国/県の制度

【国の制度動向】 権利条約批准2年目の政府報告書~総合支援法見直し

障問連事務局

■国連/障害者権利条約、批准2年後の政府報告書 (以下、JIL政策委員会ニュースより)

12月18日に第28回障害者政策委員会が開かれ、障害者権利条約の締約国として国連に提出する第一回政府報告がほほ完成した。前回からの修正点は、下記の8テーマについてそれぞれ「なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)・・・」というように政策委員会としてのコメントが盛り込まれたことだ。これは画期的なことである。これまで日本は他の条約(女子差別撤廃条約、子どもの権利条約、国際人権規約等)での報告では、政府報告を手直しするということは一切なく、このように委員会のコメントを載せるということは初めてなのである。報告全体としては非常に不十分なもので、批判も多くあると思うが、障害者政策委員会としてのコメントを本文に盛り込んだことは、これまでの日本政府にはない取り組みとして一定評価できる。このあとは、おそらく1月頃にパブコメにかけられ、2月19日までに国連に提出する。ぜひみなさん、パブコメで意見をお送り頂きたい。(佐藤)

 

■障害者総合支援法3年後の見直しの内容が固まる (以下、JIL政策委員会ニュースより)

【常時介護を要する障害者等に対する支援について】

・グループホームを重度化へ対応させていく。

・入院時において、一部重度訪問介護を使えるようにしていく。

・軽度の地域生活を支える仕組みとして、巡回・随時サービスを位置づけ(包括型支援サービスの創設が伺える)

・サービス従業者資格引き上げ(サービス提供責任者の要件へルパー2級3年廃止、ヘルパー3級の廃止等)、熟練した従業者による実地研修(OJT)を促進。

【障害者等の移動の支援について】

・個別給付化、通勤・通学について要望は多いが、財政問題から見送り。

・現行の「地域生活支援事業」における枠組みは継続。

・通勤・通学については、事業者、教育機関、公共交通機関等による「合理的配慮」でおこなう。福祉サービスは通勤・通学の訓練(ヘルパーを使わなくてもできるように)をおこなう。

・医療機関に入院中の外出・外泊に伴う移動支援については、障害福祉サービスが利用できることを明確化すべき。

【障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について】

・都道府県・市町村の協議会の機能強化、基幹相談支援センター等の設置、またそれらを通じた取組を推進すべき。

・相談支援専門員の確保と資質の向上に向けた、主任相談支援専門員(仮称)の創設。

・財源の確保をしつつ、重度障害者が多い為に国庫負担基準を超過せざるを得ない小規模な市町村への配慮した方策を講じるべき。

【障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方について】

・「意思決定支援ガイドライン(仮称)」を作成し、関係者間で共有し、普及を図るべき。

・成年後見制度の課題については、当部会の調査審議事項を超えるが、当部会の議論内容を、内閣府障害者政策委員会や法務省に伝え、今後の議論に活かされるようにする。

【精神障害者に対する支援について】

・ピアサポーターの質を確保するため、ピアサポーターの人材養成研修をおこなうべき。

・地域生活支援拠点の整備を推進すべき。

・グループホーム、障害者支援施設、基幹相談支援センター等を中心とする拠点の機能の強化を図る必要がある。

【高齢の障害者に対する支援の在り方について】

・日本の社会保障は、自助>共助>公助という仕組みである事を踏まえると、現行の介護保険優先原則を維持することは一定の合理性がある。

・障害福祉サービスを利用してきた障害者が、相当する介護保険サービスを利用する場合、それまで当該障害者を支援し続けてきた障害福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくする等の仕組みをつくる。

・障害福祉制度と介護保険制度、相談支援専門員と介護支援専門員の連携を推進。

【障害児支援について】

・障害児の放課後等の支援については、子ども・子育て支援施策である放課後児童クラブ等における受入れを推進すべき。

・放課後等デイサービスの適正化と質の向上を図る。

【その他の障害福祉サービスの在り方等について】

・政府の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2020年度(平成 32 年度)までに黒字化を目指すとの財政健全化目標に沿って、社会保障関係費については平成32年度に向けて、その伸びを高齢化による増加分と消費税率引上げと併せて行う充実等に相当する水準におさめることを目指すこととされている。

・財政制度等審議会では、障害者総合支援法の見直しに当たってサービス提供の在り方や財源・利用者負担の在り方等について検討を行い、制度の持続可能性の確保を図るべきと建議されている。

・事業所の質の確保・向上に向け、自治体が実施する事業所等への指導事務を効果的・効率的に実施できるようにする。

・障害福祉サービス等の利用者負担については、障害者総合支援法の趣旨やこれまでの利用者負担の見直しの経緯、障害者等の家計の負担能力、他制度の利用者負担とのバランス等を引き続き検討すべき。

・利用者負担に関する経過措置(食事提供体制加算等)の見直し

・補装具についてはレンタル方式の導入。

・日常生活用具については執行状況やニーズ等を踏まえて検討すべき。

 

・・・(中略)・・・また、今回の見直し議論においては、介護保険に酷似したメニューが非常に多く目立っており、介護保険統合と明言はされないものの「全年齢対応のユニバーサルな制度」や「税以外の活用」などと言葉が頻繁に出ることから、新たな制度設計の中に介護保険との統合があるのは明らかです。今回の改定は、次回改定(2019年)で介護保険統合目指すための地ならしとも言えるでしょう。今後、介護保険統合問題に当たっては、骨格提言の完全実現の一点突破だけでは厳しくなってくることでしょう。新たな提言をする事や、あらためて介護保険統合問題についての議論や準備をしていく事が重要になってくるはずです。向こう数年は制度改正の動向には目が離せない状況が続きます。気を緩めることなく、この問題に取り組んでいきましょう。

 

■社保審・障害者部会が「総合支援法3年後の見直し」報告書を発表 (以下『福祉新聞』より)

厚生労働省は14日、社会保障審議会障害者部会(座長=駒村康平・慶應義塾大教授)に報告書案を示し、大筋で了承された。

障害者の高齢化・重度化に対応することが柱。介護保険優先原則は維持した上で、新たなサービスを設ける。利用者負担の拡大は引き続き検討することとした。これを踏まえ、次期通常国会に障害者総合支援法改正法案を提出するほか、18年度の障害報酬改定に反映する。

報告書は近い将来に向けた課題を整理した観が強く、すぐにメスを入れるという印象は薄い。委員の意見が対立する場面もほとんど見られなかった。

・障害者の高齢化・重度化に対応することが最大の論点で、65歳以上になると介護保険サービスの利用を優先する原則は維持する。介護保険利用に伴う利用者負担増に困惑する立場からは異論が多い。厚労省は機械的に「優先」することのないよう自治体に通知しているが、委員からはさらなる運用改善を求める声が上がった。

・新サービスとしては、一人暮らしの知的障害者、精神障害者を定期的に巡回したり随時対応したりするものを設ける。軽度者がグループホーム(GH)から一人暮らしに移れるよう、日常的な健康管理などを支える。GHに空きをつくり重度者の受け皿としていく絵を厚労省は描くが、委員からは、軽度者が意に反して追い出されることを懸念する声が上がった。

・就労後の定着支援についても新サービスを設けることとしたが、具体的な内容が不明瞭だとする意見が上がった。重度者支援を厚くする観点では、入院中の移動支援、重度訪問介護の利用を進める。意思能力の低下した人が増えることも想定し、障害福祉サービスに意思決定支援の要素を含むことを明確にする。

・また、障害福祉サービス利用者が65歳になっても同じ事業所の提供する介護保険サービスを利用できるよう、介護保険事業所の指定を受けやすくする。

・親亡き後を見据えて支援体制を整える主任相談支援専門員(仮称)も創設する。

・サービス利用に伴う利用者負担の拡大は、条件付きで容認する委員が多かったが、利用者の生活実態の把握に一定の時間がかかることなどから、報告書は「引き続き検討する」とした。現在、総合支援法に基づくサービスの利用者のうち9割は無料で利用。財務省はサービスの総費用がこの10年で2倍に増えたことを重くみて、持続可能な制度にするよう求めていた。

・報告書案を読む限り、負担する人がすぐに広がるとは考えにくいが、負担増は政治案件のため、法案作成や報酬改定議論の過程で急浮上する可能性は否定できない。13年4月施行の総合支援法は施行3年後に見直すことを付則に規定。厚労省は今年4月から同部会で議論を重ねてきた。

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