【報道】 新聞記事より
■障害者の介護利用料を減免=総合支援法改正で-厚労省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016012000602
厚生労働省は20日、65歳以上の障害者が介護保険サービスを受ける際に支払う利用料について、減免措置を行う方針を決めた。今国会に提出する障害者総合支援法の改正案に盛り込み、成立すれば2018年度から実施する。
障害福祉サービスは利用者の多くが無料で使えるのに対し、介護サービスでは1割の自己負担が発生する。障害者総合支援法には障害者でも65歳以上になると介護サービスが優先適用される「介護優先原則」があり、障害者団体がこの原則を外すよう求めていた。
■長期入院精神障害者、地域移行は進むのか?- 鍵を握る自治体の支援体制構築
CBニュース 2016年01月11日 12時00分
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47805/page/0.html
長期入院の精神障害者の地域移行を支援する自治体が増えつつある。国が定めた医療提供に関する指針を踏まえたもので、入院生活をできるだけ短期間に抑えることなどを目標に掲げ、地域移行の支援体制の構築に取り組んでいる。支援が必要な人のリストアップや、精神科病院の看護師らを対象にした研修会によって地域連携を図る動きも出てきた。【新井哉】
○高い国のハードル、都市部と地方で異なる課題も
精神障害者の地域移行をめぐっては、国が2004年9月に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を策定。長期入院精神障害者の退院促進や新規入院精神障害者の早期退院の促進などで10年間の数値目標を設定したが効果がほとんどなかった。
その教訓などを踏まえ、14年に施行された改正精神保健福祉法では、入院から1年未満で退院できる体制の確保や、1年以上入院している患者で症状が重度かつ慢性でなければ多職種が連携して退院を推進することなどが指針として示された。
この指針を受け、都道府県や市区町村で精神障害者の地域移行の支援策などの検討に乗り出す自治体が増えてきているが、指針を履行する上で解決しなければならない問題や課題は少なくない。
国の指針では、17年度の入院1年時点の退院率を91%以上に設定しているが、地域移行の受け皿が未整備の自治体では、退院率の大幅な積み上げは見込めず、そのハードルは高い。また、都市部と地方では抱える課題や医療資源が異なるため、地域の実情に合わせた取り組みが求められている。
特に精神障害者の人数が比較的多く、精神科関連の入院施設が整っている都市部での対応が、目標達成の鍵を握る。そのモデルケースとして関係者の注目を集めているのが兵庫県西宮市の試みだ。
西宮市は、精神障害者の地域移行を促進するためには、その前段階の患者の意思決定から支援が必要と判断。対象の精神障害者の市民をリストアップし、昨年12月から試行的に市内の2病院、市外の1病院で、福祉事業所などと合同で会議を開き、相談支援を始めた。現在、この事業の公募型プロポーザルの候補者を募集しており、来月中にも受託候補者を選定する方針だ。
○「顔の見える関係を作る」、精神科病院や市町の関係者対象に研修会
地方では限られた医療資源を有効に活用した施策が必要となる。佐賀県は昨年10月、医療と保健、福祉の連携を図る観点から、精神科病院の看護師や作業療法士、精神保健福祉士に加え、相談支援事業所の相談支援専門員や市町の担当職員・保健師らを対象にした研修を実施した。
県障害福祉課によると、研修会は13年度から開催しており、今年度で3回目。同課は「顔の見える関係を作ることと、圏域での活動を始めるきっかけにすることが目的」と説明。具体的な施策に結び付けようと、病院での相談事例などを取り上げているという。
精神障害者が高齢となった際、精神疾患に認知症や身体疾患を合併し、在宅支援が困難となるケースも少なくない。05年度から地域生活移行支援事業を展開している熊本市によると、家族も高齢化しており、本人の退院や地域生活への支援に対する協力が得られにくいケースもあるという。
今後の対応について、同市は、▽退院に対する意欲を高めるための具体的な方法の検討▽家族のニーズの整理▽病院スタッフの働き掛け▽地域生活を支えるサービスの継続的な提供―などの必要性を挙げている。
■延命医療の中断、2018年から合法=韓国
中央日報日本語版 2016年01月09日13時48分
http://japanese.joins.com/article/600/210600.html
臨終過程に入った患者の人工呼吸器を取り外しても処罰しない法律(別名、尊厳死法)が2018年に施行される。
国会は8日、法制司法委員会と本会議を相次いで開き、このような内容を盛り込んだ「ホスピス・緩和医療及び臨終過程にある患者の延命医療決定に関する法律案」を通過させた。本会議では在籍議員203人のうち202人が賛成(1人は棄権)した。この法が通過したのは、1997年に末期患者の退院を許容したソウルボラメ病院の医師が殺人幇助罪で処罰を受けて延命医療論争が始まって以来19年ぶり。
この法案は昨年12月30日の国会法制司法委員会で「韓医師も延命医療中断決定に参加するべきだ」という主張が提起されて保留された。しかしこの日に通過した法案には韓医師の参加が反映されなかった。
延命医療は心肺蘇生術、血液透析、抗がん剤投与、人工呼吸器着用を意味する。回復の可能性がなく治療をしても回復しない患者に限り、こうした4種類の行為を開始しなかったり中断したりすることができる。そうする場合でも家族と医師は処罰を受けない。施行時期は公布2年後の2018年1月に確定した。
■障害者新法 生かせぬ恐れ 「差別解消」4月施行
東京新聞 2016年1月9日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201601/CK2016010902000134.html
障害者差別解消法が四月から施行される。不当な差別を禁止し、必要な配慮をするよう義務づけていて、障害者政策を大転換する内容。しかし法成立から二年半たつのに、省庁の中には法律で義務づけられた指針を民間事業者に通知していないなど、政府の対応は遅れている。このまま事業者への周知が進まなければ、法律が現場で適用されず、障害者の要望が実現しない事態になりかねない。(城島建治)
法律は二〇一三年六月に成立した。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、不当な差別的対応を禁止した上で、合理的な配慮(その場で可能な配慮)を義務づけた。法の趣旨を周知するには時間が必要との理由で、施行は約三年後になった。
合理的な配慮とは、例えば車いすを利用する人に建物入り口に段差スロープを設置すること。負担が過重にならない範囲で、障害者の要望に対応しないといけない。行政機関は法的義務、民間は一律に対応できないとして努力義務にしたが、違反を繰り返せば罰則の対象になる。
具体的な対処方法を示すため、法律は関係する十五省庁がそれぞれ、民間向けに対応指針をつくるよう義務づけた。障害者と日常生活で接する事業者が柔軟に対応できなければ、障害者の望む社会生活の実現は難しいからだ。
国土交通省は一五年十一月に公表した鉄道事業者向けの指針で、差別的な対応例として「盲導犬、介助犬の帯同を理由に乗車を拒否」と明記。合理的な配慮例に「筆談や読み上げなど、窓口で障害の特性に応じたコミュニケーション手段で対応する」と挙げた。
省庁が指針を示す時期について政府は一五年三月ごろとしていた。だが一六年に入っても消費者庁は示していない。環境省は一月六日にようやく動物園やペットショップなどの事業者向け指針をホームページに掲載したが省内の手続き中で実際の通知は来週以降だ。
同法を所管する内閣府は「指針の周知が遅れているのは事実。関係省庁に徹底する」と強調する。内閣府には障害者から電話などで「法律の周知が不十分」などの指摘が相次ぐ。
政府に法律制定を働きかけてきた十三の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」にも、民間から「どう対応すればいいのか」といった問い合わせがある。同フォーラムは「周知が進んでいない。政府が率先して取り組んでほしい」と求める。
二〇年東京パラリンピックには世界各国から障害者が応援に訪れる。開催国として十分な対応をするには、事業者や国民の理解が欠かせない。
■【宜野湾市長選】爆音の街で車いすから命の重さを問う
沖縄タイムス 2016年1月19日 09:46
http://www.okinawatimes.co.jp/cross/?id=364
宜野湾市長選挙は1月24日に投開票が行われる。現職、新人それぞれを応援する方々がやってきて署名を集めているが、今回だけは簡単に署名ができない。
昨年は戦後70年の節目の年だった。マスコミの戦後70年特集をご覧になった方も多いと思うが、そこで障害者のことがどれだけ報道されただろうか。私が最も知りたかったことは、沖縄戦中にあって、障害のある方々はどういう状況に置かれたのか、ということだ。
目が不自由な視覚障害者には、敵の戦闘機の音を聞き分けて住民に伝える役割があったという。じゃあ、耳が不自由な聴覚障害者は、手足が不自由な肢体障害者は、どういう役割を与えられたのか? パニックを起こしやすい知的障害者は防空壕でどう過ごしたのか?
傷痍軍人になった方々や、薬も食べ物もない中で死んでいく人たちが多かった中で、国のお役に立たない障害者の先輩たちは、どのように「鉄の暴風」と呼ばれた沖縄戦を生き抜いたのだろうか。
疑問に答えてくれる戦後70年特集は、少なくとも私が見た範囲では一つもなかった。
敗戦後、沖縄は本土と切り離されて米軍の統治下(アメリカ世)に置かれた。親を亡くした子どもたちを救済する制度ができた。戦争で障害を負った人や、沖縄は精神障害者が多いという指摘もあるが、彼らへの十分なケアはなかったと聞いている。
多くの問題を抱えながら沖縄県は1972年に日本本土に復帰した。障害者福祉政策もできた。その後沖縄も発展を遂げ、昔に比べればこんなに裕福になった今からは想像もできないし、簡単に言葉にしてはいけないと思うが、ここに記しておきたいことがある。
幼いころの記憶だが、隣の家に精神障害者の男性が住んでいた。庭の小さな小屋に住まわされ、外から鍵をかけられていた。時々大声を出すことがあったが、その時、家族の男性が出てきて鞭を振るっていたことを覚えている。今思えば、一人だけ離れに住まわされ、寂しくて大声で訴えていたのではないだろうか。
私も含めてであるが、親戚が集まる場では本人だけでなく親やきょうだいも肩身の狭い思いをしている。人権意識が高まり、障害者施策が進展している今でも、心ない言葉に傷ついている障害者は少なくない。
今回の市長選に限らず、すべての選挙に共通して言いたいことがある。
公約やマニフェストを掲げる前に、障害者差別や偏見をなくすこと、周知することを実践してほしい。そもそも、宜野湾市議会の傍聴席は階段状になっていて、私たちのように重さ100キロの電動車いすで移動している者は、議会を傍聴することすらできないのである。これは「間接的差別」に当たると何度も言ってきた。立候補者には選挙のたびに改修するよう求めてきたが、実現していない。
また、首長や議員になろうとする方々は、障害者福祉政策や国の動向(障害者福祉基本法、障害者条約、沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい条例、障害者差別解消法)などをきちんと勉強し、よく理解した上で「福祉の向上」を掲げるべきだ。
特に今年4月から「障害者差別解消法」が施行される。法は「障害者の取り巻く環境を改善していくことが必要」と定めており、人間として大事な成長の時期にある子どもたちへの「合理的配慮」を最優先に取り組んでほしい。
先日、沖縄の経済界の偉い人が「「基地イコール観光にマイナスということにはならないと思う」と述べたという。本当にそうだろうか?
今から15年前。2001年の9月11日に「アメリカ同時多発テロ」が起きた。米軍基地がある沖縄は、日常生活が一変した。基地の入り口ではものものしい検問が行われ、国道を走る一般車を調べることもあった。これに通勤ラッシュが重なった時の混雑はすごいものがあった。修学旅行などのキャンセルも相次ぎ、ホテルやお土産品店などが大打撃を受けた。私はその時に初めて、基地があることで生活環境が変わることの恐さを痛感した。
その3年後、04年8月13日に宜野湾市の沖縄国際大学の本館に米軍ヘリが墜落、炎上した。まだ頭に残っている。宜野湾は市の中心に米軍基地があり、その周りには子どもたちが通う学校もたくさんある。爆音は勉学の妨げになるし、安心して寝ることもできない。でも、だからといって、よそに移せばいいというのではない。
どこにいても、障害があってもなくても命の重さは同じだ。
■障害のある女性の声を国連へ 見えぬ被害、性的暴力も
朝日新聞 2016年1月20日09時58分 見市紀世子
http://www.asahi.com/articles/ASJ1N363BJ1NUBQU007.html
○伝えることが「差別なくす第一歩」
障害のある女性たちの声を国連に直接届けようと、市民団体が渡航費用の寄付を募っている。めざすのはスイスのジュネーブで開かれる女性差別撤廃委員会だ。障害者であり、女性であることで複合的な差別を受ける「生きにくさ」の現実を知ってもらいたいという思いがある。
寄付を呼びかけているのは、障害をもつ女性が中心に活動する「DPI女性障害者ネットワーク」(東京)。昨夏の事前作業部会に初めて視覚障害のある女性と介助者を派遣して「生の声」を伝え、手応えを感じた。そこで、2月中旬の委員会に、同ネットワークから障害のある女性と介助者ら計11人を派遣することを計画した。
懇談会などの場で委員に思いを伝えることで、委員会が日本政府に出す、女性差別に関わる「最終見解」に意見が反映されることを狙う。国連から日本政府への働きかけを促し、国内の状況を改善させていきたいという。
背景には、障害のある女性への深刻な差別がある。同ネットワークは2011年度に「障害のある女性の生きにくさに関する調査」を実施し、当事者の声を集めた=表。回答した87人のうち31人が性的被害を経験しており、性暴力の訴えもあった。介助や医療の場での被害が多く、なかなか声を上げられない実態が浮かび上がった。
渡航を予定している五位渕(ごいぶち)真美さん(37)は、脳性まひのため介助を受けながら暮らす。「障害のある女性への差別はなかなか表に出てこなかった。日本の現状を私たちの声で直接届けたい。知ってもらうことが差別をなくす第一歩になると思う」と話す。
○市民団体、渡航費寄付募る
寄付の目標金額は185万円。同ネットワークの活動資金からも別途50万円を支出する。自費で渡航する人を除き、8人分の往復の飛行機代と宿泊費、翻訳などの資料作成費に充てる。食費や旅行保険などは派遣される人が自己負担するという。
障害者の人権問題に詳しい大阪市立大非常勤講師の松波めぐみさんは「障害のある女性が複合差別の実態を国連で伝えることは、国際的な注目を集めるだけでなく、当事者の力を引き出すことにもつながる。帰国後に各地で報告会などを開いて問題が共有されることで、現状を変える力になっていくだろう」と話す。
寄付は、ネットで広く資金を集める「クラウドファンディング」という手法で2月11日まで募る。詳細は「ジャパンギビング」のサイト(http://bit.ly/208WmlD)で。出資者には寄付金額に応じてプロジェクト報告書の送付などの特典がある。ネット経由だけでなく、現金での寄付も受け付けている。問い合わせは「DPI女性障害者ネットワーク」(03・5282・3730)へ。
◆調査に寄せられた声
・母の恋人に入浴介助をされ、胸などを触られた(30代、肢体不自由)
・「障害女性だから無理して働く必要はない」と周りに言われた(30代、聴覚障害)
・企業の面接で「本当なら障害者はいらない。まだ男性ならいいけど」と言われた(30代、肢体不自由)
・生理が始まった中学生の頃、母親から「生理はなくてもいいんじゃないの」と言われた。子宮を取るという意味だった(40代、肢体不自由)
・妊娠した時、医者と母親から堕胎を勧められた(40代、視覚障害・難病)
・出産後の職場復帰でパートになるのを勧められた。同じ職場の健常女性は正社員のまま復帰できた(40代、視覚障害・難病)
・義兄からセクシュアルハラスメントを受けたが誰にも言えない(50代、視覚障害)
・結婚に反対する義母に「家族に障害者はほしくない」と言われた(50代、肢体不自由)
・10代で不妊手術を受けさせられた(60代、精神障害)
2月 2, 2016