2015年度 精神障害者問題に関する要望書(神戸市)
【1.交通】
精神障害者が、公共交通機関・タクシーを利用する際の運賃割引に関して、他障害に比べ立ち遅れており報道もされました。障害種別による差別は許されません。神戸市内の各交通事業者の運用状況について報告して下さい。(資料提供/協議)
【2.教育】
精神疾患は誰もがなる可能性があり、思春期、学生時、就労してから、様々な要因で精神疾患になり、年々増加している現状があります。義務教育では障害者理解のため福祉教育が行われていますが、精神障害には全く取組まれていません。しかし、もし自分が精神疾患を持った場合、子どもの頃に必要な教育を受けていれば、大きく変わります。とりわけ精神障害に関しては「知らない」事により、本人も周囲も大きな生き難さを生じます。以前にも要望しましたが、精神障害当事者によるゲストティーチャを是非、実現して下さい。
【3.セルフヘルプグループへの支援】
今年2月28日、毎日新聞に「ひとりじゃない:セルフヘルプの底力 いこいの場、ひょうご 疲れたら休む 合言葉に」と題して障問連加盟団体「いこいの場ひょうご」の活動が紹介されました。報道されてから30件もの精神障害当事者から連絡がありました。それだけ当事者活動へのニーズが高いことが示されています。当事者が集まる毎月1回の定例会以外にも行事、レクリェーション、病院訪問、看護学校での講師等、幅広く活動していますが、何ら助成はありません。当事者自身の主体的な活動は重要です。何らか神戸市としての検討、また助言をお願いします。
【4.地域移行~退院促進】
① グループホームの設置が進まない現状があるが、精神障害者のグループホームは、平成26年度末の時点で、各区毎に何ヶ所あり、何人利用しているのか、資料を持って回答して下さい。(資料提供)
② 公営住宅は、精神障害者にとって社会的入院解消のための地域の受け皿として重要なだけでなく、精神疾患の病状・症状そして経済的困窮度の高い当事者には重要である。精神障害者の公営住宅入居について積極的な施策を講じて下さい。
③ 公営住宅に入居した精神障害者が自治会の役員や掃除を担う事は困難で症状悪化になる場合もあるが、断れば近隣住民との関係が悪化しかねません。せっかく居住しても居づらい現状があります。「地域生活支援事業」国の要綱には、「居住支援のための関係機関によるサポート体制の調整」として「利用者の生活上の課題に応じ、関係機関から必要な支援を受けることができるよう調整を行う」と居住サポート事業を位置付けています。神戸市において居住サポート事業がどのように実施されているのか報告して下さい。
【5.精神障害者の介護保障等、地域生活】
平成26年度の精神障害者に特化した居宅介護の利用者数・利用時間について資料で持って回答して下さい。(資料提供)また、精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した平成26年度の利用者数と利用時間について資料で持って回答して下さい。(資料提供)
【6.就労】
症状によって線引きせず、中度、重度の精神障害者でも症状が安定している人の就労について、どのように促進されるのか、回答して下さい。
【7.保健・医療・衛生について】
① 重度障害者医療費助成を精神障害2級まで対象拡大してください。
② 精神障害者の多くの人が「生活障害」を抱えています。「○○ができているから大丈夫」と医師は言います。しかし、とりわけ単身者の場合、ゴミ屋敷になっていたり金銭管理ができなかったり困難な生活障害があります。障害年金や精神保健福祉手帳の診断書を書く医師の認識が重要です。是非、当事者の意見を聞いて下さい。
③ 「医療観察法」が施行され今年7月で10年を迎えます。「入院期間の全国平均は現在、国の想定の2倍近くまで伸びている」とされ、「法律の成立過程から、事実上の保安処分、精神障害者を社会から隔離させる狙いと批判が多かったが、それが現実になりつつある。懸念された強制入院の長期化が進んでいる」と報道されています。神戸市における医療観察法に基づく入院者数、在院日数等を教えて下さい。(資料提供)
④ 「病棟転換型居住系施設」は、障害者権利条約の第19条「すべての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有する事を認める」に違反していると考えます。精神病棟を新手の入居施設に模様替えしただけの同施設は、精神障害者を新たに拘束するもので許せません。北海道や神奈川県では「今年度は作らない」と明言していると聞きます。神戸市としても計画の中に位置付け、各病院にも指導して下さい。
11月 5, 2015