は巡回

・意思決定支援ガイドラインの作成と普及

・入院時に重度訪問介護の利用可能

・放課後デイサービスの適正化

※「地域生活支援事業」・・・事業の着実な実施に必要な予算(464億円)を確保しつつ、必須事業への更なる支援を図る観点等から、一部の任意事業について一般財源化により地方交付税措置を講じ、総額で実質22億円を増額  ・任意事業の追加・拡充  ・実施が低調な任意事業についての補助の終了

地域生活支援事業実施要綱(案)については、3月に開催予定の「障害保健福祉関係主管課長会議」において提示予定。

・就労継続支援A型の適正化・・・指導監査の強化

・居宅介護(家事援助)の適正化・・・軽度者(区分1、2)の1時間以上の利用を適正化

・相談支援・・・機関が他の設置が全国25%。セルフプランは真に本人が望む場合のみ。兵庫県の計画相談実施率は76%と、全国下位5番目、他、大阪府・京都府・神奈川県・東京都も低い。

・放課後等デイサービス等の障害児通所支援について、質の向上と支援内容の適正化を図る観点から、以下の内容の通知を平成28年2月中に発出する予定。

(適切なサービスの確保と質の向上)

○ 障害児の放課後等の支援については、子ども・子育て支援施策である放課後児童クラブや教育施策である放課後子供教室等における受入れを引き続き推進すべきである。その際、保育所等訪問支援などを活用して、必要に応じて専門的なバックアップを行うべきである。

○ 放課後等デイサービスなどの障害児通所支援については、発達支援を必要とする障害児のニーズに的確に対応するため、質の向上と支援内容の適正化を図る観点から、放課後等デイサービスガイドラインの活用を徹底するとともに、発達支援等の子どもに関する支援の専門的な知識・経験を有する者の配置を求めるほか、障害児本人の発達支援のためのサービス提供を徹底するなど、制度面・運用面の見直しを行うべきである。

・発達障害者支援施策について

①発達障害については、早期に発見し、早期に適切な児童発達支援、教育その他の支援を行うことにより、個々の能力の向上や社会的適応を高めることが重要である。

②このため、発達障害者の支援にあたっては、各分野の一般施策を含めた幅広い対応が必要であり、障害福祉施策のみではなく、医療、保健、福祉(児童福祉等)、教育、労働、司法、警察など様々な分野での一層の取組と関係機関の連携を進めていただきたい。

・ 平成28年度の新規予算事項について・・・かかりつけ医等発達障害対応力向上研修事業

 

また、精神障害者施策については別途検討会が以下のように開催されています。

 

・1/7 厚労省「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の進め方(案)

■ 当事者や関係者からのヒアリングを実施し、主に以下の論点について議論。

・医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方

・医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方

・入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方

・精神病床のさらなる機能分化

・精神障害者を地域で支える医療の在り方

・精神疾患に係る医療体制の在り方

・その他

■ 上記について、以下の通り論点を分け、分科会を設けて議論し、論点を整理することとしてはどうか。

各分科会において整理された論点を踏まえて、検討会において、意見のとりまとめを行ってはどうか。

①医療保護入院等のあり方分科会(仮称)

・医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方

・医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方

・入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方

・その他

②新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会(仮称)

・精神病床のさらなる機能分化

・精神障害者を地域で支える医療の在り方

・精神疾患に係る医療体制の在り方

・その他

■ スケジュール

平成28 年1月から議論を行い分科会における議論の整理を経て、同年夏頃を目途に意見のとりまとめを行う。

【想定される主な検討事項】

■ 医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方

・家族等同意や市町村長同意の現状と課題の整理 等

■ 医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方

・前回改正によって法定化した退院支援策の現状と課題の整理 等

■ 入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方

・退院支援に向けた意欲喚起等の取組

・精神医療審査会の現状と課題の整理 等

■ 精神病床のさらなる機能分化・・・・病床機能の検討 等

■ 精神障害者を地域で支える医療の在り方・・・アウトリーチ、デイケア、訪問看護等の医療機能の在り方等

■ 精神疾患に係る医療体制の在り方

・精神病床の必要数

・多様な精神疾患・患者像への医療の提供(うつ病・依存症等) 等

 

●尊厳死法案の上程にご注目を!

 

尊厳死法案がまた上程されそうです。終末期の意思を事前に書面などで示す「リビングウィル」の法制化を検討している超党派の「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)が2月25日、東京都内でシンポジウムを開きました。この中で増子会長は、「各党の手続きを終え、何とか今国会に法案を提出したい」と述べたそうです。国会への提出を目指しているのは、「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」(仮称)です。同案では、15歳以上の患者が書面などで自分の意思を示し、2人以上の医師が回復の可能性がない「終末期」と認定した場合に限り、延命措置を受けない「尊厳死」を選ぶことが法的に認められるもので、担当医の免責規定も盛り込まれています。

また、障害者団体などから批判されてきた第5条の終末期の定義について、「この法律において『終末期』とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置(栄養補給の処置その他の生命を維持するための措置を含む。以下同じ。)を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう」はそのままにしています。

ご存知のように、医療費や社会保障費の削減が進んでいます。尊厳死法案は何度も上程が企てられていますが、近年では2年前の2014年にも計画されていました。このときには会期切れで上程されませんでした。また、昨年は安全保障法制を推し進めるために、尊厳死法案は出てこなかったのではないかと思われます。今国会でどのような動きになるのか、注視する必要があると言えます。引き続き、この法案の動きを追いかけ、急な動きがありましたら、ホームページでも情報をお伝えします。

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