オールラウンド交渉 市・町の制度

【報告】 2015年度神戸市オールラウンド交渉報告

障問連事務局

 

年も押し迫った2015年12月17日、神戸市とのオールラウンド交渉が神戸市心身障害福祉センターで行われました。簡単な報告は2015年度総会でいたしましたが、それに加えて議論部分を追加して報告します。

 

■こども家庭局

・法改正によって高学年児童も学童保育で受け入れるようになった。

・可能な限り障害児も受け入れる方向で。自力で来れることが基本、個々のケースでは対応。

・障害児一人当たりの単価はH.25に増額した。

・障害児学童保育受け入れ実績

公設…小学校1年生~3年生 193人、4年生~6年生 58人

民設…小学校1年生~3年生 18人、4年生~6年生 7人

重度の障害児を受け入れるための加算は、国に要望しているが、できていない。予算が限られたなかでも、重度者に厚く拠出・配分することを要望、市は「方向性の一つ」と言うにとどまる。こども家庭局と、教育・福祉との責任所在があいまいな状況が続いている。

 

■総務局・交通局

・神戸市内全鉄道駅舎131駅のうち、エレベーター設置駅は101駅。

・乗降者数3000人以上の駅101駅のうち、エレベーター設置駅は90駅。

・JR六甲道駅のホームドアでは、事故は報告されていない。

・地下鉄三宮駅に可動式ホーム柵をH.29に設置。

・市バスの乗務員研修、今年はなし。

JRの新駅となる摩耶駅での対応をきちんとしてほしい、地下鉄三宮駅の可動式ホームにしても、障害当事者の意見をどれだけ反映させているか、また、神戸市バスにおいて差別的な対応を受けたことが報告された。

 

■高齢福祉部

・重度障害者医療費助成、精神障害2級に拡大するのは難しい。

・他都市では拡大しているという認識はある。

精神の医療費助成、身体や知的と横並びにして制度設計しているため、1級から拡大するのは難しいという市側に対して、精神障害の1級判定を受ける難しさを訴える。市としては、「他都市では拡充しているところもある」ということは認識していると答弁。

 

■住宅都市局

・三宮を中心とする再開発基本計画については、これから意見を聴取。

・市営住宅の応募要件、単身入居可、収入基準など緩和している。

・とくに精神障害の場合、市営住宅に入居後のサポートがない。

毎年、障害者とくに精神障害の市営住宅入居後のサポートに関しては要望しているが、市は「自治会については口出しできない」と一貫した態度。市内の管理センターに言ってくれと言うが、「役に立たない」。2014年にあった、市営住宅の自治会がグループホームの設置に反対運動を起こしたが、その対応の総括はしているのか、そういうことを繰り返さないためにも、入居後のサポートが必要ではないのかと述べた。

 

■人事委員会/障害福祉部(就労)

・市職員要件として、介助者なしで職務遂行、は外せない。

・知的障害者は難しい、精神障害者は一般枠で受験。

受験資格に関して、雇用における差別解消に取り組んでほしい、明石での取り組みなどを参考に、前向きに検討してほしい旨を伝えたが、職務遂行能力の問題などあり難しいと回答。

 

■教育委員会

・精神障害に関する研修、教員対象に行う。理解は進んでいない。

・多様な学びの場を用意し、児童生徒、保護者の意向を尊重する。

・HAT神戸に特別支援学校を新設する。

・基礎的環境整備、合理的配慮を推進する。

学校におけるエレベーター設置が6割ということは、4割は車イス障害者が入れない、普通学校にいる障害児の数を把握していないなどの意見が。障害児と健常児とを分けて教育することが差別であることがわかっていない。少子化の中で特別支援学校を新設しなければならないのは、幼少時から障害のレッテルを貼りつけ振り分けているからという意見も。宿泊を伴う学校行事の時に親の付き添いが求められたり、医療的ケアが必要な子どもへの看護師配置の問題など出された。

 

■障害福祉部(精神)

・相談事業、学習会、社会的理解の促進、啓発活動に助成、セルフヘルプグループ自体には助成していない。

・交通機関の障害者割引、対象にはなっていない。→国には要望している。

・昨年起こった市営住宅の自治会によるグループホーム設置の反対運動への総括も不十分。

・病棟転換型居住系施設はない。

ハローワークで精神障害当事者を相手にしてくれない、安心して暮らすための居住サポートが必要、住宅都市局のときも出たが、市営住宅の自治会活動に配慮してほしいなど。

 

■障害福祉部

・福祉パスに関しては、推進協議会の移動分科会で議論中。

・介護の支給に関して、ガイドラインは上限ではない。個別で対応する。

・訪問看護との併給は、基本的にはできないが、必要な場合個別で対応。

・移動支援、50時間超えても可能。

・グループホームが北部と西部に集中していることは認識している。

・ホーム入居者ガイドヘルプに関して、周知していく。

・ホーム入居者ホームヘルプに関して、始まったばかりなので、経過を見守ってほしい。

・実家でのホームヘルプ利用に関して、一時帰宅の際、居宅介護、重度訪問介護利用可能。

・差別解消条例に関して、障害特性・難病への理解を促すため、市民フォーラムを開催。合理的配慮の周知が難しい。

福祉パスに関して、IC化の問題点を含め検討してほしい。グループホームに関しては、東部に作るにはなんらかのインセンティブが必要なのでは。空き家の利用を真剣に考えているのか、市街地の提供が少ないのではないか。

介護保障問題、区役所に「一人でいられるでしょう」と言われた。重訪の深夜帯に関しては、介護を「いのちの危険性を守る」ものではなく、「障害者が地域で主体的に生きることをサポートする」ものへと認識を変えてほしい、市は深夜帯の巡回を勧めてくる一方、巡回をやっている業者は少ない(介護保険を除くと市内で10業者)、「ガイドラインは上限ではないにもかかわらず、一定の基準が必要だ」という言い方は混乱する。コミュニケーション支援に関しては、知的障害者と障害児に関して時間数を拡大。厚労省からは重訪を使う案が、国の動向を見守りながらH.28年中には形にしていく。差別解消条例に関しては、神戸市としては作る方向。紛争解決機関をどうするか、県との調整、対応要領作成の問題がある。

 

全体を通して、世相を反映したからか、厳しいものになっているなという印象を受けました。とくに教育のところでは紛糾し、インクルーシブ教育の理念そのものが相いれないのではとすら感じました。神戸市は障害者差別解消条例を制定するつもりですので、なんとかそこに当事者の意見を反映させ、今回の交渉でとくに厳しかった教育/就労/精神障害/介護に関して個別の事例においても、障害者の権利を確立させるようなものにしていかなければならないと思います。

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